姉弟の歴史 少年期
男の子はそんな風に女の子に囲まれた状態で育っていく。
親の影響か家族・実の弟のように扱われながら。
最大限の愛情を受けて。
やがて子供たちは幼稚園や義務教育に年齢順に進んでいく。
後から来るであろう最愛の弟にいいところを見せるために先に進む姉はその優秀な才能を開花・研鑽していく。
男の子と同じ年の女の子も頑張る。
姉と同じく才能の開花・研鑽はもちろん弟を守るという名目で常にべったりくっついている。
同じ年なんだから実質的には姉も弟もないのだがべったりだ。
そのことで度々姉妹喧嘩も起きるが他に悪い虫がつくぐらいなら・・・と収まるのが毎度のことだ。
そしてすごいお姉ちゃんを間近に見ている男の子もつられるように頑張っていく。
結果この四家の子供たちはとても優秀なことで評判だった。
親たちはその様子を見て鼻高々。
仲の良い姉弟になったものだと微笑んでいた。
しかし・・・。
そのうちあまりにもうちの子たちが他の子との交流をしていないという問題に気づいてしまう。
特に男の子は他の女の子との交流は姉妹によって全部遮断されている。
他の男の子との交流も同じ理由でごくごくわずかである。
それは姉妹にも言えることだった。
弟である男の子以外はいらないとばかりの交友関係は男の子の交友関係と真逆の状況が作り出されていた。
つまり女友達はごくごく少ないながらもいるが男友達はいないという状況である。
これは誰かからの計略ではなくむしろ自分から男友達などいらないという姿勢を貫いている形だ。
弟さえいればほかの男はいらないという考えがこのころから出来上がりつつあったようだ。
それはいちばんの年長組が中学に入学してからも続いていき本格的に頭を抱えなければならないようになっていく序章であった。