脳天から兜を割られた魚のあたま
夜を通しての夢なので昨日の頁から書き記す。
バイオレンスだった。取っ組みあった片方の男が相手の額の真ん中をピストルで打ち込んだ。掌に載るような女の子が持つ護身用のピストルだが、至近距離だし、煙も出していたから、ちゃんと相手の男の額の中央に焦げた黒い穴が出来ていた。
それでも、音はしなかった。
血も焦げたものに混じった血糊のようなものしかはみ出てこない。それが不安だったのか、今度は心臓の方を貫く。もう掴みかかることも逃けることも出来ない相手だから、撃った弾はその瞬間から心臓の中央に収まっていると確信できた。
だからか、今度も音はせず血糊も弾で穴の空いたシャツにほんの少し染み出ているだけだったのに、とどめを刺した安堵感を持って去っていった。
なにか、残尿感が残るので撃たれた男の断末魔を見届けたかったのだが、大きな倉庫のようなその場所は、次のバイオレンスにターンする。
得体の知れない魚ばかりが並んでいる。
黒褐色の鈍い光沢が薄暗い倉庫の灯りに照らし出されている。その度に、軟体の生き物のぬめりがあたふた蠢く。
元はどれくらい大きかったのだろうか。解体され、あたま、身の代、それぞれ半分だの四等分だの角を立てて分割した塊がうごめいている。
グロテスクだと顔を背けようかと、思ったときだ。
死んだ父に似た小柄な老爺が、組みつかれたらそのまま尻半分をもっていきそうな下顎の肥えたあたまに追いかけられている。
脳天から半分に兜割りされて軽くなったせいか見た目よりもすばしこい。顎の下から小さな足でも生やしてるのかと思わせるようなチマチマしたねちっこい軽やかさで、その老爺をいたぶるように追いかける。
よく見ると老爺は死んだ父とは似ても似つかないヒヒのような親父であったが、はじめに重なったせいか、そうだと分かっても哀れに思えてならない。
哀れではあるが、わたしがどうにかすることは出来ない。
ふたりの間合いに割り込むように、早く早くと唱えることしか出来ない。
真夜中であるのに、そこで覚めた。みると、2時を超えていなかった。わたしは人助けをしたような心地でそのままあと3時間、布団に埋まったままでいた。




