異世界は一瞬の煌き (第7部)
楓の消耗は、激しく
数日目覚めることなく眠り続けていた…
楓
「うぅん…」
隆史
「楓、大丈夫かい?」
楓
「えぇ…えっ?私…どれくらい寝ていたの?…」
隆史
「うん…3日くらいかな」
楓
「えっ?…そんなに…急がなきゃ!」
起き上がろうとする楓だが、
体が重く感じ、起き上がることが出来ずにいた
隆史
「楓、まだすぐには無理だょ」
楓の体を、そっと抱き起こした
楓
「だけど…時間が!…」
隆史
「そんなに急ぐ事なのかい?」
楓
「えぇ…」
隆史
「わかった…体がもう少し快復してから」
そう言いなから、楓にスープを飲ませた
楓は、隆史からスープを受け取ると
ゆっくりと口をつけた
真がホテルを訪れる頃には、
楓は、ベッドから起き上がり準備をしていた
真
「楓さん、早いね もうすぐ叶恵も着く頃だよ」
程なく叶恵も到着した
楓
「いよいよ、第二段階だわ!」
隆史
「ああ…行こう!」
4人は、あの黒い枝を持ち、あの丘へと向かった
丘に着くと、大樹は、仄暗い黒い光を
全体から、放っていた
楓は、絹の様な白いドレスを身に纏っている
枝先を、楓の丁度、目線辺りに翳す…
楓の体が、少し浮かぶ 楕円形を描く様に、枝先を動かす
その部分だけが、白い光に変わり、強い輝きを放つと鏡に変わった
トン、と楓が降り立つ
鏡に変わった部分に、楓が、語りかけた
楓
「長老〜!長老〜!」鏡の向こうには、長老達が居た
楓
「今、話した通りにお願いします」
長老
「うむ…わかった」
繋がったのは、叶恵の居たあの異世界だった
長老達が、あちら側の大樹を囲む
両手を伸ばし、目を閉じる…
楓達も、黒い大樹を囲み、双方の世界で
同じ呪文を唱えた
大樹からは、強風が巻き起こり、丘全体を吹き荒ぶ
こちらと、あちらの両方の異世界に、凄まじい強風が吹き荒ぶ
ゴォォォォオーザァァァァア…ビュュュュー…………
4人は、地上からフワリと浮き そのまま大樹の頂上まで浮き上がった…
眩しい閃光が、辺り一面に広がる
風音がピタリと止んだ
4人も、あちら側の長老達も、同時にゆっくりと降りて来た
楓
「多分…これで大丈夫だと思うわ…」
そう言うと、鏡の長老に呼びかける
楓
「長老、そちらは…あの闇の空洞は?…」
長老
「うむ…」長老達が上空を見上げる
「消えたぞ…楓!…消えておる…!」
長老達と、住人達の歓喜の声が聞こえている
楓
「良かった…やったわ!」 ペタンと丘の上に両手をついた
叶恵
「やったわ!…楓!」
隆史
「ああ!」
真
「うん!うん!」
4人も…また、涙が溢れていた
丘の上の大樹からは、仄暗い黒い光は消え
大樹の色、そのものも
白く輝きを、放った大木へと変わっていた
まるで、雪の様に白く輝いていた
その、大木の根元から、白い光は徐々に広がり
白銀の雪が積もったように…銀世界へと変わっていった
楓
「…これが…異世界を元に戻す…」枝を見つめていた
枝先からは、仄暗い黒い光は、薄れながら
消えていき、しだいに、白枝えと変わっていく
しかし、枝先の部分のみに、とどまり
まだ、黒い枝だった
隆史
「まだ、これからだね?」楓には手を差し伸べる
ギュッと、握り返し、立ち上がる楓
叶恵
「きっと…大丈夫よ!…きっと!」
真
「ああ…そうだね…今は、この嬉しさを、噛み締めてるよ」
楓
「えぇ…」
楓は、嬉しさもあったが
これから先の、責任感への不安も相まって
複雑な心境だった
叶恵
「大丈夫ょ!、楓!…私達がいるわ!やり遂げましょう?!」
楓
「ええ!…私達なら、きっと出来るわ!」
ようやく、楓が住むこの世界と
叶恵の異世界を、救うことが出来た楓
けれど、それは、まだ 1つ
あの、古布に書かれていた事、
その1つが、今、終えた
楓
「今度は、あちらの世界から、もう1つの異世界へ、休んではいられないわね?…
行きましょう!」
真、隆史、叶恵、そして、楓は、
強く手を、握り合い 白く輝く大樹の、鏡へと向い
叶恵の、異世界へと、入って行った
叶恵の異世界へと、着く
そこには、楓が、見た最初の美しい異世界へと、戻っていた
叶恵
「嬉しい…やっと…やっと…戻れたわ」
真
「ああ…ああ!…やっと…」
隆史
「僕も…感慨深いよ…第二の故郷だからね」
楓
「ええ…本当に…良かったわ…」
長老
「叶恵、真、よくぞ戻った…君達に今は、深く感謝している」
しかし、急がねばならん!」
長老達と、ともに楓達は、急ぎ、長老の屋敷へと、向かった
長老の屋敷へと着く…
長老は、奥の部屋から、大きな箱を持ち、
楓達の待つ部屋へと、戻ってきた
箱の中には、薄布に、包まれている古布があった
その古布は、
楓が、魔女から貰った、あの羊皮紙と同じ古布
しかし、
この異世界の古布の文字は、
総て読める、現代の文字で書かれている
楓
「やっぱり…あの古布と、目の前の古布は、同じ物だわ
だけど、何故、
この異世界の、古布には現代の文字で、書かれているの?
それに、長老達が、出来なかった訳も、わかるわ」
その古布に、書かれていたのは、楓が持っている古布には
書かれていない事だった…過去の事なのか?未来の事なのか?
更には、どちらの方が、先に書かれたものなのか?
古布に、書かれていることを、読みながら
唯一、わかった事
それは、この古布は、全体の一部にしか過ぎず…
総てを、繋ぎ合わせて、初めて1つになる、ということ
テーブルの上に、広げられた、羊皮紙は
楓が持っているもの、長老が持っていたもの
総ての異世界に、あるこの古布を、集めなくては
総ての、異世界を救うことは、難しい
楓
「さて、始めましょう…これからは、時間との勝負になるわ」
羊皮紙を、照らし合せながら、読み進めていく
既に、外は暗く、夜になり、部屋の中には
明かりが、灯されていた




