俺の話題のテクニック1
私の名前は横須賀うらら。特技は速読、趣味は紅茶の飲み比べ。最近おすすめな商品は、駅中百貨店地下で売っている海外発祥の紅茶専門店にあるシナモンローズティー。3分くらい抽出すれば、シナモンの甘味が口いっぱいに広がって、味覚が狂うほど爽やかな刺激を得られる。甘味が強いのに、爽やかな口当たり、余韻。矛盾しているようで、これがなかなかに成立しているから紅茶は面白い。
少々長くなってしまったけれど、紅茶や読書に夢中だった私に、新しく夢中になることができた。
それは、最近知り合った彼だ!
といっても、名前は知らない。顔もマスク越しでほとんどわかったものではない。それでも、気になってしまっている。隠されているからだろうか、尚更興味が湧く。とめどなく、あふれる。
いつも見ていたいと思うけれども、視線に気付かれたくはないから目を逸らしてしまう。でもやっぱり後悔する。よく見ておけばよかったって。
そんな彼との出会い(?)は私お気に入りのカフェ!
彼はよく焼きプリンとコーヒーを頼んでいるのだけれど、それをさぞ天国にいるような感じで楽しんでいる姿がたまらなく愛おしい。マスクを外しているから、直視なんて出来ない。しようものなら、私が昇天してしまいそうだ。
オススメのカフェにはオススメの店員さんも居る。とても可愛くてスタイルも抜群。お客さんみんなに愛されて、本当に素晴らしい人だって思う!
でもひとつだけ、彼を見るときの目が女のソレ。
まあ、わかりますよ、私だってそう。でも、私の許可なく彼を盗み見ては、ため息混じりで仕事に戻る。なんて贅沢なんだろうか!お客さんみんなに愛されているというのに、まだまだ足りないとでも言いたいのだろうか!
まあ、それもいい。今日の私は寛大だから、焼きプリンを頬張っているのだから、それも許そう。
私は家で食べる用の焼きプリンを買って帰る。
これは一つでは物足りないのが難点だ!止まらないおいしさというのも、罪なものだね。
味覚破壊紅茶と一緒に楽しんでみるのもいいかもしれない。家にいるからこそできる楽しみというのを、せっかくならやってみなくてはもったいない。
では、我が家のティファー◯君を紹介しよう。この子は最近買い換えた新参者。ピンクのボディに口先だけが白色で、注ぎやすいようにアヒルのような形状をしている。つまり普通のティファー◯だね。紅茶の専門家には怒られるかもしれないけど、より美味しく飲むために如何に早く手順を踏めるかも重要な要素なのではないかと、そう思うわけです。
だって、飲みたいときに飲めない。すぐ飲みたいのに我慢しなければならない。そのストレスが味に深みを持たせるて言われても、いや確かにそうかもしれないけど、でも飲みたいというテンションを持続するのに体力を消耗していては、本末転倒なのではないかと、そう思う次第です。
では、お湯を注いで3分。焼きプリンと味覚破壊紅茶を並べて準備OK。いざゆかん、未開の地。
「長ったらしい意見の割にはまともな話が一切ねぇ」
と、私の妄想力に声が飛び込んできた、その主は我が家の壊れかけ炊飯器が置かれているはずの場所。黒い高級車をイメージさせるような光沢はとうに無くなっているけれど、でもまだ現役でご活躍中のあの羽◯の炊飯器。踊るようなお米が炊ける、画期的なアレ。
そのゾウジル◯が、何故か私の妄想力の中に存在、実際に有ったのむぐぅ。
「とりあえず、このプリンを食べて落ち着けよ。な、美味しい美味しい」
うん。滑らかな舌触り、薄くかかったカラメルの香ばしい風味が後から漂う。そして全体を包み込むようなホイップクリーム(別売り)。最後に味覚破壊紅茶で流し込めば、もうプリンの味なんて楽しめない体になってしまった。
「台無しだよな、それな。何で遊んでるんだか知らんけど、とりあえず俺の話を聞いてほしい」
なぜゾウ◯ルシが喋っているのかは置いておき、ひとまずはソレの話を聞いてみる。
「実は、俺はこの国の住人ではない。俺はこの世界の住人でもない。お前たちの世界が危機に瀕したとき、俺たちはこの世に呼び寄せられ、そして何かに取り憑くんだ。前回は木。その前は鳥。そして今回は家電。」
あの、なぜ急に家電だったのでしょうか。もっとマシな何かがあったはずでは...
「詳しくは記憶の鍵が開かないため答えられない。しかし、俺たちは前回までの一定の記憶と、今回の目的を与えられてここにいるんだ」
「へえ、記憶と目的...ですか。なんだか面倒なことになっちゃいそうですね」
「ああ、本当は俺たちが独自で解決できればいいんだが、そうもいかない。俺たちは非力だからな。語りかけたり道を示すことはできても、解決するその力だけは与えられないんだ」
ふむむ、裏がありそうで、でもなさそうな、このモヤモヤとした疑惑...
「わかりました、これは夢ですね!」
「違う」
「いいえ、夢です。そもそもモノが話すというのが疑わしい.。じゃ、私はこれから現実世界に用がありますので、ここいらで失礼いたします。」
「用、だと?」
「撮り貯めたドラマを消化しなくては!」
「...そうか」
という言葉だけを聞いてから、早速床に寝転がりタオルケットに包まりながら眠りに落ちていったのだ。
じゃ、これで起きれますね!




