異世界は一瞬の煌き(第20部分)
漆黒石を置き、暫く様子を見ることにした
香穂から誘われ、楓と叶恵は、街に出かけた
以前、祭りの日に
香穂を、見かけたあの日を
楓は、思い出していた
こちらの、異世界に来て
久々、寛げる時間となった古布の事、石の事
今日は忘れ、女性だけで、楽しめる時間となった
街の中は人波で溢れ、
賑わっている、イベント会場では、
ステージ上で、楽しい催しも行われていた
笑い声や拍手の中、ステージからの声や音が
体を通っていく、心地よい振動
鼓動と一緒になって、一体感を感じれる
暫し、楽しい一時の中、楓も叶恵も
2人が最初に出会い、異世界を行き来してた
楽しかった時間を、思い出していた
無邪気に、過ごすことができた日々だ
今は、この一時を楽しみたい
楓と、叶恵は
楽しい時間が、過ぎていくのを感じながら
体に感じる振動を、堪能し、催物の
ステージに感動していた
数日が過ぎ
扉へと様子を見に行く、
機械音は落ち着き、定期的な音に変わっていた
楓
「もう大丈夫かしら?…」
香穂
「そうみたいですね」
耀
「うん…よさそうだね」
真
「そうだね…もう少し様子をみてみますか?」
隆史
「ああ、それが賢明かもしれないね?」
楓
「そうね…もう少し様子をみましょうか?よかったら総ての石をここへ運んできましょう」
その時
また、ふと扉の文字が頭を過ぎった
隆史
「今日は何だか少し寒いな…楓寒くないかい?」
楓
「ありがとう、隆史さん、大丈夫ょ…」
真
「うん…少し寒く感じる、もうこんな季節か?
叶恵は…寒くないかい?」
叶恵
「うん…大丈夫よ!ありがとう、真さん」
耀
「この異世界にも冬があるんですね?」
耀が、上空を見上げると、雪が掌に舞い落ちた
チラチラと、雪が舞い落ちてきた
皆、上空を見上げる、白く美しい雪が舞い落ちる
「ふぅー…少し寒いわね家の中へ入りましょう」
はく息が白く、少し冷たい風が頬をなでた
隆史
「これを…」そう言いながら
上着を楓の肩にかけてくれた
香穂の家に戻り
空中に浮いている家から見る雪は
空に近い気がした
地面は、ゆっくりと真っ白に彩られていく
雪降る景色は周りの音を消し、無音に感じる
シンシン、という音が奏でられてるようだ
香穂
「どうぞ…」温かな珈琲の香りが、部屋に漂った
穏やかな午後、窓から見える風景は
雪で、彩られていく
部屋の中には
いつの間にか、暖炉が壁から出てきていた
暖かな部屋の中で、何も考えず過ごす1日
ここが、異世界であることも
この時間が、ずっと続いてほしい
楓は、フッと思った
更に数日が過ぎた
扉の様子を見に行く、異音もなく規則正しい音
落ち着いている
散らばっている、バラバラになっていた光る石を集め、
機械音の側に置く、
「ドゥクン!!」大きな音と振動が1度あり
樹脂のような心臓部の音も、規則正しい
光らなかった石も、光を取り戻し、輝きを放っていた
その様子は、生命体が蘇ったようだった
機械音も正常に戻り、扉を閉める
「ギィィィィィ…バタン!」
見渡す限り雪景色、銀世界が広がっている
静かな雪が、舞い降りている
石の光に反射して、暗闇を照らす、地面が明るい部分は
キラキラと反射して輝いていた




