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白い小さなスピーカーを真っ二つに割った
白い小さなスピーカーだった。A4の紙の右肩にプリントされているくらいだから、親指のはらの先よりももっと小さな丸。それをどうしても半分に割らなければいけないらしい。そんなことしたら壊れるじゃないかと言ったが、大丈夫と言われ、しぶしぶ剝がしにかかる。 ー 剝がすのが難題なのだ。剝がしてしまえばあとは何とでもなると、嘯いている。なんだか腹立たしかったが、かかったあとで立ち止まれるような身の上ではないので、一心にほじほじほじほじを繰り返す。
ぱっらーン。
剝がれるのと割れるのとは同時の同じ音だった。スピーカーだけにそうしたところは正確で潔い。冬を間近にひかえた砂浜に居た桜貝の片の白さと重なった。重なったら、精一杯ひろげた扇のように薄く張り詰めたスピーカー本来の質感を取り戻し、身はおのおの半分ながらもカーオーディオとなって通勤途中のわたしを慰撫してくれている。




