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プロローグ
女たちはただ甘えさせたかった。
女たちはただ可愛がりたかった。
ただその様相は一般的な常識を超えてしまっていた。
そんな思いが暴走して周囲の方から怒られて早幾年。
ようやく許される時がきた。
許されざる間女たちは自己研鑽を積んだ。
一般的に見ればその努力・手法は異常とも思われるもの。
だが女たちは厳しく自分を律し己を磨いた。
その先にまたあの頃みたいな幸せが戻ってくると信じていたからしんどくはあれど苦ではなかった。
見事に美しく成長してそれぞれがその分野で名をあげるというとんでもないない兵〈つわもの〉へと変貌していた。
しかし・・・。
暴走時に止まってしまった気持ちはそのままだった。
今日も今日とて自分のすべてを使って一人の男を落とすべく頑張るのである。
あの頃のように純真に好きだから・・・。
その姿には自分の現在の地位も名誉もなにもかも意味はない。
あっても意味はない。
好敵手〈ライバル〉は同じように自己研鑽を行ってきた姉妹なのだから。