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異世界は一瞬の煌き 続編  作者: 肥後 椿
27/30

異世界は一瞬の煌き(第27部分)

マーシャル(M)から

様々な事を、教わり学んだ日々も

もうすぐ

終わりを告げようとしていた

深々と、朝から雪が降っている


楓は

自分の、異世界へと帰って来ていた

現在は師走

慌ただしく日々が過ぎていく

隆史と2人、あの公園にも行き

観察は、怠らないようにしている


自分の世界へと戻って来ると

総てが、まるで夢の中の

出来事の様に思える

こちらの時間の中で、忙しくも

平凡に、過ぎていく日々


楓が

これまでに、体験してきた数々の

出来事は、確かに現実だが、

この世界に戻って来ると

そのギャップに、夢だったのかも

しれないと思う事もある


けれど

公園にきて

あの場所のあの石(宝石)を埋めた

現実を見る度、これは現実なのだと

思い知らされる気がする


そして

そのギャップに

違和感さえ、感じる日もある


こちらの世界では

普通の、忙しい日々が流れていた


会社の年末年始の

飾り付けの準備も終え

一息つきながら

窓から見える、夜の電車の明かりや

家々の明かりを、ぼんやりと

眺めていた


あの夜、叶恵をチラリと見た気がした会社の窓に映る、

今の自分の顔は、様々な

体験をする前と比べると、随分変わった気がするなと、ふと楓は思った


こちらの異世界にも

雪が、降っていた

積もっていく


マーシャルは

この異世界の、文化が好きだった

楓達の世界や、他の異世界の

年末年始の行事も、興味深く感じていたらしく


自分の異世界にも、取り入れたと

楽しそうに、話してくれた


マーシャルが、帰る日が訪れた

楓は、マーシャルにと

この日、大きめの鏡を1つ置いた


こちらの異世界でも

朝から

年末年始の準備に、追われていた

異世界でも、年末年始の忙しさは

変わらないが、準備の忙しさは

楽しい、忙しさだった


楓の世界とは

まるっきり違う、飾り付け等も

楽しさを、感じていた


皆で其々の世界の

年末年始の準備を、持ち寄り飾る

と、まるで異国文化が沢山

溢れる、感じになった


マーシャルは

朝から、船の調整を行っている

嬉しそうでもあり

少し寂しそうにも、思える


隆史達も、マーシャルの船の調整を手伝っている


楓達は、マーシャルを送る

最後の日の準備も終え、隆史達の

所へとやってきた


「隆史さん真さん耀さん、マーシャル、どう?そろそろ休憩しない?

降りて来ない?」


隆史

「ああ…皆で、今から降りていくよ」


まるで、ピクニックの様な

穏やかな、時間が流れていた

こんなに、ゆったりとした時間を

過ごすのは、本当に数ヶ月ぶりかもしれない、束の間かもしれないが

幸せな、一時が流れている


船の調整も、無事に終え

深々と、降る雪を眺めながら

暖かな珈琲を、口へ運ぶ

こんなに、落ち着いた時間を

過ごせる日が、来ることも

数ヶ月前には、考えられなかった


総てが、夢の中の出来事のよう

楓は、あり得ない体験をしてきた

以前は、普通だったこんな一時も

今では

この一時さえも、愛おしく感じる


「…ヴォォォーン…ヴォォォーン…ヴォォォーン…ヴォォォーン…」


静かな雪景色の中

低い重低音が流れる

マーシャルが船へと乗り込んだ


マーシャル(M)

「皆、ありがとう、

 君達の事は、忘れない

 さよなら、ではなく、いつかまた

 会おう…」


「ええ!…マーシャル、いつかまた

 会いたいわ」


隆史

「こちらこそ、ありがとう

 マーシャル、お礼の言葉も

 みつからないくらい

 感謝してるよ、元気で…」


叶恵

「忘れないわ、絶対ょ

 マーシャル!また会いましょう」


「マーシャル、また

 会いたいですね…」


耀

「マーシャル、ありがとう

 ございました、貴方のおかげで

 この異世界は救われた、

 忘れません貴方の事…」


香穂

「マーシャル、ありがとう

 ございました…」


皆の頬には、大粒の涙が止めどなく溢れていた


マーシャル

「ありがとう…では…」


マーシャルは、軽く手を降って

その顔は

微笑んでいるように、思えた


「ヴォォォーン…ヴォォォーン…

 ヴォォォーン…ヴン!…」


マーシャルに向けた鏡からは

除夜の鐘の音が鳴っている

「ゴオオオーン…ゴオオオーン…」


マーシャルの船は、ゆっくりと浮かび上がり

ゆっくり、上空を旋回して

スッ…と消えた


鏡から見える、除夜の鐘の音が

静かに、異世界の夜を包み込んで

いた


「ゴオオオーン…ゴオオオーン…」


楓達は

マーシャルが、消えた夜空を

いつまでも、眺めていた

深々と降る雪と

除夜の鐘の音、だけが

この異世界に響き渡っていた…。






















































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