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第一話




芸能界に身を置くもの、その輝かしい世界を目指す者が通う私立柏木高校。その歴史は古く、今年で百年を迎える。創立者は当時の政界のドンであった賢木という男である。


彼は多額の金をつぎ込み、日本の誇れる人材を自らの学校から輩出しようとしていたそうだ。彼の目論見通り、柏木高校からは多くの人間が芸能界という世界へ飛び立っていった。




そして現在。柏木高校は国内最大のスター候補生のための学校となったのである。











 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





「おい、女優の野分ゆかり《のわきゆかり》が転校してくるんだって!」


「うっそ~、初めて聞いた!観たよ野分ゆかりの最新ドラマ『ふたりの自分』。演技が上手かった!二重人格の役をひとりで演じ分けられるなんてすごいわぁ」


「でもこんな時期なんておかしくない?もう二年生の三学期なのに・・・。ねぇ?」


「今までは公立に通ってたんだって。忙しくなって時間の調節ができなくなったんじゃない?」


「そうかもね~。恋人にしたい女優ランキング四位だもん」



・・・廊下まで声が届いてるわよ、お嬢さんたち。

私だって、こんな学校来たくなかった。

プライベートな時間まで芸能人やその卵と一緒に過ごすなんて息がつまる。はぁ~・・・・。


しかもこの学校はほかの学校と違って授業内容にスター候補生らしいものが伴う。ポージング授業、演技授業、ダンス授業、歌の授業、などなど。


せめて学校にいるときくらいは仕事のことを忘れて一学生として生活したかったものだ。



「あぁ、野分さん。これからホームルームだから入って、入って!」


可愛らしい顔立ちの女の先生が担任らしい。朗らかな感じが癒される・・・!



先生がガラリと2-1の教室のドアを開けると、一斉に見られる。

ヒソヒソと「野分ゆかりだぁ・・・!」と言い合うクラスメートたち。



「はい、彼女がみんなが楽しみにしてた野分ゆかりさんです!皆知ってるだろうけど、自己紹介お願いね」


「はい、」


こういう雰囲気には慣れている。

皆、女優としての野分ゆかりを望んでいるのだ。



「はじめまして、野分ゆかりです。こんな時期に転校となってしまったので、仲良くしていただけるとありがたいです。わからないことも多いと思うので、よろしくお願いします」


いたって普通の挨拶。

クラスの中には同じ業界の人もいるだろうから、うかつなことは言えない。


「野分さんの席は、あの後ろから二列目の空いてるところね。隣の子はクラス委員だからわからないことがあったら聞いてみて」



左隣のクラス委員の子はこういう学校には珍しいタイプの真面目ちゃんって感じ。

じゃ、私の右隣の子は?



「よろしく、野分ちゃん」


椅子に座ったまま握手を求める手を出したのは、女と間違えてしまうような美少年。大きい目に綺麗に弧を描いた二重。男にしては長めの髪がさらに女らしさを強調している。


「よろしく、源君」


「俺のこと知ってるんだ。有名な女優さんに知ってもらっててびっくり」


いたずらっ子のように笑う顔が可愛らしい。


「あなたこそ有名なアイドルだもの。知ってて当然よ」
















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