異世界は一瞬の煌き(第10部)
楓は、透明な異世界
(元 漆黒の闇の異世界)から
楓の、住む世界へと戻ってきた
4枚目の古布には
楓の部屋の様子が思い浮かんだ
年代物の古布とは思えない
現代の部屋の様子が
時間の経過を、混乱させる
楓は、部屋のドアを静かに開いた
見慣れたはずの部屋には、先客がいる
叶恵、真、隆史の3人は
楓からの話を聞いて
既に、楓の帰りを待っていた
叶恵
「お帰り〜!」
賭けよりギュッとハグをする叶恵らしさに
どこかホッとする
真
「お帰りなさい 楓さん」
隆史
「お帰り…楓」
楓「たたいま!」
ふっと3人の笑顔に、緊張が解けた
手分けして探す、と言っても
一人暮らしの楓の部屋
古布は、簡単に見つかると思えたのだが
部屋中探しても見つからない
ふと視線を、窓に向けた
窓の木枠は、アンティークな造り
大きな木枠の装飾は、美しくここに決めた
通勤の、利便性だけでなく
可愛らしいと、感じたからだった
この窓から、最初に叶恵が
訪れた、思い出もある
窓枠に手を置き、装飾を撫でるように
滑らせていく
カチッ…‼
小さな音が聞こえた気がした
カタカタカタ…
木枠の部分が、ズレ外れそうだ
手前に引く…カタカタカタ
小さな、音をたてなから
木枠が、スッポリと外れた
中には古布が入っていた
楓は、こんな身近な場所に
古布が、あった事に
驚きと、戸惑いを少し感じていた
楓「…あったわ!」
叶恵「あったの?!」
真「あった?見つかったんだね」
隆史「…見つけたんだ」
楓「えぇ…見つけたわ!」
楓は、隆史の言葉と
この部屋で、古布を探す際にも感じた
違和感があったが
古布を、早く読み解きたい気持ちもあり
古布を広げた
窓枠の中にあった古布には
楓が、この古布を見つける事が記されている
それも
その文字は、
現代の文字で見覚えのある文字で書かれている
それは
隆史の文字だった!
楓、叶恵、真、の3人は
隆史を、一斉に見つめた
隆史は、3人の顔をゆっくりと見渡し
隆史「…この日が来たんだ…」
少し、哀しそうな表情を浮かべた
今までの、異世界総てに
楓は叶恵、叶恵は別の異世界にいる叶恵
真は、透明の異世界(元闇の異世界)と必ず
別の自分の様な存在が、この異世界には居た
隆史だけは、その存在が
楓の居た世界と
異世界へと、繋がっているかのようだった
隆史「その古布は…僕がここに入れたんだょ
随分昔になる、これが窓枠になる前だからね」
楓「えっ!?…隆史さん
窓枠になる前って…?!」
叶恵「何となくわかるわ…
そういうことなのね…」
真「叶恵?…隆史さん
どういう事なんだい?僕には
さっぱりわかりませんよ」
隆史「この木が窓枠になる…ずっと以前
大昔に、僕はこの中に書いた古布を入れ
たんだ、こうなるって知ってたからね」
楓「隆史さん…どういう事なの?」
楓には、窓枠になる前
まだ、木の時に入れたと聞こえる
多少の事では驚かないが
流石に、この部屋の様子を含め
楓が見つける事まで知っていたという
隆史の言葉に、驚きは隠せなかった
隆史「僕は…
楓、君のことも
今よりずっと未来で知ってるんだ」
楓「………!!」
楓は、言葉が見つからない
叶恵「やっぱり…そうなんですね…」
真「隆史さん…未来ってどういう意味なんです
か?!」
驚きと動揺の表情を、浮かべながる真と楓
叶恵は、
何かを察しているようで
やはりどこか隆史と同じく
哀しい表情を浮かべていた
緊張が、一気に走る中、ゆっくりと
隆史は語り続け始めた…
隆史
「楓…僕が居た未来では
君は何度も、未来を救ったんだ
古布に記された、総てを成し遂げた日に
僕達は結婚したんだ…それから…」
ここまで語った隆史は、ふと言葉をつまらせた
叶恵
「もういいわよ…隆史さん、今は古布に集中
しましょう?」
楓
「そうね…叶恵の言うとおりょ…」
楓は隆史の話す事を、聞きたい気持ちはあったが
複雑な心境が相まっていた
叶恵の言葉に、どこか救われた気がしていた
古布に目を移すと、楓が読み解くのを見守った
5枚目の古布は、またもこの世界
隆史の実家だった
しかし
隆史は、その古布に関しては、知らない様子だった
5枚目の古布を見つけるため
隆史の実家へ訪れた…。




