プロローグ
少しばかりエロ要素が入っています。今後の話にはおそらくあまり取り入れないつもりです。今回だけご了承ください。
学校が終わって塾へ行って、今は夜の9時。帰り道の近所の商店街には自分以外誰もいない。昼間は暑かったが、夜になるとかなり冷えてくる。スカートから下の脚が寒い。少しオレンジがかった蛍光灯が歩道を照らしている。彼女は商店街から横道にそれ、人が三人通るのがやっとの、真っ暗な細い路地に入りうずくまる。
「そろそろかな……」
待つこと10分。1人の酔っ払いが路地に入ってきた。40歳ぐらいの細身の男性。彼は金曜日の夜は大体この時間にここを通る。5歳年下の奥さんと3歳の息子、そして家族にはばれていないが、愛人との間に1歳の女の子がいる。しかし今は生活費の補助をしているだけで、実際に会うことはしていない。愛人もまた、いずれは仕事を始め一人で娘を育てていくつもりらしい。
男は今でも月に一度ほど出会い系サイトで知り合った高校生や大学生にお金を渡して肉体関係を持っている。
彼は少女の存在に気がつくと、体育座りをしたスカートから覗くピンクの布に目が引かれた。彼女もこちらに気がついたらしく目があった。すると少女が立ち上がり歩み寄ってきた。暗闇でよくわからなかったが、近くの高校の制服を着ているのが近づくにつれて見えてきた。男の目と鼻の先で立ち止まると路地の壁に両手をつき、尻を突き出しスカートをめくる。誘っているようだ。男は困惑しながらも、その光景に高揚し彼女の背後へと回った。ピンクの布に手をかけ、下げようとする。しかし、少しずらした瞬間、腹部から背中にかけて激しい痛みと違和感を感じ目の前が暗くなる。そのまま彼の意識は消えていった。
それから十数秒間、少女は薄く笑いながら、普通の人間たちには味わうことができない快感に浸る。
彼女の名前は岩城清蘭。県立高校二年生。尾人である。