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幼馴染は吸血鬼  作者: モク
6/7

二回目の吸血 一

 〜ある日の学校〜


  やっと舞台が移ったか、という感じではあるけれど、今やっていることは登校中と変わらなかった。

  そう姫と雑談しているだけ。ただそれだけ。

「姫、この後の授業なんだっけ」

「この後? あれなんだっけ?」


  こんなバカな雑談だ。

  ちなみにこの学校は、女子校ではないので、もちろん男子はいるけれど、私は一切男子を描写するつもりはない。

  この前も言った通り私は、この世に男はいらないと思っている。

  なぜならもし女同士で、子供を作れるのならそれだけで、男共はただの労働者。違う、者ですらない。

  ただの労働物。すなわち機械だ。つまり男はいらない、そういうことになるのではなかろうか?(これは差別用語になってしまうのかな?)

  そんなことを考えている矢先(私の願いが叶ったりはしないけれど)クラスの扉が開いた。


「おっはよー」

  そう元気よく挨拶したのは、私と姫が好きあっているのを知っている二人のうちの一人だった。

  名前は、雪風 雪 元気がよく私達のグループの、ムードメーカー的存在だ。

  ちなみに髪は短めで、胸は大きいので姫は、雪のことを目の敵にしている節がある。(仲はいいけどね)

  そして雪の後をつけるように教室に入ってきたのが、私達の関係を知っている(吸血鬼のことは知らない)もう一人。

  名前は、雪風 風 おとなしい方で、私達といてもほとんど喋らず、ずっと黙々と本を読んでいる。そんな女の子。(読んでいる本は、百合の観音小説らしい。ハードめなやつ)

  見た目は大和撫子っぽく凛々しい、髪も長め、胸も小さめ。そんな感じ。(大和撫子が胸大きいのは違うと思う)

  今この話を読んでいるほとんどの人が、雪風二人を双子かなにかと思っていることだと思う。

  私も初めて二人を見た時は、双子だと思い込んでいた。

  見た目は似てはいないのだけれど、やっぱり苗字そして名前まで、意味ありげだとやっぱり双子に見えてしまう。

  しかし二人は、双子でもなければ姉妹でもない、ただの他人なのだ。

  二人はたまたま同じ高校に入学して、たまたま同じクラスになり、たまたま友達になった。ただそれだけ。

  そんな挨拶してきた二人に(実際は一人だけど)私は挨拶を返す。


「おはよー!」

  私はそう言いながら、雪に近づいていく。


「雪──私、雪に話したいことがあるんだ」

  真剣な私に、ノリがいい雪は合わせてくれている。


「どうしたの?」

  私達二人の周りには、誰かが死んだレベルの真剣な空気が流れていた。


「わ、私今朝ね⋯⋯なんで男はいなくならないんだろってずっと考えてた」

  私自身もなんで、今このことを雪に報告したのかよく分からなかったが、雪は本当にノリが良かった。

  雪は右手を前に出し一言。


「私も同じこと考えてた」

  と言った。

  私は雪の右手を握った。

  すると私と雪の間に、謎の仲間感みたいなものが、生まれた気がした。


「二人とも早く席つかないと、先生来ちゃうよ」

  私達のこの空間をその一言で、壊した姫を私達は睨みつけた。

  当たり前だけど姫は怯えていた。

 


 〜放課後〜

  私達四人は、ある同好会に属している。

  その名前は百合の花研究会というなんとも、やっていることはわかりやすいけど、よく学校が許可したなという感じの同好会だ。

  しかしそれはあくまで、表の顔この同好会の本当の名前は。

  百合研究会。

  活動内容は、百合を研究するそれ一点のみ。


  私達は授業も終わり、いつも通り研究室こと部室に足を運んだ。

  すると雪が鞄の中から何かを取り出して、喋りだした。


「私、百合漫画描いて来たんだ」

「おおー、どんなのどんなの? 見してー」

  私と姫はそんな感じで、興味津々に雪の周りに集まっていく。この時も風は、無表情で本を読み続けていた。(まぁそんな光景もいつも通りの光景だった)


「よかろう。見してやる」

  そう言いながら出された百合漫画のタイトルは。


[幼馴染の純愛◯◯◯]

  というタイトルだった。もう完璧にR-18だった。


「この前の話で、あー尊いってなるような作品にしようって水と約束したの! 突然エ◯マ◯ガ出されて。あー尊いってなるやついるわけねーだろ!」

「私その話出てないから関係ないし」

  もうメタ発言だらけになってしまった。


「まぁまぁ内容は、18禁じゃないかもしれないし一旦その手に持った辞書を置いて」

  怒り狂った姫が、刑務所に行ってしまいそうだったので、私はなんとか姫の怒りを収めた。

  ふと表紙を見ると、今まで止める側だった私が怒り狂ってしまった。


「なんでこの表紙。私と姫なの? それになんで私が受けなんだよ!」

「「「そこ!?」」」

  三人同時にツッコミをされてしまった。今まで黙っていた風までもがツッコミを入れた。


「いやだって。水Mだし」

  私はさっきまで姫が持っていた辞書を持ち、雪に殴りかかった。

  しかしギリギリのところで、今度は姫が私を止めてくれた。


「だめだよここで、雪を殺してもどうにもならないよ」

  私は姫のその言葉に涙した。

  涙して崩れ落ちた。

 

「水がMだって証明してあげるよ」

  自身ありげに雪はそう言った。


「どうやって?」

「それはね。姫ちょっと水に向かって蔑みと罵倒をやってみて」

「え!? なんで私が?」

  当然驚いていた。

  いつもやっていることとはいえ(もちろん遊びで)今この場でやれと言われたら、きついものがあるのはしょうがない。


「いやいつもやってるし」

  雪は人の心がわからないのだろうか?


「いつもはやってはいないと思うけど」

「姫だって見たいでしょ? 水のそういう顔」

「べ、別に見たくないと思う」

「はいそれじゃあいくよ。三、二、」

  雪の勝手に初めったカウントダウン。

 無視すればいいのに、カウントダウンが進むにつれて姫の顔が変化していく。

  カウントダウンが終わると、姫の顔は私をいじめる時の顔になっていた。


「キモい」

  その一言で私の顔は──ニヤケていた。(変態じゃないぞ!)


「はいーニヤけたー! 水M確定!」

  私はそんな雪の煽りを無視して、姫に一言投げかけた。


「もう一回お願い」(変態じゃないぞきっと!)

  すると姫はその場から逃げ出した。

  私は姫をまるで餌を取られたペットのように、追いかけ回した。

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