輪廻の輪にて
死んだ…うん、間違いなく死んだ。
俺は、妙な浮遊感を感じながら自分が死んだことを再確認していた。自身の強さを正確に判断しており、勇者程度に殺されるとは夢にも思っていなかった。
まさか人生(?)最大の驚きが死ぬときだとは…
「それよりなんなんだあの、勇者…いやあの聖剣は…それに聖女って言う割にはめっちゃ容赦なかったな」
特に抵抗するつもりなどなかったのだが、あの聖女は俺の魂さえも消し去ってしまった。確かにあの状態であれば俺なら復活できた可能性もあるが、少しくらい感傷に浸る時間は欲しかったよ。
「まぁいいや…っというよりここは…輪廻の輪ってやつか?」
感覚的に見えているのは、巨大な光の輪。
比較対象がないからどれくらいかわからないがとにかく巨大。
臨死体験した人間からの情報で朧げに知っているがまさか実在していたとは。
輪廻の輪…簡単に言えば生き返るために通過しなければならない門
生きとし生けるものは、すべて循環している。
”全は一つの流れに沿っている”
昔聞いた言葉で、俺が魔王にまでなれた大切な理だ。
生き返ると言っても、記憶やその魂に刻まれたことは完全にリセットされてだ。
時折前世の記憶を持ったものがいるが、本当に極稀だ。
「…どういうことだ?」
輪廻の輪の入り口らしき場所が完全に閉鎖されている。
「まさか、魂さえも消されたから転生もできないのか?それなら俺はこんなふわふわしたまま永遠にここで…」
俺はここにきて初めて焦りだした。魔王として存在していた6000年もほとんどが退屈でつまらない日々だった。
こんな何もない場所だったら、なおさらだ。
暇というのは耐え難い苦痛だ
『ちょっと待って!何これ、輪廻の輪フリーズしてんじゃん!!』
どこからともなく声が響く、そのセリフは若者のようだが、声質はなぜか神秘的…
現状から見て神様か?やっぱり実在するんだな
『だから言ったじゃん、なにがちょっと設定いじれば高級菓子何度も再生できて食い放題じゃね?…っだよ!』
『おめっ神に向かってなんつーことを、つーかお前もノリノリだったろうが!』
『ちょっ、神やんそのスイッチ入ってるよ、神界全域にこの声届いてるよ!』
『いやいや大丈夫だって、なんでか知らねえけど輪廻の輪ガラガラだし、今だってあー 3柱しかないし面倒だからまた再起動すっか』
『そうっすね、別に問題…あ!!ちょっ待てよ、そのなかにまお…』
そんな茶番みたいな会話は最後まで聞こえることなく、俺の意識は急に暗転した。
今回は短めです!
なるべく区切りのいいところで1ページを終わらせたいのです!
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