~七匹目・過去、文を拾うもの~
ある日、涼介とそのお父さんは、一緒に釣り出かけたらしい。
そして、その日は珍しく夜まで釣りをしていて、帰り道は街灯もほとんど無くて暗かったらしい。
二人仲良く徒歩で帰っていると、突然、後ろから車が突っ込んできて、涼介のお父さんは涼介をかばってスピードが出てた車と衝突してしまった。
車に乗った男は車から出てきて、悲鳴を上げながら車に乗り込んで、逃げたんだ。
そして、涼介はお父さんの近くへ行くと、お父さんはその時、小さかった涼介の手握りしめてこう言ったんだとさ・・・
「で、なんて言ったの?・・・」
真田は先が気なるようで、真剣に俺の話を聞いていた。
「待て待て。今言うからさ」俺は少し咳払いをして、話を続けた。
《かなしいときは、笑え。つらいときは、もっと笑え。どんな時でも、笑えば・・・お前についてきてくれるなかまがきっといるはずさ・・・。おかあさんをたのむぞ。りょうすけ・・・・》と、言って涼介の小さかった手から握る力はなくなった。
「・・・だってさ。別に本人に聴いたわけじゃないけど、アイツを責めないでやってくれ。」
真田はコクり頷き、あの暗い感じがすっかり抜けて、いつもの真田顔つきに戻っていた。
「そっか。私だけじなかったのか・・・。なんか安心した! よ~し! バケツ、探すぞー! 」
真田が意気込んで、バケツを探そうとしている中、俺は真田の肩を軽く置いた。
「真田。バケツ見つけたから戻るぞ。」
「えっ?! どこどこ? 」
真田は周りをキョロキョロ見回してるが、どうやらバケツを見つけられないみたいだ。
「俺の足元にあるぞ、5個。」俺は足元にあるバケツを踏みつけた。
それに対して真田は少し怒った様子で、目の前に指を突きつけてきた。
「いつ見つけたのよ!それ! 」
「さっき腰掛けた時にたまたま手を置いたところにあったんだ。」
「な~んだ。まぁ、いいや。涼介の所に戻ろうよ!」
そういうと真田は涼介の家の方向へ歩き出していた。その歩き方は軽やかに、ふわふわした感じだった。
とりあえず、鉄製バケツ5個と鉄パイプ2本持ちながら雑貨屋跡から涼介の家へ向かった。
「お、来たか!」涼介は俺たちを見つけると大きく左手を振り、右手には鉄のお菓子箱。
そして・・・
「りょ、涼介。その骸骨は・・・」
俺は指を震わせながら、涼介の持っている骸骨を指した。
対して 涼介は平然とした顔で言い出した。
「多分、俺の母さん。こんな風になっちまってなぁ」俺はこれ以上の追求はしなかった。
なぜなら涼介より先に泣きそうになってしまうからだ。
とりあえず俺は、雑貨屋から持ってきた鉄バケツを涼介に手渡す。
涼介は右手に持っていた荷物を鉄バケツに入れ、地面に置き、両手の土を払う。
その後、再び鉄バケツを右手に持ち、そして、涼介は口を開いた。
「忘れ物無し!。次行くぞ!」涼介はそのまま真田の家の方角へ歩き出す。
それに着いていくように、真田が着いて行っていた。まるで兄妹みたいだな、いや姉弟かな?どっちにしろあいつらの溝はほとんどなくなったように少なくとも俺はそう思う。
「ほら、神崎くん。早くしないと置いていちゃうよ!」ついさっきまで、気弱な真田はどこへやら。今では遠くから大きく手を振ってる真田の姿がある。
「あ、待ってくれ!二人とも!」
俺も二人を追いかける。二人に追いついてから10分程たった頃。
「着いたよ。ここが私のおうち・・・」真田は悲しみ押し込め、目の前の瓦礫を見ている。
俺が真田の家に来るのは初めてだけど、まさかこんなカタチで来てしまうとは・・・今にも信じられないな。でも、これが現実なんだ・・・。
「なにやってんだよ。早くしないと日が暮れるぞ!」
涼介の声を聞き、俺たちはあるものを探し出す。それは・・・
―骸。
鉄バケツはそのためのものだ。瓦礫を退けていく中、骸が二つ、抱き合って横たわっていた。
多分、真田の両親だろう。
俺は、他の所で瓦礫を退けていた二人を呼び、三人ともしゃがみ、瞼を閉じて、手を合わせる。
そして、沈黙の中ゆっくりと瞼を開き、二つの骸を優しく鉄バケツに入れていく。
真田は手を震わせながら、一つ、また一つと骨を拾っていく。最後に頭蓋骨を入れて、ゆっくりと立ち上がる。
真田は骸を入れた二つの鉄バケツ両手に持ち、涼介とはまた違う六角形の缶箱を右脇に挟む。
やっと沈黙が破れ、元気よく涼介が、口を開く。
「他にいるものはないか?真田」
「うん、大丈夫だよ。」と、真田は自分の家を見てから涼介の顔を見て答えた。
そうすると涼介は上機嫌で頭の後ろに右手を回し、左手でお菓子箱と母親の頭蓋骨が入った鉄バケツを持ち。
「そうか、じゃあ次は隆也の家だな!」
「ああ、期待はしないでおくよ」
俺はそう言いながら真田の家を後にし、みんな俺の家へとゆっくり歩き出した。
しかし、実際家へ着いて見たら、なぜか鍛練場だけが残っていた。扉もキレイに締まり鉄窓もしっかり閉まっている。
これなら親父たちが生きてるかも!と、少し期待を膨らませ、扉付近で足を止めた。
「この辺もひどくやられたものだな。隆也」
「そうだな、それでもこれが残ってるってことに正直驚くよ」
本当によくキレイなまま残ってるなぁ。まるでここだけ何もされてないみたいだな。
「神崎くんのご両親。生きてるといいね!」
「ああ、そそうだな!とりあえず、その辺に荷物置こうか」
真田と涼介は他のものと混ざらないように瓦礫の少ない所へ荷物を降ろしとりあえず周りに使えるものがないか探して見ることにした。
しかし、これがなかなか見つからない。
「なぁ、隆也。どこにも使えそうなものはないぞ。」
「やっぱり、あの中にしかないのかなぁ?」
真田は精錬所の方へ指を指し、俺と涼介はその指の方へ目線を向ける。
確かに。あそこには武器になりそうなものも有りそうだし、正直鉄パイプだけじゃ不安だったんだよな~
「そうだな。しょうがないか、少し嫌な気がするけど」
俺は結局、そんな何の当てもない勘を気にしながら再び鍛錬所の扉の前は来た。
涼介は扉を開けようと、ドアノブに手を掛けた途端!
「あッチィいいいぃぃぃいい!」
右手を押さえ涼介は地面に転げ回っている。俺はすぐにそれを確認するために扉を軽く触れると、声が出るほど熱い。慌てて俺は手を扉から離した。
「だ、大丈夫か?涼介。火傷とかしてないか?」
「おう。幸い、火傷はないみたいだな。まだヒリヒリするけどな!」
「そうか。そりゃよかった。で?どうする、このままじゃ扉を開けれないぞ?」
「なら、こうするんだよっと!」
涼介は自分の頭に着けている黒のバンドを外してドアノブにかけた。
なにかひっかかる・・・。締め切った窓、むき出したコンクリート、鉄の熱い扉。ってことはここは密閉された空間。そして、それは全て住宅が多いところで金物や火を使うため作った施設・・・・。火・密閉空間・熱い扉・・・。火は酸素を燃やし尽くして、密閉空間は酸素が補給できない、一時的に火は弱くなる。でも一日ぐらいじゃあ消えない!
「よ~し。開けるぞ」涼介は涼しい顔で開けようとドアノブをまわす。
―りょうすけ!そこをあけるなぁぁぁぁああぁぁぁぁあああぁぁー!
「へっ?」
もう俺が止めたときには遅かった。
小さな種火は酸素という糧を得て、一気に爆発する!爆発音と共に窓・扉は吹き飛び、破片がこっちへ飛んでくる。
よ、避けきれねぇッ!
俺は無意識に刀を親指ぐらいほど引き抜いていた。
あの時と一緒だ。銀色の炎は俺たちの体を包み、銀色の炎に当たった破片は『燃える』じゃあなくて『斬り消す』っていう言葉が正しい感じに消えた。
俺は刀を鞘に戻し、残りの二人は今起きたことが処理できてないみたいだった。鍛錬所は扉付近に大きな穴が開いたものの、中は火のせいでほとんどマル焦げだ。やっと頭が現状に追いついた。涼介が怒鳴りを上げる。
「な、ななななんだ!あの銀色のぶああああぁぁぁぁっとなったやつはっ!」
「俺に聞かれてもわからん!俺にもわかるように説明してくれ、銀!」
そういうと刀が震え、光に包まれたと思えば相変わらず無地の和服一枚に素足、二枚目の男が一人。俺の頭の上にバランスよく腕を組み、立っていた。
「説明しに出てきてくれるのはありがたいけど、もうちと普通の登場の仕方はないのか?」
「ないな!」
あ、言い切りあがった、こいつ。
「まぁ、いいや。とりあえず銀色の炎ことを教えてくれよ」
「わかったよっと!」
銀は俺の頭から地面へ着地し、瓦礫に腰を据え、話し始める。
「この炎は心の力だ。隆也の場合は、『守りたい』っていう気持ちが強ければ強いほど、炎は大きく強くなる。」
「で?さっきの破片が消えたのは?なぜだ。」
俺が質問するとその答えは即座に返ってきた。
「銀の炎の性質、切断だ。」
「切断?」
「そう。切断が働いて全てを斬り消したんだよ」
「それはなんでも斬れるのか?」
涼介が質問すると、その答えもすぐに帰ってきた。
「いや、本当はなんでも両断できるんだがなぁ・・・」
そう言うと、銀は首を傾げる。それを見て俺たちも首を傾げた。
みんな「だが?」と言葉が揃うと、銀は飽きれたようにタメ息を吐き、言葉を続けた。
「隆也の願い。『守る力』が欲しいってことを叶えるために威力を失い、攻撃対象が限定されている。その対象は『物体』、『植物』、『人外』。だから、その三つ以外は斬れないし、能力は無効になる。つまり、さっきの破片は『物体』だから斬れるってことだ!」
「なんとなく理解できた。ようするに、『人』以外ならいいんだな」
「まぁ、極端な話そうなるか。ってことで話は終わりだ、丁度火も鎮火してるだろ」
その言葉を聞き、俺は鍛錬所を覘く。これが親父の仕事場か・・・・。
「入るか。みんな!」
「おう!」
「ちょっと!待ってよッ」
「やれやれ~」
中へ入ると、そこは煤だらけ。いろんなものが燃えカスになっていた。鉄製も少し熔けかかっている、余程炎が強かったのを物語っていた。
ここで親父が仕事してたのか・・・。
俺は一つの鉄板を撫でながら、そんな思いにふけっていると、今にもカンカンって鉄の叩く音が聞こえてきそうで・・・・。
あれ?いま現実に鳴ってるような・・・・。すぐに音がする方へ目を向けた。
「お、お前ら・・・。何やってんの?」
そこには地面を鉄槌で叩いている涼介と、それを見守る真田・銀が居た。
「ん?何ってここの鉄板壊してるんだけど」
そう言って涼介は、また鉄板を壊し出す。そして、補足するように真田が言葉を続ける。
「この鉄板の下から空洞ほい音がするのよ。だから何かあるんじゃないかな~って、壊してるわけ!」
確かに。言われてみれば、聞こえないこともない。でも・・・。
「なぁ、その鉄板に取っ手とか持てそうな所ないのか」
そう言って俺はその鉄板の場所へ近つぐ。が、持てそうな所は熔けて、とても持てそうなところはなかった。いや、別に開けなくていいのか。もう使わないしな。
「なぁ、涼介。その鉄板さぁ・・・・斬っちまえばいいんじゃあ・・・」
俺がそう言うと、ポンって効果音が聞こえてきそうに三人とも手を打った。
「それじゃっ!ささっと斬ってしまうか」
銀はスッと刀の姿に戻り、俺は鞘から刀を抜いた。
「相変わらず温かいなぁ・・・」
「なんか言ったか?隆也」
「いや!なんでもねぇよ。さっさと斬るから離れてくれ」
うゎ~、独り言聞かれるってめっちゃ恥ずかしい・・・。
でも聞かれたのがアホな涼介だからマシか。俺は鉄板に刀を突き立てた。それはまるでプリンにスプーンを突き立てるように軟らかく、そのまま四角を描くように斬り抜いた。鉄板は音を立て、下へ転げていく。下?家に地下なんてあったか?
皆おそるおそる中を見ると、人一人、通れそうな暗い階段が下へ続いていた。
「しかし、暗くて先が見えねぇ~。どうする?入るか?」
と言いながら、涼介が階段の底を覗いている。その時だった!
「あわわわわッ!」
涼介の足場が崩れ、階段から転げ落ちた。俺は慌てて階段を下り、涼介を追いかける。
「ちょ、ちょっと!待ってよぉ!」
真田も俺の後を追うように後ろからついて来る。しかし、中は暗く、思ったより外の光が届かない。足と銀の炎で階段を確かめながら、慎重に階段を下りる。だけど、階段はそんなに長くなく、すぐに底に着いた。一歩、足を踏み出すと・・・・・むにゅ。
「いてててててて。誰だ!俺を踏んでるのはッ」
よ~く足元に目を見ると、地面へ転がってる涼介がうずくまっていた。
「すまん。涼介!」
涼介はゆっくり立ち上がり、服のゴミを払って、俺と真田の顔を見た。
「なんだ、隆也か。あれ真田も来たのかぁ」
「なにッ!涼介。私が来ちゃいけないの・・・」
「いやあのその―」
声的にけんかって感じじゃあないし、さっさと調べるか・・・・。
俺は銀の炎を明かり代わりして、天井に刺し、部屋全体を照らした。部屋自体は見た感じそんなに広くもなく、狭くもなく、材質は打ちぱなっしのコンクリート。中央には縦長のテーブルに今、俺が持ってると同じぐらいの日本刀。そして、その日本刀の倍はある曲刀がほつんと並んでいた。
『お。長巻かぁ~。この時代にも造ってる鍛冶師居がたんだな・・・・』
銀は何かを思い出しながら、哀しそうな声で呟いていた。
「長巻ってなんだ?銀」
「長巻っていうのはな。昔の人が、大太刀を歩兵が振り回すために考えられた薙刀型武器で、特徴は『斬る』他に『薙ぐ』とか『突く』などが良いとされておる。長さは六~七尺だからお前らで言うと180cm~210cmってところで―」
銀は必死に説明してるが・・・。俺が段々わからなくなってきた・・・・
「・・・ごめん、銀。簡潔にまとめてくれ」
申し訳さなそうに俺が頼むと、「しょうがねぇな~」と聞こえんばかりに銀は軽く息を吐くがどうやら説明してくれるようだ。
「・長い・重い・薙刀!」
銀は自信たっぷりに言い放った。綺麗な三拍子に少し笑みを浮かべながら俺は、ツッコんだ。
「随分、ざっくりになったなぁ~。それで?強いの?」
「0が1みたいに答えると弱い。むしろ、槍の方が十分強い」
「へぇ~そ、そうなんだ・・・・。」
随分、長々としゃべってたけど、俺そんなに力ないし長巻は、使いたくないなぁ~
そんなことをしているうちに、涼介と真田がこっちへ来ていた。
「お!武器じゃん。俺、この長いやつな!」
涼介がおもむろに長巻を軽々と持ち上げた。真田も長巻に興味があるみたいだ。
「なにそれ?薙刀?にしては刃の部分が長いような・・・」
「それは長巻って言うみたいだぞ」
俺は二人にそう教えると、真田は「そうなんだ」って顔をしながらコクコクと頷き、涼介は名前なんて気にしないで長巻をいろんな角度から眺めていた。
「ん?なんだこれ?トンビって読むのか?」
涼介は鞘から抜いて刀身の付け根を見ていた。
「どれどれ。俺にも見せてくれ」
目を凝らして俺も刀身の付け根を見た。そこには『鷹』って文字が深く刻まれている。多分、これが『刀銘』いうやつか。てか漢字読めないなぁ、ん~でてきそうなんだけどなぁ~。
俺こんなアホだったのか・・・・
「うぐぐぐ・・・」
俺と涼介が必死に考えていると、真田も刀銘を見て口を開ける。
「たか?そう!『たか』だ。これって鷹って読むんだ!」
「あッ、そうか!鷹かぁ~」
思わず俺は手ポンと置き一人で納得していた。ごめんな~鷹山。
あんまりしゃべったことないけど・・・・
「鷹!カッケェェェェェエエエエッ!。これ俺が使う。はい!予約ッ」
と言って涼介は刀身を収め、肩に乗せた。
「じゃあ、俺はこっちの刀で。」
俺はさっともう一つの日本刀を手に取ると、涼介が不満そうに話かけてくる。
「それは駄目だろ。それ真田のものじゃないか?」
「わ、私はいいよ。重いの駄目だし、刀なんて持てないよ」
あ、はい。
ヤバっ!思わず声にでそうだった。
「わ、わかった。この刀は俺が持つ」
そして、さっきから気になってたんだけど。
「なぁ、ちょっと思ったんだけどさぁ。なんでこんな物騒なものが、俺の家にあるわけ?」
「そりゃ、ここが鍛冶屋だからじゃね?」
涼介そう言い放った。が、それでも・・・ん?
「なんだこれ」
ふと目線に小さく折りたたまれた紙が一枚。
ひっそり、俺の足元へ落ちていた。俺は何も考えず、その紙を開いた。どうやら手紙のようだ・・・。
「どうしたの?神崎くん。手紙?」
「ああ。そうみたいだな。読んでみるか。えっと・・・」
《隆也へ 誕生日おめでとう。その、なんだ・・・・。言葉にするのは恥ずかしいから手紙にすることにした。後、プレゼントは喜んでくれたか?まぁ、喜んでなくてもいいが、俺の造った刀とキーホルダーはもらってくれよ。それは俺が丹精込めて造ったんだ。磨くなり形見なりゃい―》
手紙はここで途絶え、千切れていた。ってことは・・・・・。
「これ、全部親父が俺のために・・・・。本当に形見になっちまったじゃねーか・・・」
俺は片膝を着き、泣き崩れそうになる。が、俺は堪えた。目を瞑り、楽しいこと・面白かったことを考え、涙を止めた。今は泣いてる場合じゃないだろ俺ッ!
「だ、大丈夫か?隆也。」
涼介の差し伸べてきた手を無視し、俺は自分で立ち上がり、笑みを浮かべる。
「大丈夫。俺は元気だ。それより、手紙に書いてあったキーホルダーってのは・・・・」
「これじゃないの?」
真田の手にドッグタグのようなものが、二つ。
「それどこで!」
「・・・どこって。外の一角に、まさかそんなものだと、知らなかったから後で言うおうと・・・」
深刻そうに真田は暗い顔してていた。
「いや!いいんだ!それが、親父の形見だし、見つけてくれてありがとう」
「別に神崎のために・・・・―」
真っ赤に頬を赤らめながら真田は、もじもじしている。
「いまなんて?」
俺が聞き返すと、真田は俺にドッグタグを渡し、外へ出て行ってしまった。俺なにか悪いことしたっけ?
「隆也・・・・。お前は罪深き男だよ」
涼介の冷たい目線が俺に突き刺さる・・・。何か言い返さないとな。
「どこがだよ」
「その言動自体だ。とりあえず、外に出ようぜ。そろそろ、ここの空気が嫌になってきたぜ」
そして、俺たちは長巻・日本刀・ドッグタグ・手紙を持ち、天井に突き刺した銀を抜きだして鞘に収め、この場所から出た。外はさっきまで、晴れていたのに今はどんより暗く、今にも雨が降り出しそう。俺たち各自、荷物を持ち神社に戻ろうとしたその時・・・・。
『・・・・人間臭いな』
と、銀が小言をつぶやいた。俺すぐに銀へ問いただす。
『人間臭いってどういうことだよ、銀ッ。まさかこの辺に生きてる人が・・・』
俺は周りキョロキョロ見渡す。が、人おろか、生き物の気配すらしない。
『いや、ここじゃない。もっと遠くの丘・・・・大きな建物。』
・・・・・大きな建物。この辺じゃあ学校くらいか。って、まさかッ!
「・・・ふたりとも。がっこうだ・・・・。学校なら、まだ生きてる人がいるかもしれない!」