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俺の視線のテクニック2

1ヶ月更新なし!?

何を言ってやがる。俺は一度も週間更新するとは言ってないぜ!

「...なんのことさね?」


黒光りしたティファー◯みたいなこいつがとぼけるようにいう。


「だから、テクニックなんですよ。俺が欲しいのは!」


「んー、しょうがないさな。じゃあお店でも使えるテクニックがいいさね」


「いいね、さっきはボディタッチ系だったし、落ち着いた感じのを頼むよ」


黒光のそれは徐ろに水晶玉を取り出した。そうしてうぬぅとかすむぅとか唸りをあげながら水晶玉にその短いお手手をかざして、じぃっと覗き込む。


「それ、何か見えるのか?」


「いや、全くさね」


おい


「では、発表します。今回伝授する最強モテテクは、


“3秒見つめる”


さね」


え?


「おい、それだけでいいのか。なんか、大丈夫か?さっきのやつも、まあ難しいわけじゃなかったが、そんな誰でも簡単にできるだろ」


「まあ、そうさね」


「なんなら、今俺とお前がもう3秒以上向き合ってるじゃないか。ならお前とそういうことになってしまうと言うことか!?」


「...それがお望みなら」「いやです」


「まあ、冗談さね。おまんが見たところで、効果なんかないさな。大事なのは、相手もおまんの目を見ている、という事さな!」


ああ、なるほど。


「んー、相手によるよなぁ。まあ、あいつなら大丈夫だろ。行ってみるか!」


そうして2人は目的地へと到着をする。



「いらっしゃいませー!」


先にお客が入ったようで、中からとても元気のいい声がした。これは此ノ坂友葉(このさかともは)の、聞き慣れた声である。ハキハキとしたその声は、落ち着いた雰囲気のカフェには相応しくないほど元気が有り余っているが、それがこのカフェの魅力。ただ落ち着いたコーヒーや紅茶が飲みたいならば、上手くて安い店などいくらでもある。彼女はお客のニーズなのだ。

店の窓ガラス越しに眺めてみると、まばらではあるがそれなりにお客は入っているようだ。


『ともはちゃん、今日も元気だね』「はい!」

『おーい、ともちゃん!お水貰えるかい?』「ただいまお持ちいたします!」

『ともはちゃんありがとう!お会計お願いできる?』「ありがとうございます!合計1860円頂戴いたします!」

『ともはちゃん、料理運んでー』「はーい」

『ともちゃん、今日もかわいいなぁ。ぐふ』「はーい」

『ともはちゃん、会いに来たよー』「はーい」


お客さんがしきりに話しかけるものだから、友葉は落ち着いて仕事もできないようだった。


「こりゃ、聞いた以上の難易度になりそうだな...」


「さすがにここまでのレベルとは思わなかったさね。人気者というより、他の店員が可哀想なくらいさな。どうする、最強モテテクニックの変更も一応できるさな?」


「あー...いいや。せっかく教えてくれるんだし、やってみるよ」


俺はとりあえずドアを開けて中へ入る。


「よう、友葉。久しぶり!」「いらっしゃいませー」


『いらっしゃいませ、何名様でお越しでしょうか?』


暇そうにしていた別の店員が、俺の前に立ちはだかる。くそ、お前じゃないんだ。普段ならありがたいけどな!

2名と告げると空いている座席へ通された。やや広い店内であるため、テーブル毎に担当の店員が配置されているらしかった。つまり、よほどこの店員が忙しくないかぎり、友葉はこちらのテーブルに寄ってこない。すなわちミッション失敗である。


「注文前から詰みとは、なかなか面白い男さね」


「仕方がないだろ、これは俺のせいじゃない」


まあこのまま出るわけにもいかないので、軽く食事を済ませてから、トイレに向かう風を装い、友葉に近づく。


「(もう手口がストーカーのそれ)」「うっさい、黙ってろ」


「よお、友葉。お疲れ様」「はーい」


十字のような通路ですれ違ってみたものの、友葉はオーダー入力に集中しているようで、適当なあいさつを返してくる。

しかたない、極力邪魔をせずにいたかったが、肩を叩いて俺に気付かせることにする。10秒さえ貰えればそれでいい。なんせ3秒見つめ合うだけなんだからな!


「友葉!久しぶり!」


俺は名前を呼んだ後、彼女の肩に軽く触れた。


「え!?」


驚いた様子で俺を見る。いや、これはかなり好機!人間、びっくりした瞬間や理解できない事柄が目の前にある場合、大抵それをじっと見たりする。つまり俺にびっくりしている彼女は今、高確率で俺を凝視する筈だ!ならば、このチャンスを逃してはならない。無理矢理つくった禁じ手ではあったが、それも俺の宿願の為!俺は絶対に友葉の目から、視線を逸らさない!


友葉が振り向くように俺を見る。何故か超感覚になった気分の俺は、彼女が何処を見ているのか手に取るようにわかった。注文用端末から目線を上に向け、俺の顔に焦点を合わせる。その目は開き切っており、完全にびっくりしていた。

視線が合ったと感じてから1秒、彼女は目に渇きを感じたようで、まばたきをする。しかし顔はまだこちらを向いている。大丈夫だ。そのまま目を開けて見つめ直してくれ!


そして目が開いた!1秒、2秒!これで、俺の超絶モテテクが決まる!3び「(アウト)」アウトォォオオオ!


「ゆう、くん!久しぶり!...い、いま、忙しいから、また後でね!」


そのままお客様の方へ逃げるように向かっていった。

すいません、遊んでました。ごめんなさい。

本当は、頑張りたいんですよ?週間。

でもね、面白いの。映画の3作目が。もう見ました? すごいね、あのヒロイン。最後に全部持ってったよ!

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