ラケットもったインド人の女の子
インド人の女の子だったように思う。
新聞は一面を使い、色刷りまで使った大きな写真でバシャバシャその子の顏を大きく写していく。毎日とってる地方紙で、一般紙にはないローカルな見出しネタだとちょくちょくやる大ネタ振る舞いなのだが、いつもなら一べつして中を剝ぐっていくのに、そのときばかりはそうは思わなかった。
首絵のほかに等身大を写した写真はコラージュするように何枚を張り付いている。なのに、どれもどこか切り落ちていて、白の短めの上下を履いてボールとラケットを持っているから、テニス選手のようにも見えるが、ラケットが途中で切れているからスカッシュとかラクロスとかの選手かもしれない。
そして、どの写真の後ろにも薄い口髭をたくわえたイケメンが、コーチなのか付き添いの父親なのか、そうした体をよそおって、つかず離れず寄り添っている。
彫りの深い顔立ちだ。
あのきれいな娘はわたし似だと言いたそうなニュアンスを醸し出したいるが、彼の出身は山形か岐阜あたりだ。彼女の美しさは概ねインド人の母親から譲り受けている。
わたしも、何かの繋がりをと、トコトコ駆け寄り、練習場所を貸してあげると、提案した。周囲に坂と大使館の多いこの界隈に、五六人の子供たちが駆け回るような平場を探すのでも一苦労だろうと思ったからだ。
「ほらっ、この先に○○の研修施設があるから。そこなら、使わせてもらえるように頼んであげられるから」と、彼女にではなくイケメンに少しマウントするように提案した。
そしてすぐに、研修生で受けていた時分を思い出し、気づいた。あそこの研修施設って、研修生が並んでラジオ体操するくらいの中庭しかなかったけど、大丈夫かな、と。テニスかスカッシュならいいけど、ラクロスだったら・・・・・
やっと全身が現れたラクロスラケットをごくり飲み込んだところで、覚めた。




