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旅に出たらいきなり「ここどこ?」状態になりました。


ぷわんっ


ディーゼル音がゆっくりとカン高い音に変わってゆく……

景色が流れだし、独特の小気味良いテンポで「カタン、コトン…」と室内を響かせだした。


……いつからだろう? 


街並みは、遠くにぽつぽつと見え隠れする程度になり

代わりに田園が目立つようになってきた。


遠くには山々が連なり、時折その隙間から海も垣間見ることができる。


空気が新鮮なのか、空はことの他蒼く……

ついでに、雲ひとつ無い日本晴れだった……


「……田舎だな。」


つい、ポツリとつぶやいてしまった。


とたん、室温が数度下がったかのような錯覚にとらわれ、

まわりの視線がいっせいに俺目掛けてざくりと突き刺さった。

……ような、気がした。


「うっ!?」


きょろ、きょろ……


「…………」


既にこちらに向いている視線はひとつもなかったが

単に気のせいってわけでも無いようだ……


……ちょっぴり失言だったかもしれないな。


そんなつもりでは無かったのだが。


まあ、それはさておき。



ぐう、きゅるるるるる…



「腹減ったなあ…」


この辺の駅だと、なかなか駅弁を買うのも難しくなってくる。

無人駅が多い為だ。


孝志「どっか、大きい駅に停車しないかなあ…」


孝志「まあ、あまり期待はできないだろうけど…」


孝志「…はっ!」


びきいっ!


またしても周囲から氷のような視線が突き刺さった。

しかもなんとなくうっすらと殺意めいたものすら感じられる。


孝志「うがっ!」


素直過ぎる性格が災いしたのだろうか…

まわりにどんどん敵を増やしていってるような気がしないでもない。


かといって今ここで立ち上がって謝罪なんかしようものなら

なおさら険悪な雰囲気になりそうだし…

黙っているのが吉だなこりゃ。


よく思うのだが、田舎の人間ってどうしてこう、都会に対して過剰なまでに劣等感を持っているのだろうか?


余計に田舎もん臭くなるだけだと思うのだがなあ……


「くすくす」


孝志「……」


笑い声まで聞こえてきた。

ま、笑いたければ笑うがいいさ

旅の恥は掻き捨て。 大したことじゃない。


それよりも食料だ。

どっか適当な駅で途中下車して食堂にでも入るか?


ガタタン、ゴトトン…キキキーーーー……


ぷしゅー……(ドアの開く音)


お、停車したな…


しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ…


孝志「……」


どう見ても、駅の周りはただの田園地帯にしか見えないんだが…


…あかん。 ここで降りるとたぶん…いや、きっと餓死する。


ぷしゅー……(ドアの閉まる音)


がたん、ごとん…


孝志「走り出してしまった…」


ぐうーーーー……


それからみっつよっつ駅を通過したが

やはり同じような状況が続いた。



ぐう、きゅるるるるる…


ぐぎゅるるるるるるうる……


ぐぐぎゅるるるるるるるるるる……


……うるさいやつ(腹)だ、いくら泣いても何も出ないのがわからん子供でもあるまいに…


「に…」


孝志「……」


「に…ゃ」


孝志「……ん?」


「にゃ……に」


孝志「……」


「にゃ……あ」


孝志「……………………おお!」


ぽん!と手を叩いて思い出す。


孝志「そういや、おまえも出発してから何も食べて無かったよな」


「にゃあ…」


孝志「待ってろ、おまえの分は確かこの中に…」


ごそごそ…


……よく考えたら、こいつの分はバックの中に入れてあるのに

人間さまの餌を忘れるとはな……ふっ……俺ってば、善人にもほどがあるぜ。


ごそ…


孝志「…ん? あった!」


「にゃあ!」


孝志「喜べ! 今日はマグロ缶だぞ」


「にゃああ!」


孝志「しかも、しらす入りだ!」


「にゃあああっ!」


カリカリとケージを掻くマイキャット

すごい喜びようだ。


孝志「まあまてまて、慌てる乞食はもらいが少ないらしいぞ」


「にゃ!」


一声あげておとなしく待つマイキャット、

もちろんこいつは乞食どころか、正真正銘の一文無しである。


孝志「……」


「……にゃ?」


孝志「……」


孝志「…缶切り、忘れた」


「にゃがーんっ!」


……がっくりとうなだれるマイ猫。 ああ哀れ


……俺はこんな役にも立たないものを20缶(4×5缶)も持ち歩いていたのか…

バックの紐が肩に食い込んで、めちゃ重かったぞ……


孝志「…はあ…」


さて、どうしたものか……

このままでは二人とも(正確には一人と一匹)行き倒れてしまう。

俺は金を持ってるし、こいつも食料をしこたま抱え込んでるというのに…

これで餓死なんかした日にゃあ、それこそ国民の物笑いの種になるわ!


うーーーん、困った。


…………困ったから、寝るか。


「にゃ?」


ま、少しくらい、いいか…


どうせ、アテの無い旅だ…


省電力モード、発動!


孝志「つーわけで、おやすみ、マイフレンヅ」


「に、にゃっ!?」


孝志「ふあぁ~あ……」


すぐに眠くなってきた…

考えてみれば、つい昨日までは不規則な上に

ハードなスケジュールで仕事をしていたんだ。

そりゃ疲れもする。

本当は一日くらい、ゆっくり寝てから旅に出りゃ良かったんだが

思い立ったらすぐ行動しないと決心が揺らぎかねないし

何より貴重な休日がもったいない。

子供と違ってひと月以上も休める身分の社会人なんて

そうそう存在しないのだ。

睡眠はこういう時にでも取れるしな。


世の中には枕が変わっただけで眠れないという輩も居るようだが

俺は違う。

睡眠の猛者もさだからな。

起きたらすぐ仕事、などというプレッシャーさえ無ければ

どこでだって寝られる。


……ああ、ぼちぼち良い…感じ…で……


「にゃっ! にゃにゃっ! にゃああっ!」


孝志「……ぐー」


「にゃあああああああアアアアアアア~~~~~~・……」



小動物の断末魔の声を子守唄に、僕は深い眠りに落ちていった。

ああ、なんて鬼畜な俺。 クールだぜ




孝志「…………」

  「………」

  「……」


??「…あ、眠っちゃったんだ」

??「くすっ、お隣、失礼しますね。」


……なんだか、良い匂いがする…

……


孝志「…」


「あの~」


孝志「……」


「あの~っ」


孝志「……」


「あの~っ!」


孝志「……?」


「あの~、お客さん?」


孝志「……ん?」


「そろそろ起きていただけませんか? もうここ、終点なんですけど」


孝志「……」


孝志「……え?」






……なんだか

懐かしい夢を見た。 …気がする。



あたりを見渡すと、既に車内のエアコンは切られ

出入り口は開け放たれていた。


なんとなしに、「緑」を連想させる空気の匂いが

漂ってきている。




しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ……




孝志「……ふう。」


特に何をしたと言うわけでもないが、少し疲れた感があった。

ただ延々と列車に乗っていただけなのではあるが…精神的なものだけでもないのだろう…


旅は、やっぱり疲れるのだ。

 

……そういえば、慰安旅行とかの「慰安」とかの部分がなぜ「慰安」なのか…

時間厳守でスケジュールに余裕も無く、いつもと同じ職場の連中と互いに気を使いながら

団体行動を取る……しかも上司の言う事は聞かねばならんしゴマもすらにゃならん…

たいして呑みたくも無い酒をじゃんじゃん注ぎ注がれ、

腹を割って話す奴も居ないのに徐々に理性が削られていくのを

なんとか耐えながら悪酔いしていく…

帰って来たらヘトヘトなのに大抵はその翌日はもう仕事だったりする。    


これのどこが「慰安」なのか……?

よくわからないな、とか変な疑問を抱きつつホームに降り立った。


久々に外に出た開放感と自由感。

自然に囲まれ、明るい色彩に彩られたその駅とホームの周辺は

観ているだけでも心が癒されていくのがわかった。


孝志「いかんな、折角の旅なんだ、余計なことは考えないようにしないと…」


孝志「ん、……んん~~~~ん」


少し伸びをする。

わずかに目を閉じ、そしてゆっくりと目を開けた。


孝志「……お!」


駅舎の片隅にジュースの自販機を見つけ

さっそく財布の中のコインを取り出す。


孝志「せめて、水分くらいは補給しておくかな」


カチャン………チャリン。


孝志「……」


カチャン………チャリン。


孝志「……ん?」


再度、コインを投入する。


カチャン………チャリン。


孝志「ありゃ? 受け付けないぞ」


カチャン………チャリン。


孝志「……」


思案して財布の中身を覗き込む。


硬貨は、10円玉が二枚と、5円が二枚。

銀色に輝いてるものは今握ってるモノ以外は存在しなかった。


カチャン………チャリン。


カチャン………チャリン。


カチャン………チャリン。



孝志「…………」


そこでハタとひとつ思い当たることがあった。


孝志「まさか……新500円玉は…受け付けねえとか?」


どうやら、それっぽかった。

お札を入れる所も無ければ新硬貨も受けつけないとは…


孝志「はあ……こんな旧式自販機しかねーのかよ。

…ウォンでも持ってたらよかったな」


ちょっとブラックなジョークを飛ばしながらも

脱力…


駅舎を見渡したが、売店も無く、無人駅くさかった。



孝志「はあ~~……」


うだるような暑さの中

とたんに炎天下に放り出された感のあった俺は

朦朧とした意識の中、ぽつりとつぶやいた。


孝志「……やっぱ、田舎だな」


それも今までとはまた違う、

レベルが更に上がっていた。


ちゃららちゃっちゃちゃ~♪


そんなBGMが聞こえてきた。


孝志「……空耳か?」


……


……まあ、いいや


孝志「とりあえず、現在地を確認するか」


暑いので駅舎の影に入り、辺りを見渡すことにしてみた。

ついでに体内のヤニが切れたので補給をしておく…


孝志「ふう~……」


少し、一息ついた。


孝志「……あ!」


脳内活動が正常値に戻ってきたのか、ここで気がかりを思い出した。

荷物の中の薄布をかぶせてあるあるものに目をやる。

布をひっぺがし、中を確認する。


孝志「おーい、生きとるか~?」


「にゃ~。」


孝志「……ありゃ?」


あれから結構時間が経っているというのに

なんだか就寝前より生気があるように見えるのは…気のせいか?


孝志「ま、なんにしても無事そうでなにより」


「にゃあ~」


孝志「……」


…………

……まさか、蝋燭が消える前の最後の灯火…ってことは、ないよな?


「…にゃ?」


考え過ぎか…

まあでも、早いうちにこいつだけにでも

なんかしてやらなきゃな


とはいえ、近くには、やはり店とかは…………無いな。

昔、店だった「らしい」建物はいくつかあるが…


孝志「これ、全部潰れた夢の跡なのか?……やれやれ」


おそらくバブリーな時代にこぞって建てたんだろうが…

まあ、こんな所じゃ…ねえ…?

それにしても、一件くらい生き残っていても良さそうなもんだが…


孝志「ん? なんだ…ここは本当の終点って訳じゃないのか…」


ふと、駅名の書かれたホームの看板に目をやると

確かに次の駅名が書かれている


駅舎の中からホームの方に戻ってみる


…しかしこれは…

線路、…つまりレールを見ると

来た方の側は割とピカピカしているのに対し

反対側は明らかに曇っていてうっすら錆も出ていた。


孝志「……こっから先は、もう廃線…か?」


孝志「しゃーねえ、こうなったら元来た方向に少し戻るか…」


孝志「もしかしたら眠ってる間に、大きい駅もあったかもしれないしな」


そう思い立つと、今目の前に停車している

ここまで運命を友にしてきた汽車にまた乗り込んだ。


孝志「すみませ~ん」


「……あ、は~い」


汽車の乗務員さんが反応してくれた。

自分よりかは年上そうだが

割と気の良い感じの好感が持てる顔立ちをしていた。

俺は人間、やっぱある程度は顔に性格が出てくると思っている。

今まで生きてきた経験上そう思うのだが…

まあ、例外もあるのだろうけど、大体は察しがつく。


乗務員「はい、なんでしょう?」


孝志「この列車は今度いつ発車するんですか?」


乗務員「…………」


乗務員「……えっ?」


孝志「……えっ?」


思わず返してしまう。

……なんだか嫌な予感がしてきた。


乗務員「時刻表、ご覧になりませんでした?」


孝志「あ、はあ……」


そういやそうだ、駅舎の中にそれらしいものは確かにあった。


孝志「すみません」


乗務員「あ、いえ…そういう意味では無いのですが…その…」


孝志「?」


乗務員「これは最終列車です。明日までは出発しませんよ」


孝志「……えっ?」


………………………………………………

…………………………………………

…………………………………

……………………………

……………………

……………まじで? 

まだ、日も暮れてないのに!?


孝志「それは…知りませんでした。」


乗務員「乗り過ごされたんですか?」


孝志「はあ…まあ、そんなようなものです。」


乗務員「それは、困りましたねえ…」


孝志「いや、まあ、なんとかします。 どうもありがとうございました。」


どうしようかと思いながらも軽く会釈をして立ち去ろうとしたとき


乗務員「あ、待って…」


孝志「はい?」


乗務員「他に、交通手段あるの?」


孝志「いえ、これから考えますが…?」


乗務員「ここにはもう何も無いよ。 バスも先刻最終が出たし」


孝志「えっ!?」


乗務員「タクシーも、同じように居なくなっちまったからねえ……」


まぢですか?


孝志「は……はは…まあ、夏ですし……凍死することはありますまい」


乗務員「……駅舎で野宿される気で?」


孝志「まあ、なんとかなるでしょ」


食料さえ調達できれば…だが


乗務員「すみませんなあ、力になれなくて…」


ちょっぴりすまなさそうにする乗務員さん


孝志「ああ、いえいえ」


人が良さそうな乗務員さんとはいえ

流石に自分が泊まる場所に知らない人間をあがり込ますまでの度量は 

持ち合わせてはいないようだ。 

まあ当然といえば当然だが…

……が、こちらもそこまで甘えるつもりはもちろん無い。


乗務員「……この奥へなら、行く便はあるんですがねえ」


ぼそっと漏らす乗務員さん


孝志「……えっ?」


この奥……あのうっすらと錆びたレール…

まだ、生きているのか?


孝志「奥には、何が?」


乗務員「いんや、何も無いよ……」


乗務員「とか言ったら住んでる住民に失礼じゃけどな…

民家がまばらにあるくらいですねえ」


ちょっと乗務員さんもしゃべり方が砕けてきた。 まあいいのだが


しかし、やっぱり期待できそうに無いか…

まあ期待できるくらいなら真っ先に乗務員さんが話してくれるだろうしなあ…


乗務員「なので、この奥への列車は臨時便でしてね、めったに出ないんじゃが

たまたま今日がその日だったりするわけですよ……」


……もしかして、そこは陸の孤島ですか?


孝志「それだと宿泊施設やお店なんかは…当然…」


乗務員「さあねえ、私もその駅周辺以外はあまりよくは知らないので…

まあ無いことは無いんじゃろうが……

あんたさん、いつお帰りの予定で?」


そりゃまそうだ、行ったは良いが

いつ出るともわからん臨時便だと

余計帰ることが困難になるだろうからな…


孝志「…そうですね、やっぱり明日の出発を待ちます…」


乗務員「まあ、それが最良じゃろうなあ…」


孝志「はい、では…」


踵を返し、駅舎の向こうを見渡した。


孝志「……」


やっぱ、田園と民家がぱらぱらとある以外は何も無いよなあ…


でもまあこれで時間だけはたっぷりできた。

一食抜くことにはなるが、それくらいはなんとか我慢できるだろう


ケージに目をやり


孝志「こいつにだけは餌やらねーとな……あとで民家で缶切り借りるか…」


孝志「さてと…折角だからまだ日があるうちに…」


ごそごそとバックの中を掻き回す。


孝志「…ん、あった!」


一人旅だし、誰に遠慮も無く時間を割いてゆっくり取り組める。



ジジ……パシャ!


ジジ…パシャッ! パシャッ! パシャッ! 



俺の趣味のひとつは、写真撮影だ。

人ごみがいまいち苦手なので

だいたい風景か建造物なんかを撮っている。

ノスタルジックな感じのするものが中心かな?


その辺を考えると、この田舎も駅舎もなかなか捨てたもんじゃない…

しばらく撮影タイムとしゃれ込んで、その後どうするか決めよう。

そもそも今回は撮影旅行だと決めていた。

なのに今まで忘れていたとは、間抜けにもほどがあるな俺…


ジー…パシャッ


孝志「……ん?」


民家から少し離れた道端に、ひとり…人影を見つけた。


ズーミングしてみる…とはいえレンズが300mm迄なのでせいぜい6倍程度なのだが…


孝志「……女の子、だな…」


どうやら女学生らしかった。

ひとり、うずくまって…何してるんだろう?


孝志「……」


少し、歩を進めて近づいてみる


孝志「まさか、日射病とかじゃ、ないよな?」


彼女がうずくまったまま動かないので少し心配になってきた。

が、その不安も杞憂に終わったことがすぐにわかる。


孝志「……花…か?」


その女学生らしい彼女は、道端にある花を摘んでいるようだ…

なんだかすごくほのぼのした気分になる。

こんな光景、都会じゃ見られないよなあ…


孝志「……しかし、また面妖な」


さっきから気にはなっていたのだが……

「それ」は近づくにつれてはっきりとしたカタチがわかってきた。


孝志「あれは…どう見ても……猫、だよな?」


そう、なんの変哲も無い、ただのどこにでも居る雑種っぽい猫である。

それ自体が「面妖な」わけではなく問題は別の所に有った。


孝志「なんで、頭に乗っかってるんだ?」


その猫は、彼女の頭に、まるでヘルメットか帽子のようにピッタリと張り付いていた。

彼女が体を動かそうが首を曲げようが離れる気配は一向に無い。

まるで…あれは……


孝志「マジ○ガ-Zみたいだ…」


もしかしたら猫が彼女を操縦してるのかもしれないなとか

わけわからない想像をしてみた。


孝志「んなわけあるかい! ……ぷっ!」


ひとりで漫才してひとり笑う俺、……傍から見るとただの危ない奴にしか見えないだろう…


孝志「こ、こほん…」


気を取り直して彼女を見る……


ファインダー越しのその横顔は…不思議と……どこか、懐かしい感じがした。


そして、その彼女が花を摘む瞬間、俺は…素直にそれが綺麗だと思い…

シャッターボタンにかけていた指に…自然と力が篭っていた。


ジジ…


グッ…



孝志「……!」


目が、合った。


いや、彼女ではない…


頭の……物体……


あの、猫だ。


僅かに響いたAFオートフォーカスの駆動音が

どうやら頭の猫耳に反応してしまったらしい…


じっと、こっちを見ている…


気づかれたか…


とたん、わずかな罪悪感がして

ファインダーから彼女を外そうとしたら…

すぐさま猫は彼女と同じ方向へ顔を向き直した。


孝志「……」


今しかないか?


懲りずにもう一度カメラを構えなおす。

今度は間髪入れずにシャッターを押しにかかった。


瞬間、ファインダー内の彼女の姿がブレた。


「ぴいすっ!」


カシャッ!


……激写、成功。

確かに彼女は、マイカメラのフィルムに焼き付けられた。 …筈だ。


しかし、こちらの意図した構図にちゃんとなってるかどうかは

まったくもって別問題である。


彼女はまるでこちらのシャッターを押す瞬間がわかってたかのように瞬時に

こちらに振り向き、あろうことかピースサインを繰り出していたのであった。



こんばんは、「新田やすのり」と申します。


はじめましての方、はじめまして!

「ラフ&スムース」読者の方々、毎度どうもです!


このたび、今執筆中の「ラフ&スムース」が総合評価100の壁をなんとか突破しましたので

公言したとおり、過去のお蔵入り文章を期間限定で発表することにしました。

皆様ありがとうございました!


正直、物語導入部しか書けていません(汗)が、

世界観はラフスムと同じくしております。

なにぶん古すぎるもので、矛盾点の存在も考慮して一応パラレルということでお願いします。


ちょっと長かったので2~3話に分割します。


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