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果樹園会合 1

約束の時間となった。


そこに集うは姉妹全員12人の女傑。


結局誰一人として欠けることなく集合してしまっている。


一途というか未練しかないというか。


まあ愛ゆえになのでどうしようもない。


「うん。皆集まってしまったようだな」


「私としては何人かは来なかったほうが良かったかもだけど」


「それは皆そうでしょう」


「あわよくば発起人の梅姉はともかく他に集合したのは自分だけでしたが良かった」


「「「違いないね!」」」


普通一人の男を巡っての女の会合ってもっとギスギスしていると思われるんだがこの会合は和やかだった。


それは皆が姉妹だったからなのか。


はたまたその男が弟だったからなのか。


そもそも姉妹間で対立しての謹慎ではなかったのでわだかまりも無かったというのもあるのだろうか。


「ま。仕方がないか。さて今日この日いよいよ私達を縛っていた鎖が切れる。そのことの確認とこれからについての確認が今回の会合の主題だ」


なし崩し的に発起人たる梅が司会進行をあずかる。


そこに他11人が気になったことを質問形式でしていくのが今回の会合の進め方だ。


「鎖が切れた確認って何をするの?」


「これはボクらにとって重要な日だから忘れる人はいない」


「各々が覚えておけばいいことじゃない?」


「そんなことはもちろんわかっている。むしろこんな重要な日を忘れるような奴はここにおらんだろう。ただ他の目から見てもそうなったというのが大事なのだ」


「ほかの目?」


「でもあのことは外には漏れなかったんじゃなかった?」


「親・特に各ママたちに絶対言っちゃだめって耳にタコができるぐらい聞かされたし」


「そもそも冷静になった頭でアレはダメだったことって理解できたし」


「男女間のアレコレは別に他人に吹聴するもんでもない」


「だからまずその親たちからの承認がいるのだ。後々面倒ごとにならないようにな」


そう言って梅は一枚の紙を取り出す。


なにかの誓約書のようである。


流石凄腕弁護士である。


先回りして問題の芽をつぶしておいたのだ。


その書類には以下の文と今日の日付・四家の両親氏名とサイン・印まで押してあった。


『本日を持って息子・樹に対する接触制限を解除する』


これにより事件〈スキャンダル〉を知る全員から正式にあのころみたいに弟に気軽に触れ合えるようになったのだった。

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