表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Combat March for Liberal  作者: トシュ九犬
或いは深緑でいっぱいの海
9/13

チビ黒蜥蜴、粘液を撒き散らし華麗に爆誕

揺籠の生繭は、凍土エリア5にあるギギネブラたんのお家をイメージしてくれれば


スタイル特性:因子

ホーライの魔獣の異常性。それは摂取したモノからその特性を取り込み、即座に反映する理外の適応性にある。彼らは死に至るその瞬間まで変異を続けるのだ。姿形に能力、果ては種族そのものまで、己の生存率を少しでも確固とするための自己改造に終わりは無い。それがホーライ大陸、魔獣の楽園に住まう者の在り方故に。


スタイル特性:獣不朽

彼らの旅路に終わりは無い。彼らにとって死は束の間の休憩でしか無い。極大まで肥大化した暴力も、彼らの歩みを止めることは無いのだ。

されど獣よ忘るるな。ホーライの大地は「終わらない」程度で歩むに足る地に非ず。


行動制限:会話行為不可能

喋れない訳では無い。でも聞く側にはただの唸り声しか聞こえない。よって会話不可能。魔獣側は文字を認識することも出来ないので、筆談による会話も不可能。ゲーム内のチャットシステムも使用不可能。でも外部アプリでチャットは出来ちゃう。あちゃー


行動制限:製作行為不可能

物を作るという行為に制限がかかる。仮になんらかのオブジェクトを掴むことが出来ても、それ以上のことは出来ない。ついでにアイテムの特殊効果などを得る事も不可能。


行動制限:食事制限

他人から譲渡された食物、又は加工した食物を摂取することが出来ない。食べても因子は取れないし満腹ゲージも増えない。味もしない。

畜生は畜生らしいものを食えってことだね!







巨大、だかしかしこの森の中では標準的な大きさの樹木、その幹には白い塊がこびりついていた。幹から伸びる枝の至る場所に白い粘糸を貼り付け、中心には僅かに振動を繰り返す塊。そして今、その白いネバついた塊、揺籠の生繭は内側から喰い破られようとしていた。

小さな黒い鉤爪の先がゆっくり、だが着実に白繭を引き裂いていく。やがて下半分程が切れたあたりだろうか。透明な粘液と共に肉塊が排出され、べチャリ、と音を立てて地面に落ちる。

まだ樹の幹と繋がったままの白い膜の端を喰みながら、四つの脚を持つ肉塊はその身を起こした。


端的に言えば黒いトカゲ。

艶のない黒い外皮は小さな鱗で覆われている。手足は地面と直交するように体から伸び、尻尾は先へ行くに連れて細くなっていく。さながらアリゲーターを彷彿とさせる体格。やはりワニに似た頭部もそれに比して大きく、燻んだ金色の眼は爛々と輝き、周りの景色を焼き付けんと瞳を散々に動かしていた。



クソッこの糸屑の塊め、全然噛みちぎれねぇ!

それになんだこの食感、味の無いガムかよ!

ものを食べてる実感が湧かねえじゃねえか!

前脚にある貧相な爪を使ってどうにか繭の塊をちぎり取って飲み込んだ後、ようやく人心地がついた。


『《成長促進》因子を獲得しました』


いちいち音がうるさいなぁ。

設定で切っておくか。

「そもそもここはどこなんだろね…」


限界まで見上げてもてっぺんが見えない巨木に、二階建てビルほどの高さの雑草。巨木にはところどころに棘の生えた赤黒い蔦が纏わりつき、その梢では青空色をした一匹の小鳥がピーチクパーチク鳴いている。

文句無しの大樹海、物語の始まりとして少々ありきたりか?


木の葉が擦れる音とひっきりなしに響くナニカの遠吠えに破壊音をbgmに、俺の魔獣生が始まった。



『マップに領域【大深緑】が追加されました』




「そもそもこのゲーム、色々と説明不足過ぎるんだよなぁ」


幅だけで今の俺の肩幅を超える雑草をガサガサ掻き分ながら進んでいく。どこに向かっているのかも分からないが、とりあえず何かしないことには始まらん。全身を使ってへし折った草をモシャモシャやりながらの考察だ。



・大深緑の雑草

領域【大深緑】に群生する一般的な雑草。通常の植物と比べて成長が早いこと以外に特筆する点はない。



さっきからずっとこの草を食ってるが、因子獲得のアナウンスが全然出てこない。

食した量が足りないのか、そもそもこの雑草からは因子が取れないのか。

俺は後者だと思っている。というよりこれだけ草を食べ続けているのに何にも起きないのだから、そう捉えていいんじゃないのか?

恐らく「因子」を獲得するには、食べるものにもそれ相応の特殊性が必要なんじゃないのか?


例えば揺籠の生繭なんかが良い例だ。あんなネバネバの気色の悪いもんがそこら辺にポンポンあってたまるか。

あれを一欠片食うだけで因子を獲得できたのは、「揺籠の生繭」というオブジェクトがそれなりに特殊性を持った、ゲーム的に言えばレアアイテムだったから。そんな感じではなかろうか?

いや、もっとメタ的に言えば運営からビギナーへのサービスプレゼント、か?あのチュートリアルじみたミッション表示からしてもそうだ。他のプレイヤーも全員《成長促進》の因子を持っているだろう。



……ん?おいおいマジかよ。もしかして低確率引いちゃった?まだ歩いて15分も経ってねえぞ…


眼前にある巨大樹の一本。その幹には見覚えのある白い鼻クソだ。お相手は孵化?したてなのか、地面で繭の残骸と格闘している。


確かアクティブユーザーが1億人突破だったか……そう考えるとこれもそんなレアシーンでは無いのかもな。


なんにせよやるなら今だ。よもやPKがどうとか下らないこと言わないよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ