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機神冒険活劇<カリュプス プロヴォカーレ>  作者: 九傷
序章 とある未踏領域に挑戦する開拓者達
1/20

第0話 大開拓時代

※序章は読み飛ばしても問題ありません。



 ――――大開拓時代。


 それは、数多の<開拓者>達が、デウスマキナと呼ばれるロボットを駆り、世界各地に存在する未踏領域に挑戦し続けたことから、そう名付けられた時代。








『シャル! そっちに一体行ったぞ!!』


『わかってるわよ! 本当、どれだけいるのよ! この猿達は!』



 10メートルを超すであろう巨大な猿が、強靭そうな牙を剥き出しにし、ピンク色のデウスマキナに襲い掛かる。



 "fraise(フレーズ)marron(マロン)! 動きを止めて!"



 シャルロットの脳波から命令を受け取り、彼女の機体【シャトー】の背部ハッチから2体の機影が飛び出す。

 1つは地を駆ける猫のようなシルエット、そしてもう1つは空を駆るフクロウのようなシルエットの小型自動人形である。


 marron(マロン)と呼ばれた猫型の自動人形は、素早く巨猿の足元に近付くと、牙を剥いて足首に噛り付いた。

 それと同時に、fraise(フレーズ)と呼ばれたフクロウ型の自動人形は、巨猿の目を狙って執拗にヒット&アウェイを繰り返す。

 堪らず足を止めた巨猿は、小虫を払うかのように忙しなく手足を振るう。



 "よくやったわ! fraise(フレーズ)marron(マロン)! てぇぇーーーい!!"



 動きを止めた巨猿目がけ、【シャトー】が肩口から突進(チャージ)を仕掛ける。

 自動人形達に注意を払っていた巨猿は、これを躱すことができない。



赤の螺旋(トゥワ・ルージュ)!!!』



【シャトー】の肩に存在する、赤い円錐。それが唸りを上げ高速で回り始める。

 そんなものを突進力任せに受ければ、所詮は生身である巨猿に防ぐことは不可能であった……

 大きな貫通痕を残し、巨猿が地に倒れ伏す。



『なんとか仕留めたけど、こんなのキリがないわよ!?』


『わかっている! トオル! 早くしてくれ! このままじゃ押し込まれるぞ!』


『わかっていますよ!? くそぅ……、開拓者がこんな大変だなんて、話が違うじゃないか……!』



 悲痛な叫びを上げながらも、トオルの駆る【土蜘蛛】は着々と仕事をこなしていた。

 戦場を縦横無尽に駆け巡る蜘蛛型のデウスマキナは、最後に一番後方にいた巨猿を飛び越え、高台の上に着地する。



『準備オーケーですよ! マリウスさん!』



 トオルが合図を出すと、それまで何も見えなかった巨猿達の周囲に銀色の糸が浮かび上がる。



『良くやった! 相変わらず良い仕事だ!』



 マリウスは抑え込んでいた巨猿達を弾き飛ばし、銀糸の結界に放り込む。



『行けるか相棒』


『ええ、セットは万全です。マリウス』


焦熱地獄(インフェルナス)!!!!』



 瞬間、眼前に広がる銀糸の結界を包み込むように、爆炎を伴う熱線が空高くまで巻き上がった。







『……疲れた』


『本当ですよマリウスさん……。まだこの、【マグヌム・オプス】に入って1キロメートルも進んでいませんよ? こんなの絶対無理だと思います……。もう、帰りませんか……?』


『ハァッ!? 何言っているのトオル!? ここに来たのはアンタのためでもあるんだからね!?』


『お、お気持ちは大変有難いんですけど……、ちょっと想像と違ったって言うか、斜め上だったって言うか……』


『……つべこべ言っていないで行くぞトオル。残念だが、俺も帰る気はない。今帰ってもくたびれ損だからな』


『そんなぁ……』





 ――――イクス暦2138年。

 大開拓時代が始まってから、およそ160年。

 開拓者達は未だ、新天地を求めて未踏領域に挑み続けているのであった。


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