集合 田舎組
「はあ。よっこいしょういちっと」
「・・・棗ちゃん・・・」
「ちょっと棗ちゃんババくさいよ」
「しかたないでしょ。普段あんまり動かないんだし」
ガヤガヤと三時のおやつ時にまた三人やってきた。
古のギャグをかまして突っ込まれているのは青木家次女・青木棗。
高校在学中にしれっとデビューを果たした人気ラノベ作家である。
その作品は男女問わず人気でいくつもアニメ化を果たしデビュー作に至っては4期の作成がアナウンスされたばかりだ。
書く作品書く作品アニメ化するし人気もでるもんだから『覇権を知る女』と陰で囁かれている。
そんな棗にあきれたように反応するのは青木家三女・青木蜜柑。
棗の双子の妹でもある。
高校卒業後専門学校に進み人気イラストレーターとして活躍している。
彼女に描いてもらった挿絵のある作品はことごとくアニメ化を果たすという謎のジンクスがあるため『映像化の女神』と崇められている。
現在のメインの仕事は棗原作のラノベである。
双子姉妹の合作となるこのラノベは比類なきセールスを記録している。
ちゃんとツッコミを入れているのは赤木家四女・赤木林檎。
こちらは棗と同様に高校在学中にデビューを果たした人気漫画家。
四コマと少女漫画の二刀流。
少女漫画の月刊誌で連載される彼女の漫画はギャグ多め恋愛少なめの少女漫画の概念からは外れたものだがそこが受けて強烈な支持を受けている。
本人は四コマに重きをおいた活動をしたいのだが少女漫画のほうがアニメ化したり映画化したりで忙しい状況だ。
もちろん二つ名持ちで『少女漫画の革命児』と言われていたりする。
「いらっしゃい。というか皆勤め人でもない自由業なのにずいぶん疲れているな」
「そうねぇ。それにもうちょっと来るなら早く来るかと思っていたかな」
「私達みたいに海外にいるわけでもないしね」
「〆切でもあったのかな?」
すでに来ていた姉妹からは歓迎される。
歓迎と同時に国内にいるのにこの時間まで来なかったことに対しての疑問が投げかけられている。
「あ~・・・今私ら超絶な田舎に居をもっているからね」
「田舎というか辺境?」
「バスや電車が一日数本しかないうえにタクシーとかないからね。移動が大変なのよ」
「あ、そうそうこれお土産ね」
そう受け答えしつつ手提げカバンからお土産をだす。
それはとれたて新鮮な野菜たちだった。
「む。これはいい野菜」
「とれたてらしいよ。手ぶらで帰省するっていったら持たされた」
「なかなか親切なご近所さんが居るみたいだな」
しばらく姉妹でお土産の野菜について盛り上がった。