姉弟の歴史 誕生期
普通の小さな町の一角にちょっと面白い並びがあった。
赤い屋根の元気で賑やかな奥さんの赤木さんち。
青い屋根の落ち着いた感じの奥さんの青木さんち。
黒い屋根のおっとりぽやぽや奥さんの黒木さんち。
白い屋根の気の弱そうな奥さんの白木さんち。
まるで中国の四神を表したような並びは何かを守っているわけではなく全くの偶然。
そしてそれに住まう人たちの名字も狙ったものではなかった。
しかし何かのシンパシーを感じ取ったのかその四家族はすごく仲が良かった。
住人はみな若い夫婦だった。
となると家族が増えるのも時間の問題であった。
赤と青と白の家からあまり間を開けることなく産声が響く。
それを皮切りに毎年のようにどこかの家で産声が上がる。
なぜこんなことになったか。
誰かが次は男の子がいいわねぇとこぼした結果だ。
競うようなものではないと思うのだがどこの家も競うようにせっせと子作りをした。
その結果である。
都合四人の子をなした赤青白の家の奥さんたち。
しかし男の子には恵まれなかった。
そんな折ついに黒の家から産声があがる。
周りが次々に子を授かる中ただ微笑んでおめでとうを言い続けた奥さんがこの競争の勝者となった。
ついに男の子の誕生であった。