異世界は一瞬の煌き(第17部分)
黒みを帯びた石
扉の強い閃光はひとりでに
「ギィィィィィッ…」と音をたてながら開いた
扉へ近づくと「ヴーンッ…」
重く小さなあの音が聞こえた
楓、隆史、叶恵、真、耀、香穂も加わり
扉を覗いた、扉の向こうには何も見えない
真っ暗な、闇が広がっていた
闇の奥からは、あの重低音が聞こえている
何かの、機械音の様な感じだ
楓
「闇の異世界に似てるわね、だけどこちらの方は
暗闇の濃さが少し違う気がする…」
隆史
「うん…似てるね…」
叶恵
「えぇ…思い出すわ!」
耀
「どうやら…こちらの世界の闇異世界なのではないでしょうか?」
楓
「えぇ…耀さん、私もそう思うわ」
香穂
「闇の異世界?…あぁこの真っ暗な世界の事ですね…これ宇宙の一部なんですょ…」
一同、香穂の言葉には、次々と驚かされていく
楓
「香穂さん…この闇の世界は宇宙なの…?!」
香穂
「はい、こちらの世界ではごく普通の事なんです…宇宙というのがあって、
それは普通に存在してて、私達の傍にいつも
ある、なので、私達はこうやって」
とゴソゴソとバッグを探しながら
香穂
「…えっと…あった!これ持ってるんですょ
宇宙 と重なる次元に入った時にすぐ戻れるよ
うに…」
彼女は、楓や叶恵とは少しずつ違い、いつも
捜し物をしていた、香穂が取り出したのは
漆黒色の石(宝石)だ香穂の話によれば
この石は、そもそもこの闇の世界の石で、
この石があれば、すぐ戻ってこれるとの事だった
闇の世界の名は、こちらの異世界では、
「漆黒の宇宙」と言ってると、香穂が話してくれた、楓達の世界でいう、ブラックホールのような物らしいが、すぐ傍らにあって
更に、そこからすぐ出れるとは驚きの連続だ
この異世界は、あまりにもかけ離れていた
異世界の住人である楓達も、やはり
次元が、かけ離れすぎていて、凄いと感じていた
それに、この異世界への興味もそれと同時に
湧き上がってきていた
この「漆黒の宇宙」に入りたいのは
山々だったが、何の準備もしていない
それに、1日が1週間経っていた
隆史達が来てから、既に数時間は経過している
とりあえずは、一旦帰宅して出直す事にした
香穂もまた、異世界からきた楓達と、その世界に
興味が湧いたらしく、古布を、仕上げておくことと、楓達が来る時の為に、漆黒石を用意しておくとの約束をしてくれた
それから、こちらの異世界では、楓達は漆黒の宇宙へ行く準備をしていた本を読み
調べていた、やがて1週間が経とうとしていた、あちらの異世界では
丁度、1日経過した頃になる
ブラックホールは、こちらの異世界で
恐らく、あの渦の事ではなかったのか?楓達は
それが、あちらの異世界には、普通にあることが不思議だった、それに、
石(宝石)で出入り自由的な感じも、
楓
「ブラックホールがあちらの異世界では、普通に
あるって、それにホワイトホールの事かしら?
出入り自由的な感じって?」
隆史
「あぁ…そうだね、まだ実際行ってみないとわか
らない事が多いが、ホワイトホールか…」
叶恵
「ねぇ…ホワイトホールって、こっちでも、
ブラックホールから入って、ホワイトホールか
ら出るって聞いた気がするんだけど…」
耀
「そうですか?僕達の世界では、ブラックホールとホワイトホールは全く別物でって、事にはなっており、全く違った解釈もあるのですね…勉強になります」
楓
「そろそろ1週間経ったから…準備も終えたし行きましょうか?」
耀
「はい!」
叶恵
「えぇ!そうね、何だか楽しみだわ」
真
「はい…行きましょう!」
隆史
「楓、これからは僕もずっと同行するよ
行こう…君を一人にはさせない!」
扉を開ける
「ギィィィィィ…」扉が閉じないように施して
香穂の家へと急いだ
香穂の家へと着く、地上からは約数十m空中に浮いている、家からエスカレーターの様なものが
伸び、楓達を向かい入れた
向かい入れた後は、数百mほど上空へ上がり
定置におさまった、完全に地表面には着かない
ドロップ型の住宅は、其々、好き好きで選べる型になっており、香穂は一般的とされるこの住宅の型を選んだ、窓枠も総てドロップ型、家に入ると総て自動で、いわゆる明かりや電化製品が一斉に可動するので、帰宅して何もしなくて良い
普段は、タイマー、時間帯入力設定しておくが、
早かったり遅かったりしても、家が判断し
帰宅と同時に可動し始める、脳の信号を読み取り
それに合せ連動する
普段は、美しいクリスタル式の外装
お客様が来ると、これも自動で
外から家自体が見えなくなる機能まで
備わっている、楓達の世界や異世界でさえ
あり得ない光景と技術だった
香穂
「ようこそ、って、昨日会ったばかりですが、
皆さんの世界では、既に1週間過ぎてるのです
ょね?、古布も書き終え準備も万端、
皆さん、行きましょう!」
石を扉に翳す…
「ギィィィィィ」ゆっくりと開く
漆黒の宇宙
「ヴィーンッ…」
楓
「さぁ皆、行きましょう!」
扉を6人が通り抜けるが、楓達とは違い
香穂だけは、普通の扉を通るように通っていた
楓達は重低音で小さな「ヴィーンッ…」という音が
気になったものの、それよりも、辺りは真っ暗で
強風にもかかわらず
殆ど音が静かな事に、違和感を覚えていた
これだけの強風なのに、無音に近い静けさだった
扉から更に奥へと入って行くと、
足元が見えないが、多少高低差があるように、
感じていた、香穂がバッグから其々にあの石を取り出して渡す、ゆっくりと明かりが灯っていく
石の型は不揃いだが、その石の型通りの灯りが点いた…。
漆黒の宇宙は正に宇宙という感じ
上下左右など何もなく、ただ広い
丸いのかそうでないのか?形さえわからない静かな場所だ「コツン」と足下に当たる感触がした
見ると漆黒石(宝石)が、沢山転がっている
1つ拾って、指で擦って見る
フワリとゆっくりと明かりが灯った、
「あっ…点いた」叶恵がポツリという
漆黒の宇宙の漆黒石は美しく輝いている
不思議な石の明かりにも、差があるようだった
だいたいの石が点いたが、中には点かない石も
あった、石の明かりは、眩く感じるほど強く
痛いと思うほど、閃光の強い物も、あった
スゴい!楓は閃光の強い石を、眺めながら思った
気がつくと一際輝く石を、手に持って歩いていた
ただ、閃光が強すぎる為、すぐにバッグへ戻す
2個の石を、同時に手に入れる事ができた楓
しかし、1つは、かなり明るさが強い
さすがに、バッグにしまい、香穂からの石を使った
隆史
「ん?…どうしたんだい楓」
楓
「大丈夫ょちょっと石の明かりを直視しただけだ
から」
隆史
「そっか…楓らしいね…」微笑
何処まで、続くかわからない、この広い異世界で
隆史と、こんな風に過ごせる時間が、
楓は少し嬉しく感じていた…。




