馬面剝(ウマヅラハギ)の子馬
冬の夜明けに、なにかとてもたゆとうとした温かな夢を見ました。
正月から2月へと月をまたいだ夜に夏の夢をみた。
戸板といった戸板、襖という襖をみんな外した大きな田舎家に楽しそうな人たちが群れていた。身内か或いはそれぞれの親しい間柄の人たちばかりで、顔が集まっているだけで楽しいといっている。
なかには死んでしまっている人や幼いころに若返っている人も混ざっていた。
だから、一目でいいから、そんな姿を見てみたいと漏らしたため息が全部ひっくり返されたような嬉しさで、涙がハラハラ落ちてくる。
こんなとき真っ先に泣いてるだろう妻の顔が見当たらないので、そちらに向かうと、縁側が付いていたあたりがドドーンと遥かの田んぼまで清水の舞台になって伸びていって、庇がつくった影の下、小さな子に混じってすやすや寝息を立てている。
遥かの田んぼはまだ何も植わっていないのか水が澄んでいて、遠目にも中の様子が見てとれた。
皮を剝がれたウマズラハギが、いっぴき泳いでいる。皮が剝がされているので薄く透けた肉をとおして内臓がよく見える。青い色した肝臓の照かりもよく見える。気持ちよく水面を波立たせ、キラキラきらきらを返してくる。
そんなのどかなキラキラを三度かえしたあと、ウマヅラハギは顔ばかりでなく身体もそれの、小さな子馬に変わって懸命に田んぼを泳いでいた。皮を剝がれた身体は標本のようなスケルトンの桜色した肌で泳いでいる。青い色した肝臓は真ん中を巾着に絞られ、睾丸となってぶらさがっている。
小さな馬の好きな妻に教えてあげようと寝息の身体を揺らしていたら、そこで覚めた。




