姉弟の歴史 幼少期
中の良い軍団の中に一人男の子が生まれる。
それだけの出来事だけどそれはこの軍団にはおおきすぎる結果を生む。
黒の奥さんも他の奥さんもこの男の子の誕生で子供を産むのをやめたのだ。
別に夫婦仲が悪くなったとかではない。
事実合体時の声が漏れ聞こえてくるのを近所の人たちが聞いていたりしている。
男の子を生んだ奥さんは女の子をそれ以外の奥さんは次こそ男の子をと頑張りそうなものだがなぜか。
それはその男の子を軍団の子・つまりは息子として扱うことに決めたからに他ならない。
そしてそれに伴ってそれまでに生まれた12人もの女の子も皆の娘とすることを決めた。
そうなってくるともう子供は・・・という考えになったのだろう。
普通に保育園が開けそうなぐらい子供がいるわけだし仕方のないことといえば仕方のないこと。
このあたりの考え方は一般人とはちょっと違っていたのかもしれない。
家の塀を壊して四家が交わる部分に子供部屋として小屋を建てて遊ばせるなんて考えもそういう考え方から成せたことなんだろう。
親たちは皆を平等に愛した。
しかし無意識に男の子にやさしくしてやることが多かった。
自分たちが焦がれていた男の子がいたから仕方なかったのかもしれない。
普通ならよその子を大事にしている様にむくれるはずの行為。
むくれるまでいかないにせよ面白くない行為には違いないはずである。
しかし最年長の女の子も男の子とそう変わらない女の子もそれに対して文句を言うことはなかった。
我慢している風でもなかった。
むしろ積極的に男の子を特別扱いしようとしていたのだ。
これが本能からくるものなのか遺伝なのかはわからない。
女の子同士の喧嘩は多々あったりしたが男の子に対しては喧嘩もなくやさしく接し続けたのだ。
その異常性に誰かが気づけば良かったのだが男の子に浮かれる四家の幸せの中においては見過ごされてしまわれたのだった。