姉弟の歴史 思春期
年長組が中学にあがったぐらいからは弟としてだけではなく一人の男としても恋して愛するようになっていく。
いわゆる思春期への突入。
周りから他の男の子を排除しているわけだから異性としての対象が弟に向かうのは必然だった。
これが血のつながった実の弟だったらここまでひどくはならなかったのかもしれない。
そしてそんな年長組を間近で見ている妹たちもその影響を受けていく。
姉と同じように同じような時期に強制的に思春期に突入。
いままでも弟の所有権を周りにアピールしていたのがさらに酷くなってしまう。
いよいよ親友クラスの同性以外の友達はいなくなってしまう。
しかし姉妹はそれでもよかった。
姉妹のだれもが最愛の人がもうすでに見つかってしまったと思っていたから・・・。
そのせいで姉妹間での縄張り争いが勃発しても仕方なしであった。
弟のほうはというと若干困惑はあったものの別段今の生活が嫌ということはなく今のままでもいいかとながされていた。
弟のほうも姉たちと同じような時期に思春期に半ば強制的におしあげられたなかで自分がいかにめぐまれた状況下にあるかは理解していた。
周りに自分を愛してくれる人たちがたくさんいる。
さらにその女の子たちは容姿端麗・品行方正・成績優秀・文武両道などとほめの言葉の四字熟語で学校でも近所でも噂されるレベル。
何をケチつけることがあるのか。
水面下で姉妹たちが縄張り争いをしているのだが我関せずといった感じで平和に日々を過ごしていた。
一方の親たちはというとちょっと問題かなとは思っていた。
問題というよりかは危険だと。
年長組が高校生になってまで男の子とお風呂に一緒に入っているのを見てその思いを確定させていく。
ちょくちょく折を見てはいろいろアドバイスという名の制限を与える。
しかしそれは逆効果だった。
恋に障害はむしろスパイス。
想いを強くしてしまう。
すでに男の子に対する好感度パロメーターは振り切れて壊れている状態の姉妹。
例えるなら表面張力まで入れたコップの状況の姉妹たち。
水いっぱいのコップに水を入れれば溢れるだけ。
さらなる水を足してはいけない。
しかし足してしまった。
高校三年生であった年長組は暴走しついに弟に手を出してしまう。
それに負けじと他の姉妹も次々と・・・。
この事件〈スキャンダル〉があって四家の関係性を大きく変えることになるのだがそれは当然のことだった。