王様に初めましてのご挨拶
拝啓いとこのお兄ちゃんへ
巻き込まれた私は巻き込んでくれちゃった王様に文句言ってもいいでしょうか?
お兄ちゃんに借りて読んだ小説は勇者と王様は勇者の方が立場低かったけど、最愛の旦那様が書いてた本は割りと対等っぽかったんだっけ。やっぱりその人によるんだろうか。
とりあえず謁見だ。
・・・扉がすっごく豪華。だったんだけれども。
謁見って必ず王様が玉座に座っているわけでは無いんだね。
王様ってもっとこうふくふくしてて年取ってて踏ん反り返ってるものだと思ってました。なんかスミマセン。
えーっと、うん。めっちゃ書類仕事してる。でもってちょっと疲れてるみたい。
これってやっぱり明日出直した方がいいんじゃないだろうか。ドアが開いたことにも気づいてないよ。・・・あ、後ろにいた人が耳打ちしに行った。何かかわいそうになってきた。
「こちらから呼び出しておいて待たせてすまない。」
「いえ、お構いなく。私も分からないことを質問させていただいていたので。」
・・・うん。いきなり謝ってくるのは此処はそういう所なんだろうか。
それより、王様が私に気付いてからが凄かった。あっという間に机の上の山積みだった書類が片付いて、気が付いたら応接用の机(そこにも書類が載ってた)の上にお茶のセットが用意されてたんだよ。
・・・書類、どこに消えたんだろう。
それから、王様もちょっと疲れぎみだったのを一瞬で隠して何事もなかったように椅子を勧めてくれるから、文句言おうとおもってたのがどうでもよくなったし。
でもねー。そんなことやってると身体壊すよー。
「それにしても、文句を言われるかと思って
いたのだかな。」
「いえ、それよりも、何かあったんですか?」
「?ああ、今日は謁見の予定がない日だったものでな、書類を3日先のものまでかたづけていたのだ。そうしたら外の状況が全く分からなくて・・・。」
うわーうわー。ご苦労様です。
「・・・大丈夫なんですか?」
「もちろんだ。」
即答された⁉︎絶対大丈夫じゃない人の特徴だよそれ!!後ろに立ってる人が苦笑してるよ。止めようとは思わなかったのか?!
「「あ」」
「どうした。」
「お先にどうぞ、大したことではないので。」
「いや、本題を忘れていたと思ってだな。まあ、後で構わない。」
おいおい、本題が後でいいのか?
「では、えっと、過去に召喚された勇者についてききたいことが。かまいませんか?」
「答えられることならば。」
「本人がいう実年齢と、見た目年齢が噛み合ってないことはありましたか?それから、皆さんどれくらいの年齢だったか分かりますか?」
「皆十七、八ぐらいだったときくが・・・。私が会ったことのある異界の人は貴女で二人目なのでな。それについては私に聞くよりもっといいものがある。・・・おい、例の物を。」
「・・・はい、今すぐ。」
王様が後ろの人に声掛けたら一瞬渋る様子をみせたものの、早足で出てった。例の物ってなんだろ。
「少し時間が掛かりそうだから他に質問が無ければ私の話を聞いてもらって構わないだろうか?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「昨日召喚した勇者が居なくなってしまったことは聞いたか?」
「はい。聞きましたが。」
「それで、代わりに貴女がこの世界に呼ばれたであろうと推測されることは?」
「あ、それもききました。」
「代わりにと言ってはなんだが、勇者をやってはくれないか?」
は?いまなんつった?
梨那が言いたくなかったことの答えは「見た目が若くなっている」でした。