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果樹園会合 4

「じゃ、大人しく吐いてもらおうかな。なぜ君たちは樹くんの連絡先を知っているのかな?」


どこからか持ってきたスタンドライトで棗を照らしながらベテラン刑事みたいなことを言っているのは檸檬である。


流石実力のみでトップを走る声優である。


その声色はとても普段かわいらしいアニメ声の持ち主とは思えないものだ。


どうやって出しているのかセリフの通り渋い男声での尋問はなかなかに迫力がある。


だれもこの寸劇を止めない。


むしろなぜという質問は誰しもがもっている。


その代表で聞きだしてくれるならそれを邪魔する必要はない。


棗と同じような境遇にある他二人はあたかも自分が尋問を受けているような心持で気が気じゃない。


棗を自分たちの身代わりに差し出したようで申し訳ない気持ちもあり心労がたまっていく。


こういう状況でむしろ普通は棗側につくであろう弁護士の梅も今回はもちろん刑事側なので弁護はしない。


むしろ爆弾発言をした棗を告訴したい気持ちでいっぱいである。


「いや、あの、ですね・・・私ら三人が樹くんの連絡先をなぜ知っているかというとですね・・・」


「いうと?」


「全く偶然知っちゃったんですよ」


立場的・年齢的に言えば檸檬は棗よりも年下であり敬語を使うなんて普通はしないのだが目の前の檸檬の剣幕についつい言葉がかわってしまっている。


「偶然?」


「は、はい。というかそんなに凄まないでくださいよ。意図があったりわざわざ調べてそうなったわけではないんですから」


「偶然でもなんでもあたしたちが知らなかった愛すべき樹くんの情報を持っているあなたをうらやましいと思わないとでも?」


「ス、スイマセン」


「で、どういう偶然よ?」


「は、はい。というか皆に確認があるんだけど・・・」


「今必要なことなら発言は許す」


黒樹こくじゅっていう人を知ってる?」


「「「・・・コクジュ・・・?」」」


棗の口から出てきた謎の人物。


半数が知らないというかんじのリアクションをとる中二人ほど耳に入れたことのある人物がいた。

尋問中の檸檬と杏である。


「たしか・・・人気のフィギュア造形師だったかな。あたしが声をあてたキャラを作ってとんでもない値段で売られていているって聞いたことがある」


檸檬のほうは普通に知っていた程度の説明だった。


しかし芸術家の杏の方はというと・・・普段からは想像できないテンションだった。


「杏が一番会いたい芸術家さん!あの先生の作品は素晴らしい!噂ではルーブルがぜひ作った作品を飾らせてくれって頭を下げてきたっていう伝説が!」


「ち、ちょ、ちょ。あ、杏ちゃん落ち着いて!」


おもわず席から身を投げ出して熱く語りそうな杏を思わずとめる隣の苺。


普段・・・というか今までに見たことのない実の姉に止めずにいられなかった。


その衝撃はほかの姉妹たちもいっしょだったらしくしばらく誰からも次の言葉がでてこなかった。

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