果樹園会合 3
『え?』
「電話番号はおろかメールアドレスも知らん。短大に行ったことは知っているがその後の消息はもちろん知らん。ママズに聞いてもそれは規制の範囲内ということで教えてもらえていない。現在どこにいて何をしているかも全くわからない」
梅の衝撃の言葉に追い打ちをかけるようなさらなる梅の言葉。
しかし意外でもなんでもない。
そういえば私たちも知らない。
そのことを大多数の姉妹たちは思い出していた。
そして今日この会合に来た目的の一つを思い出していた。
許される日なんだからその消息や連絡先を聞いても怒られることがない・怒られる必要がない。
なので今日親たちに聞くつもりもあって集合したというのが目的の一つだった。
「なのでこの後・会合が終わったのちでママズに聞くつもりでいた」
「なるほど納得」
「そういうことなら梅姉を責められないわ」
「じゃ、ちゃっちゃと進めて皆で聞きに行きますか」
「さんせー」
発起人でさえ知らされていなかったことであらためて自分たち姉妹が平等だと再確認した姉妹らは一致団結感が増した。
これからの会合がもっとスムーズに進みそうな雰囲気が出てきた。
しかし・・・三人ほど顔色が・・・。
田舎から来た三人組だ。
テンションのあがりつつある中でそれほどあがってきていない三人にいち早く気づいたのは普段から患者の顔色を見ている桃である。
「あらぁ?三人ともどうかした?顔色が悪い気がするんだけど・・・」
声をかけられた三人はしどろもどろ。
「いや、あの、ねぇ・・・」
「うん・・・」
「何と言ったらいいか・・・」
言いづらそうな田舎組。
その態度に一同首をひねる。
そう。
彼女らは会っている。
しかも数時間前・朝一から想い人にすでに会っているのだ。
一同からの注目が集まる中黙っていてはおかしく思われる。
仕方なくみんなの視線が集まる中爆弾でしかない言葉を代表して棗が投下した。
「私たちは知っているよ。・・・その~・・・樹くんの連絡先・・・」