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異世界は一瞬の煌き 続編  作者: 肥後 椿
3/30

異世界は一瞬の煌き 続編 第3部

正確な時間はわからなかったが…

叶恵は、薄明かりの中で

恐らく、3〜4時間は経ってるだろう?と考えた

ランプの薄明かりが、徐々に小さくなっていた


ドアの開く音がして程なく リビングから

食器の音が、聞こえてくる

ランプを手に、リビングに向かった


テーブルの上には、料理が並べられている

闇の住人「食事だ…君の世界とは違う」


叶恵

「ありがとう…」


料理は総てが冷えていた

といより

熱をまったく感じない

どれもまるで、氷の様に冷たい料理だった

叶恵は、体が益々冷えていくのを…感じていた


薄明かりの中

彼の顔を見ようと目を凝らしてみる


声は、真さんにそっくりなのだから

顔も…もしかしたら?真さんに似ているかもしれない?」

ランプの薄明かりの中、薄っすらと見えてきた顔は…

まさに、真そのものだった


やっぱり…叶恵はそう思ったが、どんなに

顔や声がそっくりでも…目の前にいる彼は

真とは違う、

全くの別人だった

叶恵は…本物の真さんに逢いたい…と、心から思った


その日から、叶恵は時のないこの世界で

時を刻み始めた

正確ではなくても、1つの目安にはなるだろう

ベッド脇の壁に…小さく刻まれた


この闇の異世界には…朝も夜もない

ただ時が止まったように、暗闇が広がっている

叶恵が、刻んでいる日数で…数日が経った頃

叶恵の体は、触れると氷の様に、冷たくなっていた


ある日、彼が、叶恵をとある場所へと案内した

その場所は、叶恵が気を失っていた あの場所…

少し遠いが、ゴォーという風音が聞こえ始めた


叶恵

「あっ…あの音は…次元の裂け目だわ!」

思わず声に出し…駆け出した

だが…一瞬立ち止まり振り返る

そこに彼の姿は…なかった


叶恵が、次元の裂け目へと、近付いた時

ゴォーという 猛烈な風音がした

その瞬間

その場に倒れ気を失いそうになった


遠くから…声が聞こえた

それは

懐かしい声…楓と隆史

そして

叶恵が望んでいた

あの真の声だった


遠のく意識の中

ぼんやりと3人の姿が見えた気がした

その時…不気味な鐘の音が鳴り響いた


暫くして

叶恵が、目覚めると3人の姿は無く

次元の裂け目も跡形もなく消え、闇が続いていた

夢だったのか?とも思ったが

頬を伝う涙は

夢幻ではなかったと、叶恵にはわかった


叶恵が、その場に立ち尽くしていると

いつの間にか、闇の住人が隣にいた

叶恵には、彼と共に、戻る事しか出来なかった


それからというもの…

叶恵は、毎日出かけ、次元の裂け目を探し始めた

日毎に、叶恵から笑顔も消えていった

それでも、諦めず叶恵は探し続け


ある日…森の様な影の形をした場所を見つけた

近寄っていく

水音だろうか?…聞こえてくる

更に近づく…音は段々と大きくなり

森を抜けて、開けた場所に出た

そこには、 大きな湖があった


叶恵は、その湖に触れてみた

「えっ?!…温かいわ…」

グニャリ…手に伝わってくるこの感触

これは…もしかしたら?

このまま、帰りたいと思っていた…


叶恵の後ろには、いつの間に来たのか、闇の住人が立っていた


闇の住人

「とうとう…見つけたんだな…このまま帰るか?…」


叶恵「まだ…帰れないわ…此処に来たのは

私や楓の…総ての異世界を救うためだもの」

闇の住人

「ほぅ…そうか…」

抑揚のない いつもの声とは違っていた

叶恵

「…あなたに、聞きたいことがあるの…」


闇の住人

「わかった…話を聞こう…」

暗闇の中、叶恵は闇の住人と家へと戻った

叶恵

「あの次元の裂け目は…同じ場所では開かないのね?」


闇の住人

「…そうだ…」


叶恵「そう…ここは他の異世界とは違う感じがするわ…」


闇の住人

「…違う?…何故そう思う?…」


叶恵「えっ…なぜって…あまりにも違い過ぎるもの…」


闇の住人

「この世界も…君の世界も…何ら変わらない、同じだ…」


叶恵「いいえ!…違うわ!…」

闇の住人

「………他に聞きたい事は?」


叶恵「沢山あるわ…ありすぎて…」

此処へ訪れてから、初めて叶恵は声をあげて泣いていた

彼は、叶恵の側のランプを手にとると、そのまま外へ出ていった


叶恵は、溢れ出す感情と涙を止めることなく

その姿を見つめていた


闇の住人は、ランプを手に戻ると、叶恵の側に置いた

灯りがほんのりと、テーブルを照らしている


叶恵は、彼を見つめながら

「私の疑問に…総て応えて…」


闇の住人

「いいだろう…」彼は腕を組み深く腰掛け、叶恵を見つめた


それから、叶恵はこの世界の事を、1つ1つ彼に問いかけた

叶恵が、最初に訊ねた事それは…

闇の住人である彼が…誰なのか、いや、何なのか?だった


闇の住人

「私は何者でもない…君が見ている私の姿は…想像だ」


叶恵

「想像?!…どういうこと?…」


闇の住人

「最初に話したはずだ…この異世界に名前等存在しないと」


叶恵「…!?」


闇の住人

「君が此処で見ている…触れているその総ては…想像でしかない

何故なら…この闇全てが私なのだから…」


叶恵はある程度の応えなら

受け止める事が、できるつもりでいた

なれど…この闇全てが彼…実体を持たない

意識そのものだという

それは…遥かに想像を超えている…応えだった


叶恵

「だけど…ここにある物にちゃんと触れているわ…

今もそうよ…」


闇の住人

「…ついて来なさい…」叶恵は、ランプを手に彼の後を歩いた

以前には、無かったはずの…建物の陰影が浮かびあがり

その中へ入って行く、多少の事なら驚く事のない叶恵だが


叶恵「こ…これは!…何?…そんな…えっ?!…」

しどろもどろになる叶恵の目の前には…


何も無い暗闇の中に、叶恵はフワフワと漂っている


闇の住人

「これが、この世界に居る、本当の君の姿だ…」

叶恵は言葉が出なかった…

目の前に見える自分の姿に、呆然となっていた


闇の住人

「私は実体の無い意識…この世界総てが私であり

君が見ている私は、君の想像でしかない…」


叶恵は、目の前の光景を受け入れられずにいたが


叶恵

「…ここに浮いてる私は…生きているの?…それとも…」


闇の住人

「生きている…今の君も意識の1つだ…」


叶恵は、また気が遠くなるのを感じ…気を失った

目を覚ますと…

叶恵は!フワフワと浮きながら、暗闇の空間を、漂っていた


そこに、闇の住人の姿はなかった

叶恵は、空間を漂いながら必死で、体制を保とうとしていた

闇の中から、声が聞こえた

その声は、闇全体から聞こえてきた










































































































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