異世界は一瞬の煌き(第23部分)
半年の間に、あれほど変わっている
半年後の楓が、話していた
一瞬で消えた
彼とは誰なのだろう?
様々な疑問が過る
隆史
「また考えてるのかい?」
楓
「ええ、あの日から気になってて」
隆史
「うん…僕もチラッと見えたけれど…
あれは………」
楓
「そうなの?、私もそう思うの…あれは…」
叶恵
「そうね、不思議な事に慣れっこの私も驚いちゃったわ」
真
「あぁ、あれには驚いたな〜」
耀
「僕からは、まだ何も話せませんが…
もうすぐ彼と会えると思いますょ」
香穂
「あれから2週間経って
もうすぐって…耀さん…貴方は…」
「ドーーーン!…ドドーンッ!…ザザザザッザーーー!…」
楓
「何?!…何の音?!」
叶恵
「凄い音?!何があったの?」
隆史
「何か落ちたような凄い音だね…」
真
「うわっ?!何だ?…」
耀
「来た…いよいよですね…」
香穂
「どうしたんですか?何か…?!!」
一斉に窓から外を見る
空中家の窓から、下を見下ろす
何かが、墜落しているようだ
煙が、薄っすらと上がっていた
隆史達が、様子を見に行った
女性達は、危険な為、家で待機だ
隆史は、耀と何かボソッと話している、用心しながら、それに近付く
全体的には
オーロラの様な、光を纏い放っている、薄っすらとした、煙が上がる場所には、窓枠の様なものがあるが
窓と認識はできない、出入り口らしき物も見当たらないと思っていた
「ヴィーン…ヴィーン…ヴィーン」
定期的な機械音が、小さく聞こえる
隆史
「ん?…この音はあの心臓部と同じ音だな」
真
「隆史さん、こっち来てください!」
隆史
「はい!…どうしました?」
耀「やっぱ、凄いな…うん!」
耀は感心しながら見ていた
真
「これ、もしかしたらドアでは?…」
隆史
「ああ、多分そうでしょう」
そう言いながら、ドアらしき物に
手を触れた瞬間「スーッ」と開いた
ドアらしき物は、音もなく開き
中から現れたのは、あの時チラリと見えた 「彼」 だった
彼は、グッタリと倒れていたため
隆史達は、彼を香穂の家へと運び
取り敢えず、水を含ませてみた
彼は水は、飲めるらしく
グイグイと飲み、水を飲み干すと
テレパシーで、話しかけて来た
別の宇宙から、この船を使って
この異世界へと来た事、それは
楓達の世界と、別の宇宙の世界を 救うためだと話したあと、
グッタリと、その場で倒れた
彼をソファーへ運び、寝せる
暫く、彼はそのままにして
楓達は、これからの事を相談し始めた、恐らく「船」はすぐには治らないだろう
その船は、ここにある心臓部と同じ機械音を出す
彼から話を、聞くためにも
彼の快復を優先させなくては
水は良いとして、あとは試すしかない
様々な食材を、使って
料理を作った楓達
彼の目覚めを待って、食事を運ぶ
不思議な事に、彼は楓達と全く同じ食事を摂取した、暖かい部屋を好み
寒い部屋は、苦手な所も、何ら変わらない
違う所はその姿と
そして
テレパシーで会話する事だった
彼の快復は早く、数日経った頃には
スッカリ良くなっていた
それから
楓達は、彼から話を聞いた
あの心臓部と、同じ音がするのは
当然だ、と彼は答えた
彼がこの異世界で作ったもので
この別宇宙の、異世界の中心部でもある、魔法と言われるものは
実は、人間が元々持っている感覚を増幅させただけで、それは総ての
人類の遺伝子にあり、その遺伝子は眠っているだけだと、それが出るか出ないかの違いだと
それが魔法
と、言われてきたものだと話した
楓達は、何処かで感じ思っていた事なのかもしれない
彼の話を、じっと聞き入っていた
彼に名前が無いのも不便なので
ここにいる間
彼の名を決める事にした安直な発想だが、わかりやすく「M」にした、名付け親は叶恵だ
彼だからMでよいのでは?と叶恵が名付けた
M
「貴方方がよいように…私はかまいません」
叶恵
「決まりね!宜しく、M!」
楓
「なんだか、Mって火星って意味にもかかりそうね」
彼の存在は、謎の総てを解き明かす鍵
であり答えなのかもしれない?と、楓は思った
それから数週間が過ぎ
Mから齎せられる
知識は、想像以上に
素晴らしいものだった
その間、Mは隆史達と、船の修理も順調に進めていた
数ヶ月後、船の修理を終えた
Mはこのまま、総ての解決まで
この異世界に留まり、楓達を助けてくれる事になっていた
楓は、この数日前に初めて
古布(羊皮紙)を書き記した
それは、あの1枚目の古布だった
それを、Mの船で運び、その場所へと置く、タイムスリップの謎も解けた
だが
なんの為にそんな事を?
Mに尋ねる
M「時空の歪みを正す為に、必要な事で、無駄な事などない、総てが必然で、全てが必要な事なのだ…」と
楓
「そうなのね…」
季節は冬、もうすぐXmas
この異世界にも、Xmasはあるようで
楓達の、世界のXmasとは少し違うが
街も、賑わいを見せていた
楓は、一旦、自分の異世界へと戻り
Xmas用品を一式揃え、香穂の家へと戻り
Xmasの準備を始めていた
この異世界で、Xmasツリーを飾り
部屋を飾り付ける
思えば…去年のXmasから、随分と変わった気がする、長い月日を感じていた
平凡だった日常に、叶恵と出会った日から
現在まで、こんなに変わった事を、感慨深く感じていた
楓は、自宅から持ってきたレコードにそっと針を落とした、
懐かしい、Xmasソングが流れる
空中に浮かぶ家の中に、古き良き時代の音楽が響く、
暖炉には薪の炎が揺らぎ
外には、7色の雪が降っている
Xmasまで
約数週間の冬のある夜…。




