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幼馴染は吸血鬼  作者: モク
7/7

二回目の吸血 終

「そこの百合ップル、そんなところでイチャイチャしてないで、本の中身見て欲しいんですけど」

  追いかけっこをしていた私と姫に、雪はそんなことを言い出した。

  別にイチャイチャしてるつもりはないんですけども。

 

「イチャイチャしてないし、それに見たくても見れないよそんなの! 私と水がしてるところが書いてあるんでしょ? それ」

「うんまぁそうだけど、いいじゃん別にもうあんた達二人何回もしてるんでしょ? S──」

  その禁句の言葉を、言おうとした雪はすぐさま姫に殴られた。


「その言葉だけはなんとしても言わせないからね!」

「いったいなーもー」

「それに私まだ処女だし」

  その言葉を聞いて、雪そして本を読んでいた風までもが驚きを見せていた。


「「えええええええええー!」」

  すると驚いた二人の目線は、私の方に向いた。


「まぁうん一応私もうん」

「あの人目憚らず、ちゅ、ちゅしているあの二人が、学校中の男子から顔はめちゃくちゃいいのに、百合だからという理由で絶対に手を出せない、校内一位と二位のあの姫と水が処女?」

  めちゃくちゃ早口だった。

  というか、手を出せないランキングとかあるの? 私達が一位と二位ってことは、三と四は雪と風なのではないだろうか?

  そんなことを考えていると、雪が急かすように話しかけてきた。


「それで? そこの百合ップルこの本の中見るの? 見ないの? どっち」

  私達二人は、少し照れながらも同時に答えた。

 

「「見る!」」

「それじゃあ早く見よ」

  そう言うと雪はページを開き始めた。


「なんで一ページ目から私の部屋が描いてあるの?」

「まぁなんかあんたら二人が、する時はどっちかというと姫の家かなって」

「何その変なイメージ」

「あ、姫家に帰ってきた。可愛い」

「もう水そんなことを言われたら照れちゃうよー」

  雪と風の私達を見る目が引いていた。


「あ、水もきたよ! 夏の制服の水だ可愛いー!」

「もうこの前まで毎日見てたじゃん」

  雪と風の私達を見る目がもっと引いていた。


「あー水が私を押し倒した!」

「あー!私が押し倒したのにキス先にしたのは、姫だった」

「水はそういう運命なんだよ」

「ホントに私が押し倒した時は絶対、私からするから」

「頑張ってね」

「あー! いつのまにか私が下になってるーなんでー!」

「だからそういう運命なんだってば」

「もー!」

  するとそこで、雪が突然喋り出した。


「なんであんたら二人がキスしてるシーンで、そんなイチャイチャできるの?」

  雪は根も葉もないことを、突然言い出したので、私は否定する。


「雪はどこを見て、私達がイチャイチャしてるように見えたの? ねぇ姫?」

「うん、全然イチャイチャしてないよ」

「あーもうお前らさっさと結婚しろ!」

「結婚なんてまだだよ、もっとちゃんと気持ち確かめないと」

「そうそう」

「だからその気持ちの確かめがいらないぐらいに。気持ち悪いぐらいイチャイチャしてんだから、さっさと結婚しろって言ってんの!」

「えーまだ無理無理、そんなことより早く続き見よ」

  私がそういうと雪は、呆れたように言い出した。


「わかったよ。もう私ツッコまないからね」

  するとページをめくり出した。


「あー姫が私の服、脱がし始めたー!」

「何この脱がされてる時の水の顔は、もうやばいよ可愛い!」

「◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、絶対◯だらけだけどもう見るの止まらないよ」

「◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

 ◯、可愛いよー水」

「足で姫が◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、早く早く、ページめくって」

 〜これ以上やるとマジでBANされそうなので、飛ばします〜


「この本いくらで売ってくれる?」

 本を見終わった私の第一声これだった。

 

「待って私は、その値段の倍の額出すから私に売って!」

  姫は私が買おうとしたのに、なぜか止めに入った。


「なんで止めるの? 私が買いたいの!」

「私もこの本欲しいの!」

  私達の言い争いを止めるように、雪が間に入ってきた。


「私一言も売るなんて言ってないよ!」

「え!?」

「なんで?」

「売ってよー! お願い!」

「私の今年のお小遣い全部出すから売ってよ! お願い!」

  私達は子供がスーパーでお菓子をねだるように、18禁の本をねだった。

  やっている行動は可愛いけれど、ねだっているものは、全く可愛くはなかった。


「絶対に嫌!」

  私達は二人同時に雪に文句を言う。


「「なんで!」」

  雪は少し悩む様子を見せたが、それを隠すように喋り出した。


「だってさっきの二人の会話聞いてたら、なんかもう本をあげるの、嫌になっちゃったから。それにこの本が、あんたらどっちかのオカズにされるって考えたら気持ち悪くて」

  雪の言葉は、全然理由づけになっていないような気がするけれど、納得せざる終えなかった。

  だってもうこれ以上どれだけ、ねだっても絶対売ってくれないもん。


「もうこういう時の雪は、頑固なんだから」

  私はそう言いながら、一つ気になっていることを質問した。


「一つ気になってたんだけどさ、雪はあんなプレイどこで覚えてきたの? 」

  私の残り少しのS心が、訴えている今雪を責めたら確実に落ちると。


「な、なんで? そんなこと聞くの?」

「いやちょっと気になって」

  私の質問に、雪は明らかに怯えていた。

  すると今まで、ずっと黙っていた風が突然喋りだした。


「その漫画、この前私が雪にしてあげたプレイそのまんまだよ」

  今まで黙っていたのが、この時のためと言わんばかりの情報だった。

  私と姫はその情報を手に入れて、ニヤけた。新しいおもちゃを親に買ってもらった時のように、喜んだ。


「ふーんそうなんだそうなんだ、雪も私と同じ側だったんだね。私は嬉しいよ」

「ってことは風が、私と同じSってことだよね?」

「ちょっとー! 風なんでそんなことを今言うの?」

「いや私のS心が、騒いじゃってね。雪のその顔を見れると思わなかったからさ」

  そう言っている風の顔は、私をいじめている時に見せる姫の顔に、とてもよく似ていた。

  怖い怖い怖い怖い怖い怖い。あの顔してる時のSの人はホントにやばい。

 

「雪ーねぇもっと顔よく見せてよ。その可愛い顔をもっとね」

「あのー風さん? 怖いんで私もう帰ってもいいですかね?」

「じゃあこれから私の家来る?」

「いやー今日はちょっと」

  雪がそう言い訳すると風は、雪の耳元で囁いた。


「来るよね?」

  こっわ。


「うん行きます。行きますからもう私の秘密暴露しないで」

「よろしい。じゃあ私達はもう帰るけど、二人はどうする?」

 私は、姫と目線を合わせて返事をする。


「私達はもうちょっといるよ」

「そう? じゃあ帰るね。バイバイー」

  そう言って二人は、部室を出ていった。

 


「風があんなに生き生きとしてるの、私初めて見たよ」

「私もあんな風初めて見た」

  私達は顔を合わして、笑いあった。


「ねぇ水、血⋯⋯吸ってもいい?」

「うん」

  私は一瞬の間も開けずに、一言そう返事をした。

  なぜなら私も吸って欲しかった。それだけなのだけど。


「いただきます」

  姫の今までの歯が、とんがった牙へと変わっていく。

  とても痛そうなその牙が、私の首元へと刺さっていく。


「うっー。アーっ。痛。」

  でもその痛さが、快感になっているそんな感じ。

  私は常に喘ぎ続けた。

  姫は私に噛みつきながら、部室の床に私を押し倒していく。

  私の足と足の間に、姫自身の片足を置いた。

  その光景は、もうアレをやっているのと遜色ない光景だった。

  このタイミングで、部室のドアを開けられれば確実に二人とも退学だろう。そう感じるくらいに姫は、エロかった。

  私はそれから、姫が血を吸い終わるまでの間、喘ぎながら血を与え続けた。


「美味しかった。ごちそうさま」

  そう言った姫の顔は、とてもいい笑顔だった。今までで最高の笑顔だった。

  私はこの笑顔を見るために、血を上げたそうに違いない。

 

「これからもよろしくね。姫」



  この世の人間は生きている間に、一度は必ず不思議な出来事にあっていることだろう。

  私はその不思議な出来事が、幼馴染だったと言うだけただそれだけ。

  ただそれだけの話なのだ。

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