たぶん20話~30話くらいのお話(※これだけはラフスム連載中に執筆した書き下ろしになります)
ヴォン! ヴォン! キキイイ!
颯爽とピカピカの中型バイクで現れた
この学校と同じ制服の少女。
何故だか俺の真ん前で止まった。
「…………」
「…………」
ヘルメット越しだが、なんかじ~~~っと見られてる、気がする
「なんであんたがこんな所にいんのよ?」
開口一番、そのバイクの少女はそう言った。
「…………誰?」
そう言う他無かった。
そもそも俺がどこで何してようと文句を言われる筋合いは無い。
しかも、どう考えても記憶にもまったく無いこんな少女にだ。
「……誰、だとう? …………あっ! そうか! 記憶が……」
彼女はそう言いながら、短めのスカートをなびかせながら
跨ったバイクから降車する
健康的な太ももがちらちら見えて、結構目のと……毒だ。
しかし今、この少女は「記憶」と言ったな?
つまり、アレか? 三年前になんかあったのだろうか?
「……まあいいわ、べつに何も問題ないし」
彼女は被っていたヘルメットを脱ぐ
髪がふわっと舞った途端、甘い良い香りが俺の鼻先をくすぐった。
「…………」
絶句。
思わず見とれてしまった。
ヘルメットの中身、
めちゃめちゃかわいかった。
なんだこれ、天使か?
……ん? どっかでこんな台詞、俺、以前も言ったこと、あったような……?
「…………ちぇ! やっぱ思い出さないか~
……まっ、私も三年前よりかなりいい女になったしね~♪」
口端を吊り上げ、髪をかきあげながらその少女は俺に対してウインクをして見せた。
「うっ!」
はっきり言って、ズキューン! と心臓貫かれて止まりそうになったが、それは黙っておこう。
「す、すまない! ちょっと過去に記憶が曖昧な時期があって…………その時に知り合っていたのなら……」
「あ~はいはい! わかってますわかってます! 皆まで言わなくていいよ~」
……なんだこの子? そんなに俺の事情に詳しいのか? 俺まったく覚えて無いぞ?
「今日はね、ただ単に遊びに来てただけなの。 私は医学部に進まなくちゃいけないからね、
特進クラスのある本校に残ったから、分校の友人や先輩達に会いに来たんだよ」
「……?」
よくわからんかったが、つまりここにある学校は、この少女の通ってる学校の分校ってことなのか?
そんで中学時代は同級生だったり先輩だったりする連中に会いに来たということで、合ってるのだろうか?
「もう、めんどくさいなあっ! ……わかってよ! お互い知らない仲じゃないんだしさ!」
無茶言うな! こっちは全然記憶に無いわ!
「いや、まあなんとなくは……わかったが……」
「はあ~……んで、こっちの学校の面々にはもう会ったのかな? 特にソフトテニス部」
「一応……今、俺はソフトテニス部顧問の家にお世話になってるんだよ。 ひなたって子に連れられてな」
そこで少女は目を丸くして驚いている
「そ、そうなんだ!? まさか、ひなたさんにねえ……」
なんか事情を知ってるっぽいなこの子
「……ちょっと聞きたいんだが、俺がここに連れてこられたのって、なんか意味あるのか?」
「そ、それは……」
彼女の目が泳ぎだした。
「……ま、まあ、がんばりたまえ! 今は君が主人公だっ!」
「おい!」
わけわかんねえこと言い出しやがったぞこいつ
「残念ながら、あのとき以降はリンクが切れちゃってるから、わたしにも事情はわかんないし
運命に身を任せるしかないね、あとは君、孝志の選択次第だよ!」
そう言って手をピストル風に見立て
まるでこっちを撃ち抜くような仕草を取る
「いやぜんぜん意味がわかんないんだが!」
ていうか、やっぱこいつ俺のこと名前まで知ってるのか
「心配要らないって! 君が行き着く先はわかってるから! どんな紆余曲折があろうともね!(はあと)」
あ~! いっけな~い! もうこんな時間じゃん! やばいやばい!」
そう言いながら、彼女はヘルメットを被る
「ちょ、ちょっと待てって! 事情を知ってるならもうちょっと話を……うっ!!」
綺麗な脚を大股で開き、スカートをなびかせながらバイクに跨る彼女
中身が見えそうで、一瞬言葉を失い、目で追ってしまっていた。
「…………」
その一部始終を見られ、彼女はジト目でこちらを見つめていた。
「…………覗くな変態! でも残念! スパッツでした~!」
それでも十分、魅力的でしたよ?
「な、なんかすまん」
自分から見たというよりも、見せ付けられたような気もしたが
一応謝っておくのが吉だと思った。
「ふふっ、どう? 欲情しちゃった?」
「ばっ! んなわけ! ないだろ!?」
そうは言ってみたが、たぶんばれている事だろう
くそ! このビッチめ!
「ふふん、無理すんなって~、いいんだよ、欲情しちゃっても!」
そんなわけにいくか、犯罪だってーの!
キュルルル! ヴォン! ヴォン!
セルモーターを回し、バイクのエンジンがかかった。
「あ、そうだ! 君、君の名前は!?」
「ん? 名前? んー…………とね…………あ、やっぱ、教えてあげない!」
(だって、近所だしね)
酷っ!
「いずれわかるって! だって、わたしのこの身体も心も全部、あ・な・た・の・モ・ノ、だからね~!」
ええ? それどういうこと?
「そんじゃ「また」ねえん! ちゅっ!」
彼女はヘルメット越しに投げキッスをする仕草を取り
カシャ! クン!
(ギアを入れ、同時にクラッチを離す)
「あ、ちょっ!」
キュアアッ! フイイイイイン!
意味深な台詞ばかりを残し、彼女は去って行った。
「……なんだったんだ? 今の」
終始マウントを取られたままだったような気がする
でも、なんでかぜんぜん嫌じゃなかった。
フイイイイイイイン!
……ん?
ヴォン! ヴォン! キキイ!
なんだ? 戻ってきたぞ?
「…………」
「……なんだ? 忘れもんか?」
「……ちょっと、わたしの勘なんだけどね、
もしかしたらこの子、νV2伊達じゃない号00が必要かな? って思ってね」
「……は?」
え? なん? にゅーぶいつーだてじゃないごーだぶるおー?
「いいから乗って! 時間無いから! 前でも後ろでもいいわ」
「なに? 俺にバイクに乗れっての? タンデムで?」
「ええ、早く行くわよ、汽車に乗り遅れちゃう!」
「いやだっておまえ、バイクでここまで来たんだろ? なんで汽車に乗んの?」
「…………」
なんか、急にこいつ黙った。
「……なの」
「……え? なに?」
さっきまでハキハキ喋ってたやつが急に声が小さくなったぞ
「わたし、まだ……15才……なの!!」
「…………は?」
それってつまり、無免許運転ですか?
フイイイイイイン!
俺たちはタンデムで隣村の定期便がある汽車の駅まで向かっていた。
無論、俺が前で運転している。
無免に命を預ける気はさらさら無いからだ。
「しかし、俺が中型バイクの免許持ってるってよく知っていたな……」
「ふっふっふ、わたしはなんでも知っているのだよ~
……と言いたいけど、あーやっぱ何でもは知らないか、知ってることだけ」
どっかの猫ヒロインみたいなこと言い出したぞこいつ
「ったく、無免の癖にこんな高価なバイク、新車で転がしやがって! この不良娘め!」
「ちがうよー! あの駅からこの村までの道……というか、土地は全部私有地だからね、
だから免許無くても基本問題無いの! もちろん駅までは汽車で来たんだよ~!」
「え? あれ全部? 村全体が私有地だったのか?」
どこのお殿様が持ってるんだよ?
「うん、だから何乗ってもおっけーだよ!」
なるほどそれであの汽車の運転か、合点がいった!
……つまり、あの駅にこの新車バイクをいつも駐車してるってことか?
あの村に行く為だけに? 普段乗りもしないのに? なんて贅沢な子っ!
「そんで、なんで俺にこいつ、えー、 ……なんだっけ?」
「νV2伊達じゃない号00ね! この子、君に預けておくから……
あ! ここからちょっと道悪いよ! 気をつけて!」
うわ、ホントにあちこちアスファルトに穴が開いてら!
「ちょっ、もっとちゃんとつかまってろよ! 落ちても知らんぞ!」
「こんな美少女を落っことすなんて、信じられない! ありえないから! 死んでも落とすな~!」
「だから、掴まってろって!」
「はーい!」
ぐんにゅっ!
「!!」
背中に、なんかものすごいものが当たったような気がしたんですが? なにこれ?
「お約束だよ~! 案外わたし、着やせするタイプだからね~! あ、でもおなかは出てないよ~!」
つまり、腹じゃない部分が当たってるんだよねこれ? つーか、マジでかくね?
「ねーどう? しあわせ? しあわせなの?」
「う、うっさいなー! 気が散るだろ!」
むしろ気が散ってるのは五月蝿いせいじゃないのですが
「ふっふっふ~! まだまだ成長中なのだよ、どうだ、まいったか!」
参りました。 マジで
「いや、それはともかく! なんで俺にこれ貸してくれるんだ?」
「ぶー! 感想くらい言えよ~サービスしてあげてるんだからさ!」
「あーはいはい幸せ幸せ! これでいいかな?」
「あ、てめー!」
彼女は更に俺の背中に押し当てぐりぐりして来た。
いや、ぐりぐりというよりも、ぐにゅんぐにゅん! と言うべきか
「やーめーてー! 事故るからっ! マジでやばいから!」
「ほれほれ! はやく素直な感想を言いたまへよ!」
「天国です! マジ天国に逝っちゃうからっ! 勘弁してくださいー!」
「…………よし、許す!」
とは言うものの、密着状態は解除してくれなかった。
「はあ、はあ……」
とりあえず、悪路地帯は脱したようだった。
「ま、緊急用に貸しといてあげるから! どのみちお盆明けまでは使わないしね」
「でも、村の中じゃあまり使い道無いぞこれ?」
そう、このバイクはオンロードバイクと言って基本的に舗装路を走ることを目的とされるバイクだ。
荒れた路面も走れなくは無いが、相当なテクニックと体力が必要になる
あの村は舗装された道路は極端に少なく、殆どが農道、つまり田んぼ道とかあぜ道と言われるアレである
せいぜいこの隣村に通ずる道くらいしかちゃんと舗装されてなかったように思う
これがオフロードバイク(荒地専用バイク)ならある程度へっちゃらなんだがな
「ま、使わないに越したことないんだけどね……」
「……?」
意味不明だった。
貸すからには、使って欲しいと思うのが普通だろうに
使わない方がいいとはいったいどういうことだろうか?
「あ、それは村に帰ったら、駅のトイレの裏に隠しといてね、
一応被せるカバーもあるから、それしておいて! 盗難防止にね!」
「お、おう……わかった」
「あと、この子が村にあることもあまり誰にでも言わないでね、
そんな悪い人はいないと思うけど、中にはお金目当てで狙う人もいるかもしれないから」
「あ、ああ……」
……そんな大事なものなら、わざわざ俺に貸さなくてもいいんじゃないのかな?
ヴォン! ヴォン! キキイ!
「おし! 着いたぞ」
「うん、さんきゅ!」
いや、さんきゅったって、これ、わざわざ俺に貸すためにここまで一緒に乗ってきただけなんだけどな
「はいこれ」
がぽっ!
「うお!?」
今まで、俺はノーヘルでここまで運転してきたのだが
ここにきて彼女のヘルメットが俺の頭に被さって来た。
「今までは、レディーファーストだからわたし被ってたけどねん、
今からは君に使わせてあげるよっ!」
すげえいい匂いがして、くらくらしてきた。
「……あ、ごめん、汗くさかった?」
「いや、ぜんぜんまったく!」
「そ、良かった。 髪の毛収めるのにちょっと大きめ買っといて、正解だったね!」
確かに、それでもまだちょいきつめだが、まあ我慢できないほどではなかった。
「じゃあこれ、お盆休み終わりに臨時便が出なかったら使わせてもらうわ、ありがとな」
「うん! あ、汽車もう来てるね! はやく行かないとっ!」
「おう、じゃあ…」
がばっ!
「!!」
え? いったい何が起こっているんだ? この状況?
「……気をつけてね、これでもわたし、心配してるんだから……」
俺に0距離にまで近づいて背中に手を廻している彼女が、上目使いにそう言ってきた。
なんで、俺は彼女に、ここまで気にかけてもらえてるんだろう?
いったい、三年前に……何が?
「お、俺は……君と、どんな……?」
「…………」
彼女は、何も答えなかった。
そして、少し寂しそうにしながら口角を上げて
「じゃね! 今度こそ、「また」ね!」
そう言い残して彼女は駅舎に消えていった。
……はっ!
僕は、いったい、何やっていたのだろうか?
確かすぐ消すとか言ってた筈なのに、気がついたら更新なんかして、
しかも、続きじゃなく、えらい話が飛んでるぞ!w
あ! あれかあ! テスト前日に勉強しなくちゃ! と追い込まれたら
突如「あ、そうじしなくちゃね!」と今やらなくてもいいことやりだすあれだね?
なるほどなるほど~って、あほか俺!
てなワケでラフスムの更新もせずに貴重な土日を消費してしまった新田です。 アホです。
こっちのお話は元々彼女の設定はありませんでした。
それを今書けばどの辺にはめ込めれるかな~とか考えてたら、こんなんなりました。
1~3話までではワケわかんなかった世界観の繋がりも、
ここを読めばなんとなくわかっていただけるかもしれませんね。
あ、もちろんこれは決定したお話ではありません。 パラレルということで書いてます。
あくまで可能性のひとつとしてです。
ちなみに「νV2伊達じゃない号00」はこれ以前にもう一台
「νV伊達じゃない号エクレア」という機体も存在するらしいですが、
現在、その一切が闇に葬られて不明となっております。
噂によるとR3まで在ったとか無かったとかw
……ごめんなんさい、調子に乗りました。
ラフスム更新がんばります。 もうちょっと待っててねっ!(汗)




