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アジトに巣喰う一味
アジトに巣喰う一味だった。
巣喰っているのは、そこを寝ぐらに悪事を貪るほどはない、ただただ外の敵から身を守るため戦々恐々をつづけ、だからといって外の敵とは何ものなのかを誰一人掴みきれていない、そうした輩だった。
わたしでない誰かが遅れて入ってきた。長い彷徨のあと、這いつくばりながらほうほうの体で入り口を見つけ、自らの身体を自らが押し込むようにし、茶巾かなにかで絞り出した何かヌメリのギョロギョロした目ん玉が暗いアジトを照らし出す。
すると、張ってた糸の緊張の耐えきれず、一番細くて華奢なのが切れ、ひとりが笑い、もう一人にも伝播する。それは仕掛けた罠に風が当たり掛けた鈴が傾き擦れずっと注視してた誰かの耳に伝わる、そんなほんのわずかの変化だった。それでも、戦々恐々している輩にはそれで十分だった。
ー もう、ここは使えない。
悟った一味は、やれやれ、やれのこだまを連呼させながら、まだ見つけていない別のアジトへの撤収作業を開始する。わたしも一味のふりをしながら撤収作業を続ける。
そして、うるさいほどのこだまを聞きながら、オっちょこちょいが自分でなくて本当に良かったと、ほっとしようの顔を作る手前で、覚めた。




