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俺の視線のテクニック

蒸発しました。消滅しました。

何がとは言わないけど、終わりました。

これ本編とは関係ないです。

俺は家に着いた。結局今日は何だったのかを考える前に、まずゆっくりと落ち着きたかった。部屋着に着替えたあと、食卓机の椅子に腰掛ける。日課の青汁粉末inプロテインを牛乳で溶かして一気に体内へ流し込む。身体中の疲労が一気に回復物質へと昇華して、胃から腸から止めどなく活力が溢れ出す、そんな気分になった。実際の効果など、知ったことではない。


で、一息ついたところで今日の件について考える。あの古めかしいティファー◯が俺にアウト判定をしてから、一ノ瀬愛美(いちのせめぐみ)は落ち込む俺に戸惑いつつも、優しい微笑みをかけながら俺をカフェへと連れ出した。駅中にあるチェーン店であったが、一ノ瀬にとって場所など関係ないようで、俺と飲む紅茶を笑って、時に落ち着いた様子で楽しんでいた。まあ、こいつは昔からこういうところがあるのだ。自分の好きなものを追い求め、周りを気にせず、もちろん嫌な意味ではなく、自分の楽しみを見つけられるという良い一面がある。俺もそれにつられて楽しませてもらっているのだ。本当にありがたい。


「それにしても、あんな簡単なやつでさえ決められないとは、とんだ無能っぷりさね」


出たなティ◯ァーr...あれ。

俺が違和感を抱くのも当然であった。何せ、色が違う。外出し日に当たったせいなのだろうか。それにしては、褐色を通り越して黒黒としていた。サイズは同じであっても、黒光りするそれは古めかしい印象はなく、むしろ高級外車のダークブラックを思わせる。衝突したが最後、地獄行きのあれである。


「何しにきたんだ、お前は」


「俺っちかい?俺っちはあんたに最強無双の100発100中超絶怒涛のメチャウケ猛烈ドチャシコモテる必勝テクニックを授けにきたのさな!」


「な、なんだってーー!」


いや、しかし、だ。


「どうせアウト判定があるような、微妙に難しいやつなんだろ?」


「まあ、それはそうさね。誰しもが簡単にできてしまっては、最強無双どころか平々凡々になってしまうさな。そういう意味では、まあちょうど良い難易度かもしれんさね!」


簡単だ!と言われれば胡散臭く感じるし、難しいと言われれば、それはそれで面倒であるという、なんとも人間とは如何しがたい。


「で、俺はどうすればいいんだ?」


「おまんは気軽に誘える女性はいるんさな?」


「あー、さっきそれを試したばかりでね。生憎今日はどうしようもないかもしれない」


「なら、知り合いが居そうな場所とか、家とかはあるさな?」


「家というか、店ならあるかな。家がカフェをやってる友人がいるんだ」


「かふぇ?オイラは緑茶しか認めないさな!なぜあのような苦ったらしい劇物を飲まなければならんのさね」


「コーヒーのことを言ってるんだろうが、そんなに悪いもんじゃないだろ。それに、あの店はどちらかといえば紅茶の方が美味しい。しかも、友葉は緑茶の方が好きだったりする」


「ほーん。チグハグさね...で、おまんが会いにいく知り合いっていうのが」


「そう、此ノ坂友葉(このさかともは)。俺の行きつけの店の、看板娘ってやつだ!」



カフェへ向かう途中、俺は大事なことを思い出す。


「おい、超絶モテテクがあるとか言っておきながら、まだ何にも説明されてないぞ!」


「最強モテテクニックさね...まあそれはいいとして、本当に聞きたいさな?」


「?...当たり前だろ。早く彼女を作っていろいろ楽しみたいんだよ」


「ほーん、具体的に何かあるのさな?」


「え、まずはあれだろ。気軽に食事に出かけて、流れでウィンドウショッピングに行ったり。出かける回数も増えればお互いに距離感が親密になって...最終的にはあんなことやこんなことまで...ぬふ」


「鼻にシワ寄った笑顔がキモすぎるさな。いいか、悪いことは言わないから、親密さの先をゴールにするのはやめるのさね」


「え、どうして?」


「親密になることは間違いではないのさな。付かず離れずも一長一短。人の数だけ人生があるように、人の数だけ正解があるのさな。だから、一般解を求めようとするのはどうかと思うのさね」


一般解。


「といっても、定番デートや王道ルートがあるように、付き合うのにも定番があって然るべきじゃないか?」


「そうさね、それは難しいところさな。定番や王道は外しにくいのは事実さな。困ったときの教本として使うなら、むしろ積極的にいくべきさね。でも、決まりきった展開が、何度も続けばどうなるか...考えるまでもないさな?」


「けど、付き合ってる以上、そういうにゃんにゃん要素はあってもいいだろうし、何よりそれをしたいがメインであるといっても過言ではない!」


「男なら、それはある意味しょうがないさね。けど、それは王道の定番の一般解。つまりは差が生まれにくいわけさね」


「差...もっとハードにするとかそういうことか?」


「泣かせたいならそれでもいいさな。ちょっとでいいから、パートナーを大事に思ってるということを言葉や行動や内容に差をつけて伝えてあげるべきだと言ってるさね。その微妙な差があるかないかで、全く違ってくるのさな!」


「特別扱いってことか!」


「ま、個人の事情によるから、結局何を言ったとしても一般解にしかならないさね。あとは自分で、オリジナリティが強すぎないように加減しながら考えるさね」


なるほどね。


「いや、で、テクニックは?」

ガチで王道デートからアレンジを加えたい場合は、パートナーさんに提案してみればいいと思う。

知らんとか自分で決めろとか言われたら、それはお疲れさまでした。

パートナーさんが居ない場合は...ぬふ

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