表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

春の君

作者: 瀬川 純春

風がふわり、たなびいた。


振り向くとそこには、大きな桜の木があった。

毎日通っているのに、なぜか今日は何かが気になり振り向いた。

いや、正確に言うと、呼ばれた気がしたから。


振り向いても誰もいない。気のせいだと思い、また道を歩いて行こうとしたその時だった。

「たつやさん」

今度は、はっきりと僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。


振り向くとそこには、会ったことのない女の子が立っていた。

「君は?」

「私は、ひかり。初めまして。じゃ、ないかな?」

「え?僕は君を知らないけど。」

僕は、そんなに多くない自分の女友達や、さらに数少ない僕の過去の恋愛経験を思い出してみた。

やっぱり知らない。


そもそも、こんなにきれいな女の子を忘れるはずがない。

ここで話を合わせるのも、1つの手かもしれなかったが、

そんな機転が聞くこともできず、

「やっぱり僕は、君の事を知らないよ。勘違い何かじゃないのかな?」

と僕が言い終わるか終わらないかのタイミングで、見せた彼女の悲しそうな表情に、僕は自分が何か悪いことでもしているような気になってしまった。

「私は、、あなたの事を知ってるよ。だって前から見ていたもん。」

なんだこれ、新手のストーカー?か?もしくは、怪しい商売で、実はどこかでいかついお兄さんたちが見張っていて、僕はどこかへ連れて行かれるんじゃないか?


そんな事を考えてしまった僕に、彼女は、

「ねぇ、今時間ある?せっかく出会えたんだから、私とデートしてくれない??」

突拍子もないお願いをいきなりされてしまった。


時間は有り余るくらいある。と言いたいところだけど、夕方からはバイトだし、今ある時間は夕方までの数時間だ。

それをそのまま伝えると、

「ん、十分だよ!どこかに行こう!」

と駅の方に向かって歩こうと振り向いた彼女から、

ふわりと桜の花の香りがした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ