永遠の旅物語 完結編 「天地激震」
発想が5年前なのに、こんな結末…。
もっと修行を積まないと……。
ともあれ、載せたら、長い休載に入ります。
天に願い
地に祈りを捧げ
人は踊る
それでも
天災は止まらない。
それが、悪魔。
それが、赤熊。
そして、凶暴を阻止せんとする者。
それがーーーウォンとピーコ。
私はただ、遠くから見るしかできなかった。
暴れる丑と午を皆で抑えることしかできなかった。
ーーーー
風が擦り合い、大地が震える。
「人々に恐怖の闇に覆われた時、一握りの光がそれを撃ち崩しさんとする」
吠える赤き兎。小さな拳に大いなる魂技を込め、振り降ろす。
刹那
赤熊、否、悪魔は身に受けなお、叫んだ。
「しかし、その光もまた、悪なり。
絶望を知るからこそ、希望を軽く語ろうとはしない」
天高くに黒き雲が集まる。
巨大な積乱雲だ。
ウォンはそこまで力強く跳び。
黒き雲に黄色の光が発する。
全力全開の魂技を、全てを終わりにするものを
悪魔へ目掛けて放つ。
「Lv4 魂技!!
<<迅雷>>ッッッ!!!!! 」
雷より、光より、速くミサイルのように自らの身を持って滅する。
悪魔はそれを受け止めーーーー切れなかった。
千の雷を越す威力を持つ<<迅雷>>は悪魔の骨を残す事はなく、この世から消え去ることに成功する。
その代償は、魂の消滅。
ーーーー
暴れ狂う突風に雷の残響。
やがて、天候が収まった頃に、兎が帰ってきた。
「ピーコ!」
「生きていたのか!」
この時、丑と午は正気を取り戻し、手を掛けた人々達への謝罪と埋葬に追われていた。
私たちもその活動を手伝った。まさにその時であった。
「ああ・・・ミアリーか。ーーウォンは」
「・・・・まだどっかに行った?」
ピーコの体、人形がボロボロになっているあたり、相当激しい戦いだったのだろう。
「・・・・・・・・行ったさ」
「それは遠い所?」
「らしいな」
お互いに「決定的な言葉」を言わなかった。暗黙の了解だ。
「あ。そうそう。ピーコに会いたい人が居たんだよ」
すると、ミアリーの隣から青色の髪の女性が現れた。武器は槍。「戦乙女」だ。
「十二干支・辰です。この度、混沌を滅してくれてありがとうございます」
「・・・」
「その褒美と言いますか、ピーコの記憶をコピーして一人だけ飛ばせることができます」
「・・・・それは、過去にもか?」
「はい。その場合、どのような影響があるのか、分かりませんが」
冷静に語る辰。ピーコはしばらく考えてからあることを決意した。
「過去の俺に飛ばしてくれ。ーーあんな事が起こる前の、だ」
「できません。成果を作った原因は変えられません。できるのは作った本人です。ーー飛ばせるのは大人になり、気を失った時でしょう」
「・・・(もし、やれたとしても、起こるのは必然、か)。分かった、やってくれ」
「了承しました」
辰はそう言って、手をピーコの頭に置いた。
しばらく経った後、十二干支・辰は静かに離れ、どこかに行ってしまった。
「ウォンによると、亥は発狂して恋人に手を掛けたみてーだし、未は・・・欲望はないか」
「姫様も諦めて、身を固めるらしいわ」
ミアリーがそう言った後、ピーコは歩き出した。
「どこに行くの」
「世界の果てに、さ。魂が尽きるまで歩き続ける」
「私も行ってはいけない?」
「ああ。これは俺だけでいい」
「ーーーーそう」
ミアリーは立ち尽くして、ピーコが見えなくなるまで見送った。
やがて、この出来事はミアリーによって、美談に変わり、人々に広がることになる。
人々は時代の流れに押して流れて、新しい場へ向かっていく。
それでも、ミアリーは信じた。
世界のどこかでピーコは生きて、何かを達成している、と。
ーーーー
「・・・・・ん」
一瞬暗くなり、光が見えた。
ここは誰かの家らしい。
「たたいまー。っつても、先生には届かないか」
誰かの声がした。
無意識にその声がする方向へ歩き始める。
「あーあ。先生といっぱいお話をしたいなぁ。あっでも、性格は問題児か」
明るい声。知らない人。台所から聞こえる音。
「よし、これで、できた! 後は先生との戦いかぁ・・・・。嫌すぎる・・・・」
「誰・・・・?」
その人は女だった。10代の女子だ。
見慣れない服を着ていて、その上にエプロンがある。
その女子は振り返って、自分を見た。
「な・・・なんだ、先生で 「ここはどこだ?」
目を大きく開いて固まる女子。
「え。今の・・・」
「ん。おっと、自分から名乗らないとな。すまんすまん。
俺はピーコだ!
・・・・違うか、ええと・・・」
その時、遠い昔に捨てた名前が蘇る。偶然かもしれないが、何故か鮮明に思い出した。
「そうだ。瑞江・・・・正彦! まさり!」
「うそ・・・喋った!? だって、先生はーー」
「ああ。お前は?」
我に還った女子が笑顔を浮かべて、自らの名前を高らかに言い放った。
「桜野高等学園2ーA。欄間 桜です! 初めて、よろしくね」
その女子は今まで出会った人々の中で一番綺麗と直感で思った。
ーー俺はこれからどうなるのか、は分からない。
でもこいつだけは側にいてほしいと考えた。
時間はあるんだ。ゆっくり行こう。
永遠の旅物語シリーズ 完結。




