表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セイバー・エンド  作者: 西之森 俊
8/12

セイバー・エンド 7

                   7






 俺は今朝も学校の自習室に来ていた。始業開始の八時よりも一時間以上も速い

早朝に登校なんて運動部かよと自分で自分に突っ込みを入れてしまう。

 俺、天月 怜は朝の実習室でどうしても試したいことがあった。昨日の夕方に

体験したあの妙な経験。その中で異常に印象が強かったキーワードを人工知能に

入力する事だ。

 実習室の一室に入り、実習用のPCの電源のタッチパッド部分に触れてPCを

起動する。人工知能フォルダにアクセスしてIDとパスワードを入力。育成中の

人工知能、「天月 玲」を起こす。

 『おはようー…怜~』

 PCモニターの中に表示された人工知能は俺の通う高校の女子用のブレザーの

制服を着た黒髪の女子高生の姿をしている。少し眠そうだった。

 「キーワード、タイムマシン」

 俺は早速、人工知能の少女に「タイムマシン」を検索キーワードに与えてみる。

 『んもー…おはようにはおはようくらい返そうよー…』

 やんわりと怒られる。ですよね。

 「おはよう、玲」

 少し緊張していたのか、俺の声は擦れていた様に響いた。

 『おはようー…』

 ゆっくり瞬きしながら眠りそうになっている人工知能の少女に、俺は再び学習

用のキーワードを与えることにする。

 「学習キーワード。タイムマシン」

 ぽぉーん…という音と共に少女の映像の前にメッセージウィンドウが現れる。

 いつものインフォメーション音がして、いつもの通知のウィンドウが開く。

 マウスのカーソルを当ててマウスの右面をダブルタップ。

 インターネットでタイムマシンについて検索してもよろしいですか? と、

メッセージが表示される。イエス/ノー。イエスをタップ。

 「これで良し…」

 俺は呟いて、実習室に椅子の上から人工知能の少女、「天月 玲」が目を閉じて

身体を左右に揺らし始めるのを確認すると、いつも通り学校の終業時間のぎりぎり

まで学習と情報の構築を続けて、自動でシャットダウンする様にタイマー機能を

設定すると、音声認証でコントロールをロックする。これで良し。俺は実習室を

後にする。

 学生証で実習室の出入り口をパスして、教室までの廊下へ向かうために連絡路を

歩いていく。

 と、強烈な立ち眩みを起こしてよろめく。

 軽い頭痛が少しの間だけ頭の中に居座り、消える。

 「なんだ…?」

 この感覚は、覚えがある。あの時だ。

 学生寮の前で、パニック映画のワンシーンよろしく停電みたいな状況に遭った

時に、こんな感覚に見舞われた気がする。

 念のため携帯電話…スマートサーバーを取り出して電源スイッチ部分に指を当て

て待ち受け画面を呼び出す。…通常通りのスマートサーバーの待機画面が現れる。

 異常なし。周囲を見回す。校内の案内用の電光掲示板のフルカラー液晶の画面も

いつも通りのインフォメーションを表示している。大丈夫だ、問題ない。

 「いやしかし、頭痛か」

 これは、気になる。何か別の要因でダメージをもらって何かひどいのを起こして

いたら堪ったものじゃない。

 俺は保健室に寄ることにした。あそこには簡易診断が出来る装置がある。生徒

手帳のIDで健康状態を診る検査を承ける事ができるはずだ。

 一階の保健室に向かい、そこで俺は簡易な診断を受けることにした。


 保健室から出ると一人の少女が保健室の前にいた。

 眼鏡を掛けた黒髪ショートの大人しそうな女の子だ。

 なんとなく気になるも、すれ違う。

 

 健康診断の結果は良好とあった。

 俺は額や頭を擦りながら、教室に向かった。


 




 「…んなぁ…」

 天月 玲は自室のベッドから起き上がる。実に健康的な目覚めで空腹だった。

 変な夢を見ていた。学校にいて、保健室に向かうと廊下で男の子とすれ違った。

 男の子が妙に気になった。見覚えがあるけど誰かは分らなかった。ホワイ。

 映画の製作に使えないかと考えながら、朝食を摂りに起きる。

 

 自宅は今は一人暮らしも同然だった。食パンを用意し、チーズとソーセージの

スライスを載せて焼きます。おいしい朝食が出来ます。なんということでしょう。

 「いただきますー…」

 ここであらかじめ作っておいた温かいカフェオレも飲みます。おいしい。

 「んなぁ…」

 欠伸しながら、ゆめうつつで、天月 玲は朝の時間を過ごす。今日が休日なら

完璧なのに学校なのです。しかも登校日にしているので通学に勤しまなければ

いけないのです。授業の全てを在宅受講にできたら良いのだけれどなー…。

 在宅受講だと人工知能を使った代行受講なんてことをして誤魔化すボンクラの

存在したせいで、授業の内容をちゃんと理解しているかを測るために中間試験を

受けないといけない。学校に登校して試験を受けないといけないのである。

 通信制だと卒業まで登校日なしとかもあったらしいけど、生徒自体が実は人工

知能でした…とかいうふざけたことをしでかした、通信教育の現場を踏みにじる

残酷な人間どものせいで、善良な生徒は朝から登校をしなければいけない義務を

課せられたのである。

 「ふあ…」

 欠伸を一つ。まあ、これはこれで健康的でいいので許そう。 

 私は両手を掲げる様に伸びをして、制服に着替える為に自室に戻る。寝たい。

このまま二度寝したい、けど、我慢だ。

 「それにしても…」

 欠伸を噛み殺しながら、私…天月 玲は思う。

 「リアルな夢だったなぁ…」

 私の学校、あんな造りだったっけ…?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ