表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/231

靴先の白い靴

 靴屋に居るらしい。

 大きくはないが上下2階で従業員を廻しているような店だ。わたしは上の階で接客してもらってるから少しお高めの客で、そうした客を扱う店員とお喋りしながら靴を選んでいる。2階にはワゴン山積みの靴にエンドレスのほじくり作業をしているおばさんはいないし、自分の靴を買ってもらいに連れてこられているのにはじめから飽きて走り回っている幼な子もいない。

 快適な買い物するための大人の空間だ。


 それが、少しずつ展開が変わってきた。落ち着いた空間のところどころがモゾモゾし始めた。それが合図なのか、その妙齢の女性店員はわざと少し困った状況を作り出し、わたしから遠ざかろうとする。わたしはわざと空気の読めないフリをして穏やかな顔を崩さない。そんな綱引きばかりを繰り返していても、当然引っ張る方が強いから、彼女は「少しお待ちください」を告げて奥へと引っ込んだ。

  

 わたしは、理由も告げず奥に引っ込んだ店員にただただ待たされるだけだった。お客を待たすには長すぎる時間が経っていく。さすがにわたしもモゾモゾの空気を吸ってイライラし始めると、レジ脇のクリップに次のスタッフに宛てたメモが挟まっていることにはじめて気づいた。それは、そのお客にも読んでもらいたいのか畳まれず拡げたまま挟まっていた。


 ー この店の同じ靴のクレームの過去最多は6回。でも白い靴先の靴のこのお客は7度目を言ってくるー 


 わたしは、上の階で大人の快適な空間で買い物をする少しお高い客として接客を受けていたのではなかったのだ。と気づいたところで、覚めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ