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大げさな学芸会

幼稚園の頃に学芸会の主役の女の子に憧れていた気持ちって、おじさんのボキャブラリーで足してみると、こんな感じかなぁ

 会場はお客を入れる椅子のついた箱だから公民館とか○○劇場とかの施設なのだろうが、どんなに大掛かりでも学芸会の匂いはついて回る。

 お客というのは、それぞれの出演者についた身内だ。ステージに上がる者たちはファンと呼んで羽振りを利かせようとしているが、後ろにたくさんを従えたしたり顔をしても裸の王様のパレードよろしく従者の片鱗さえ見えてこない。個々のステージが始まったとき、果たしてこれだけたくさんの椅子に座る様子が本当にあるのか見ものである。

 ドラッグクイーンがベースらしいが、子どもが出来て手を引きながらの親子パフォーマーもいれば、昭和のコントのようなお茶を引く留めそで姿の姐さんふたりが、カツラをぬいだ手ぬぐい頭で柱の陰で見えないように一服していた。隠れてはいるがこんなところで煙をたてているのだから、きっと10年以上は昔のことなのだと分かった。

 そんな中、ずっと気になる親子がいる。アクセサリーのような3歳児でなく,小生意気そうな12歳に手をひかれている。いまでも10名のファンが付いていて、親衛隊などともてはやすおじさんたちにおどらされて親子ともどもこんな派手な格好をして出てきたのに、一人としていっこうに現れる気配がないのだ。 「ママのブルブル、こっちにも来ちゃってるよ」と、小生意気な娘が囁いてくる。いまにも厚塗りのアイシャドーを割って涙がこぼれ、純白でフリふりフリルであつらえた衣装がインク瓶を倒したように染まっちゃったらどうするのの声まで聞こえてきた。

 そんな声まで聞こえてきたら「あー」と声を立ててしまい、振り返られてしまった。「だいじょうぶ、だいじょうぶ」覗き見してるのは私だけだから、そんな怪しい言い訳では納得してはもらえない。

 「ファンなんです。むかしから、ずーっと」

 小さなブーケを両手に握りしめて、彼女に差し出す。もうアイシャドーが落ちる心配がなくなった彼女は、やっと安心している受け取ってくれた。「わかってますよ。おじさんだからってそんな恥ずかしがらないで。わたしだって、ほら、こぶつきのおばさんになっちゃったんだモン」

 アイドルの上からの目線には戻ったけれど、安心を捕まえたから、うるんだ瞳はもうはちきれそう。そうそう、その瞳、だれだっけな、芸能人じゃなくて、もっと身近な誰かだよ。実際に逢ってるんだよ。喋ったり、一緒に飯食ったり、ほーんと、付き合おうとまでしてたんだよ、オレ。


「もう、二人していまさらいい年して、ぐるぐる回るばっかりで、・・・・いい加減にもぉー、やっちゃいなよ」

 声変わりした娘のはっきりした大人の声で、覚めた。


 

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