謝り屋に配置転換させられた
謝り屋を引き受けてくれ、と言われた。
なんで急にそんな割の合わない話しを持ってきたのかと訝るわたしに、「場所がちょうどいいんだよ」と意味の分からぬことを云って、それじゃよろしくの手を振り振り、そのひとは私たちの大部屋から去っていく。
ずっと頑なな顔をしていても、この部屋での仕事は回ってこない。たったさっきまでラグビーボールでもパスするみたいにホイホイしていた紙の束はわたしの前を素通りするだけだ。しぶしぶわたしは鞣た革の割れたドクターバックに入るだけの身の回り品を詰めて、謝り屋が詰める部屋へ向かう。
場所がちょうどいいって、なんなんだ。
他の余計は一言も加えず、そのひとはそれだけを言い訳にした。齢廻りがうってつけなんだよなァとか、様子がいいところがぴったりなんだョとか、慰めに水を向ける言い訳ならほかにもありそうなものを、よりによって場所がいいだなんて。謝り屋に向いた場所のある女なんているんだろうか。そもそも場所のある人ってなぁに。
ほんとぉ、適当で、いい加減で、ひとごとみたいに置きっぱなし。
ただただ耳障りがいいだけのひと。いつもお腹の足しにならないことばっかり言ってるひと。
そんな単純な悪口がぽんぽん出てきたら、あきらめがついたように前のことを忘れることができた。
紙の束をラグビーボールみたいにホイホイしてた掛け声も、かつての女子高生が窓の外のグラウンドに浸っていたように、聞こえなくなった。
「謝り屋だって、所詮、他人ごとなんだから」って言ってくれればいいのに。でも、それを言ったら、わたしが他人ごとだと割り切って出来ないのをしってるから、それを言わずに腹をくくれるように仕向けてくれるひと。
やっぱり優しくてセンスあるんだと、あやうく褒めてあげそうになって、覚めた。




