異世界は一瞬の煌き(第9部)
楓は、闇の異世界へと向った
金色の髪とエメラルドグリーンの瞳
変貌した楓は、姿は変われど
楓自身は、何も変わらない
闇の異世界へと、向かう中
様々な思いと考えが心の中を
頭の中を、巡っていた
エメラルド色の瞳から
頬に流れ伝う一粒の雫が零れ落ちる頃
ゴオオオオオオ…轟音が聞こえてきた
まだ遠いが、聞き覚えのあるあの轟音だ
轟音が近付くとともに
楓も
「ふぅ…!」小さく息を吐いた
「さて、と行きますか!」
トン、と闇の異世界へと降り立った
ゆっくりと、轟音とあの声のする方へと
歩いていく、楓の胸の辺には
耀から、渡されたある物が
強い光を放っていた
何色もの色で、輝きを放っている
澄んだ美しい輝きと禍々しい輝きの
両極端な輝きを放っていた
楓
「ここら辺かしら…」
楓は、胸の辺から光を放つ物を取りだした
それは
耀から渡された石だ
しかし
今までの、石とは比べようがない程の
輝きと何十種類もの色を放っていた
その石をそっと地面に置く
石からは一瞬禍々しい輝きが出たが
すぐに
澄んだ光へと変わり
その光が徐々に広がっていき
地面が、色を持ち始めた様に思えたのだが
よく見ると
楓
「えっ?…」
石から伸び広がる光は無色透明
楓の足元から無色透明に変わっていく
時折、地面からは、白く淡い光がフワリと輝く
程なくして
地面総てが、無色透明へと変わり
楓の姿も
まるで鏡の様に鮮明にその姿が
映し出された
漆黒の異世界
その地面が無色透明へと総て変わり終えると
楓は、耀から渡されたもう一つの物を
今度は頭上へと掲げた…
それは
薄い下敷きの様な物でタブレットが
フィルム状になった様な物だった
頭上に掲げると強い輝きを放った
やはり、地面同様に無色透明へと
変わっていった
暫くすると
地面と、空の境界線がわからないほど
混ざりあった、2つの無色透明は
楓を、浮かび上がらせているかのような
錯覚を覚えさせるほど
完璧に、無色透明な異世界へと変わった
漆黒の闇、薄明かりに閉ざされた異世界は消え
街並みが、見えてきた
楓
次は…と、考えながら
「暗闇に閉ざされていたから、
見えなかったけど
こんなに素敵な異世界だったのね
もしかしたらこれが本当の姿
この異世界なのかもしれない」
街へと向かう中、そんな風に思えた
街へ着くと、街並みはごく普通で
建物や総ての家具類には色が無いことが
わかった、色がない
それは、総て無色透明
暗闇の世界の時は
色がないのは不思議に感じなかったが
灯り、とも言える、無色透明の世界では
不思議に感じた
楓
「さて、と…古布を探さないと…」
古布の場所は、意外と街の中心部にあった
漆黒の闇の世界だった、からなのだろう
中心部にある
楓の住む異世界でいうところの
図書館の様な物の地下に古布(羊皮紙)はあった
古布を広げ楓が手を翳す
いつもの古書よりも長い文章が綴られていた
これで
4枚目の古書の場所がわかった
楓
「えっ?!…そっか!…だけど?!…」
それは
楓の部屋だった
一瞬、驚きのあまり古布から手を離す楓
ハッキリとした楓の部屋の様子
その中で古布の場所と
窓が映し出されていた
楓
「窓?…あぁそうだわ、あの窓は
叶恵と初めてあった場所だったわね」
やはり意味があったのだと
漠然とだが、
どこか確信の様な、不思議な感覚にも感じた
次の異世界は、楓の住む世界だ
古布の場所を、探し初めた頃から
古布の最後の場所が、何処かの異世界に
あるとしたら
何となく
自分の住むこの世界は
違うかもしれないと楓は思っていた
古布とは全く無関係の世界
楓が、生きている世界なのかもしれないと
思っていた……。
次の異世界は
楓の住む世界、楓の部屋…だ
楓は元漆黒の闇の異世界
現在は、透明の異世界をあとに
複雑な心境を抱えながら
自分の住む世界、異世界へと向った…。