異世界は一瞬の煌き 続編 第6部
叶恵を…もとに戻す
異世界の均衡を保ち
更には…闇を元に戻し
真の心も、取り戻さなければ…
古布を、なぞり終えた楓
楓
「わかったわ…総て……………」
隆史
「大丈夫かい?…楓…」
隆史は楓の涙をそっと拭った
真「…」
楓
「ありがとう…隆史さん…大丈夫ょ…」
楓は、叶恵を闇黒から取り戻す為に必要な物
を揃えないと…」
隆史「そうか…それはこの世界にあるのかい?」
楓
「えぇ…隆史さん、私も意外な物だったけど」
隆史
「意外な物か…」
楓
「行きましょう…」
楓は、隆史と2人、ホテルに真と叶恵を残し
車に乗り込むと、あの場所へと訪れた
それは
あの森と湖の場所、少し奥まで進むと
森が途切れ…小高い丘が、見えてきた
そこには、1本の大木があった、
隆史
「これは?…あの大樹と似ているね…」
楓
「えぇ…似てるわ、でも違う大樹なのょ」
そう言うと楓は隆史に大樹の
てっぺんにある枝を、持ってきてほしいと頼んだ
隆史
「これでいいのかい?」
楓
「えぇ…ありがとう隆史さん…これが必要なの」
その枝の色は、他の枝とは異なり
真っ黒で、鈍く仄暗い光を発している
ホテルに、帰り着いた楓は、その枝の先を
叶恵の胸下から腹部へとあてた
黒い光が、枝先から放たれた
叶恵
「うぅっ…!」叶恵は、立っていられず座り込む
ゴオォォォー…ザァァァー…ヒュゥゥゥ…
叶恵の腹部からは、あの湖で聞いた音がした
隆史
「…!叶恵さん!?…」
楓
「隆史さん…大丈夫ょ…」
叶恵は気を失っていた、体がフワリと浮き上がり
ゆっくりと、部屋の中央で止まっていた
楓
「闇黒!…聞こえているのでしょう?」
闇黒
「……………」
楓
「総て、わかったわ…」
闇黒
「……そうか…………」
楓は、闇黒と隆史達には、わからない言語で
何やら話している、楓が、そんな言語を知るはずもなく、その言語は、古布に書かれていた
言語のようだった
ゴオォォォー…ザァァァァー…
フッ…と枝先から、黒い光が消えると同時に
叶恵の体はゆっくりと、ベッドへと降りていった
隆史
「楓、今のは…闇黒だね…」
楓
「えぇ…隆史さん…」
楓は、隆史に
古布から、得られた総てを話し始めた
楓
「あの古布には、叶恵を元に戻すには、
この枝で、叶恵の中にいる闇黒を呼び出し
闇黒の、本当の望みを叶える必要があったの」
隆史
「闇黒の本当の望み?…」
楓
「えぇ、そうよ…闇黒の…望みょ」
隆史「それは…?」
楓
「それは、元々、闇黒と、魅奈魔は1つの闇だったの、だけど…私と叶恵が、異世界へ行き来した事が、闇黒から、魅奈魔を、生み出してしまったの、
闇黒の望み…それは、魅奈魔を、自分の中に取り戻す事」
隆史
「そうか…これから僕達は、何をすればいいんだい?」
楓
「えぇ…それはね…」
叶恵
「うぅっ…んっ…」叶恵が目を覚ました、
楓
「大丈夫?…叶恵…」
叶恵
「楓…えぇ大丈夫ょ…薄っすらと、だけど覚えてるわ」
楓
「叶恵…安心して…取り戻せるわ…」
楓は、隆史と目覚めた叶恵に、闇黒と魅奈魔を
元に戻せば
叶恵の体を、元に戻すことが、出来ると話した
ただし
その前に、真の心を魅奈魔から、取り戻さなくてはならない
しかし
魅奈魔の条件は、闇黒から叶恵を、1年以内に取り戻せたら
真の心を、返すとの約束
だが、最初から、無理なことだとわかっていて
楓達に、鍵と、小箱を、
真の心と、引き換えに渡した、魔女の策略だと話した
叶恵
「そんな!…どうすることも、出来ないのね?」
楓
「いいえ!叶恵、隆史さん…
古布には、そうは書かれてなかったのょ」
叶恵も、隆史も、楓の、嬉しそうな笑顔を見つめていた
楓
「この枝は、叶恵を、助けてくれるだけじゃないのょ真さんを連れて、行きましょう!あの魔女の元へ」
楓、隆史、叶恵の3人、そして真を連れ、
あの、魔女の森へと向かった
楓
「魅奈魔〜!出てきて…」
魅奈魔
「…なんだい?…もう取り戻せたいのかい?」
楓
「いいえ!…今からよ…」そう言うと、叶恵の腹部に枝を翳す
あの音とともに、闇黒の声が、響いてきた
魅奈魔
「うぅぅっ!…ぎゃぁぁー!…いいのか!真の心は!うぐっ…うっ」
楓
「闇黒…約束ょ!…」
闇黒
「うぅ…むぅ…わかっている…」重く低い声
辺り一面が、闇の様に暗くなっていったが、
不思議な黒い光が
まるで、ランプの灯りの様に
薄く灯っているようにも、思えた
黒い光が、一瞬強くなった、部屋の中に、渦巻く凄まじい風
「ぎゃぁぁぁーぐわぁぁぁー…」…魅菜魔の声が響いた
闇黒
「…約束は…果たした………」 闇黒の重く低い声が途絶えた
風音が止む、徐々に、部屋の中も明るくなってきた
ドサッ…ドサッ…と 2つの音がした
真が、倒れていた、その直後、叶恵も倒れている
楓は、叶恵を、隆史は、真を、抱き起こした
叶恵の、体温は戻り温かくなっていた
真も、また、目覚めると
叶恵の傍へ駆け寄り、涙を浮かべていた
楓
「よかった〜…1つは…終わったわ…まだ…1つだけど…」
フッ…と緊張の糸が解れた様に…隆史の腕の中へと倒れ込んだ