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仔リスのピピンのねがいごと

作者: あさむら

 仔リスのピピンはいつも一人ぼっち。とっても恥ずかしがりやで、お話しするのも苦手で、なかなか友達ができないのです。人気者のウサギのシャルルが、たくさんの友達と遊んでいるのをいつも遠くから見ては「いいなぁ。あんな風に僕もたくさんのお友達がほしいなぁ」と思っていました。


 ある時ピピンが本を読んでいると、その本に〝お星さまにお願いを言うとかなえてくれます〟と書いてありました。ピピンは「これならできるぞ」と思い、その夜さっそくお星さまにお願いをしました。


「お星さま、どうかお友達ができますように」


 翌日ピピンは、ドキドキしながらシャルルたちが遊んでいる近くの広場に行ってみましたが、お友達はできませんでした。


 ピピンはがっかりしながらお家に帰りましたが、「そうだ、お星さまより大きなお月さまならかなえてくれるかも」と思い、その夜はお月さまにお願いをしました。


「お月さま、どうかお友達ができますように」


 翌日ピピンは、ワクワクしながら、昨日よりもっとシャルルたちの近くへ行ってみましたが、誰とも友達にはなれませんでした。


 とてもがっかりしたピピンは、その夜考えました。「うーん、何がいけないんだろう。そうだ、お月さまより明るい、お日さまにお願いしてみよう」。


 翌日。ピピンはお日さまがよく見えるように、広場の真ん中までやってきました。広場にはシャルルたちもいて、みんなで楽しそうに遊んでいます。ピピンはそれを見て「やっぱり、いいなぁ」と思いました。そして「お日さまにお願いすれば、僕もいっしょに遊べるはず!」と、キリッとお日さまを見上げました。けれどそのとたん、「うわぁ、まぶしい!」。お日さまのあまりのまぶしさに、ピピンは目がくらくらして、しゃがみこんでしまいました。しばらくそうしていると、ピピンに話しかける声が聞こえました。


「どうしたの? 大丈夫? 具合が悪いの?」


 ピピンがそっと目を開けると、遊んでいたはずのシャルルが心配そうにこちらをのぞきこんでいます。ピピンはちょっとびっくりしましたが、小さな声で「うん、大丈夫」と答えて立ち上がりました。そんなピピンを見たシャルルは少しほっとした様子で、「君も広場に遊びにきたの?」とピピンに聞きました。お話しするのが苦手なピピンはビクビクしてしまいましたが、いつも見ていたシャルルから話しかけられたのが嬉しかったので、勇気を出して言いました。


「うん。遊びにきたの。あのね、僕とお友達になってほしいな」


 ちょっと震えた声でしたが、シャルルにはちゃんと聞こえたようでした。シャルルは笑って


「もちろんだよ。いっしょに遊ぼう」


 と、ピピンを他の友達の輪の中へ連れて行ってくれました。


 みんなと仲良く遊んだその夜、ピピンはお星さまとお月さまを見ながら思いました。「今日はとっても楽しかったな。お星さまたちがお願いをかなえてくれたのかな」


 ピピンはそう思ったけれど、お星さまもお月さまもお願いをかなえたりはしていません。けれどピピンは、だんだんお友達が増えて、毎日楽しく遊ぶようになりました。


 何日かたったある日、ピピンはシャルルに「どうやってお友達と仲良くなれるの?」とこっそり聞いてみました。シャルルといっしょだと、まるで魔法のように簡単に友達ができるので、とっても不思議だったのです。シャルルは笑って「いっしょに遊ぼうって話しかければいいんだよ」と答えました。


 それからというもの、ピピンは恥ずかしくても、毎日自分から友達に話しかけるようになりました。誰にお願いするよりも、それは本当に簡単で、でもずっと大切なことなのだと気づいたのです。


 そうしてピピンは、ちょっぴり恥ずかしがりやだけれど、友達がたくさんいるピピンになりました


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