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果樹園会合 6

一同絶句。

杏に至っては興奮マックスで失神寸前である。


まさか自分たちの弟がその世界では有名なフィギュア造形師・杏にとっては憧れの芸術家になっているとは思いもしなかったことだ。


同時に各々少し反省した。


もっと自分を高めることだけじゃないところにも多少は網をはっておくべきだったと。


「樹ちゃん=黒樹となればもう言わずともでしょ。私たちが担当者さんが聞きだした住所に手土産持って出かけた先にいたのよ」


「だから不可抗力なの」


「まったくうれしい誤算でした」


「そこから先は皆なら同じ行動をするでしょ?」


「住所はもうわかっているからその他の連絡番号をゲットするのももののついでというものなの」


「まあいっくん、電話は引いていなかったわけなんだけど。仕事のアレコレでメールアドレスだけは持っていたからそれはゲットできた」


「この時代に携帯電話もスマホも持たないなんてある意味凄いけどね」


そして何も言われないことをいいことに一気に話を進める田舎組。


流れが自然であり奇跡というような偶然が重なりすぎではあるが納得せざるを得ない状況がである。


しかしここにいる誰もがこの運命のイタズラに思ってしまった。


うらやましい、と。


しばらくして。


ようやく自分の中で納得して復活した人が出始めたころである。


「それでその情報は私達にも教えてもらえるモノなんだろうか?」


「それはもちろん」


梅の質問に真摯に返す田舎組。


本当ならこのまま秘密にしておきたいものだが自分たちの保身にははしらないといけない。


ここで拒否した場合ほかの面々からくる嫉妬はとんでもないだろうし。


それにその程度の情報なら規制緩和がなされた今の状況隠していても仕方がない。


どうせこのあとそういった情報はママズに聞く予定であったのだから。


「すいぶん簡単にだな」


「そりゃもう。この情報を持っていたところでこれからはなんのアドバンテージにもならないし」


「ほぅ・・・。なんかやけに余裕がある感じだな。まるで何かまだ隠している感じがする」


「・・・・・ッ!い、いや、あの・・・」


あまりの簡単さにただの勘でつぶやいただけの言葉。


あまりに突然なそれに棗は動揺してしまった。


その動揺を見逃すような梅ではない。


氷の女王と呼ばれる仕事モードの梅が降臨されてしまった。


「何かあるのなら今のうちに吐いたほうが身のためだぞ。後に行けば行くほどバレたときの被害は甚大だぞ」


「そうよねぇ。さっきの連絡先の件だっていくらめったに会わないっていっても姉妹なんだから教えてくれていてもいいことよねぇ」


「自分たちが知った秘密で私たちからマウントを取ったつもりだったのかしら」


「それはさぞ気持ちよかっただろうねぇ」


「これ以上のことをしていてそれを隠すっていうんなら・・・ねぇ」


「うん。それ相応の覚悟が必要」


女王に引っ張られるようにいっせいに田舎組に詰め寄る姉妹たち。


この圧力に耐えられるのはよっぽどの勇者だ。


しかし棗・林檎・蜜柑はそれほどの勇者ではない。


むしろ今の状況ではオオカミにかこまれたウサギである。


圧力に耐えられるわけもなく自供をしてしまう。


「わ、私達今田舎に居を構えているって言ったでしょう?」


「「「・・・・」」」


ビクビクしながら小さな声で震え声でつぶやく。


続きを急がせる圧力はさらに強くなっていく。


つぶされそうになりながら問題の核心というさらなる爆弾を投下した。


「そ、その田舎に樹ちゃんがいて、ね。い、一緒の敷地に住んでいたり・・・?」


あまりの緊張感に意図せず最後可愛く言ってみた棗だったが周囲の目はそれを気にすることはなかった。


そんなことを気にする余裕は何処にもなかった。


あるものは絶対零度の目で。


あるものは般若の如く顔で。


あるものはシャドーボクシングを。


その言葉に田舎組以外の面々の頭に浮かぶ言葉は一つだった。


有罪ギルティ

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