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放課後の新聞部

作者: 鳥楽ゆき
掲載日:2026/01/07

 なぁ、今日締め切りの原稿終わった?


 終わりましたよ? 先輩はまだなんですか?


 うーん、どうも文章書くの苦手でなぁ……。全然進まん。


 そんなの5w1hでサクッと書けば終わりじゃないですか。それよりも題字の背景作ったり、写真のトーンカーブいじる方が私は苦手です……。


 それこそ適当に絵や図形組み立ててサイズ合わせてあげればすぐだし、一番黒いとこと白いとこを100と0を無くせばいいだけだよ。


 先輩は慣れてるからすぐ終わるんですよーだ! 私は苦手なんですっ!

 

 ねぇねぇ、先輩、交換しません?そうすればすぐ終わって帰れますよ! 我ながら名案です!


 うーん、それだとお前の為にならないしなぁ……ほら、教えてやるからちょっとイスごと移動して。

 

 はーい、先輩の技術をしかりと盗ませて貰いますです!


 調子いいなぁ、ほら、マウス貸しな。

 左側に位置する題字だったら絵は少し左側に寄せるんだよ、そうすれば右側が軽くなって見た時に重さっていうの?バランスが良く見えるんだよ。


 おー!確かに!左右対称ばっかり作ってましたけど、全体のバランスを見ると先輩の方が見やすいですねー!さっすがー!


 はいはい。んで、次は……ここ。

 髪とかよく真っ黒になってるから数値みながら99以下ね、他にないかなー……ないな。白飛びもマズいから真っ白な所を探してーっと……ないな。


 ぐぬぬ、先輩早すぎですって……なんでこんな簡単に……。仕方ないですね、今回は盗めなかったのでまた次もお願いしまーす!


 いや……ほんと覚えなよ……いつまでも覚えないと、来年大変だよ?


 えー、先輩こそ、受験にかまけてないで部室に来てくださいよ、仕事おわんなくなっちゃいますよー。


 それはお前の仕事だよな。俺だって来年はほぼ幽霊部員だよ、あと少し、頑張って覚えなね。


 はーい。先輩もまずは今日締め切りの記事書き上げてくださいねー!じゃぁ、お先失礼しまーす!


 あっ!この! ……はぁ、お疲れさん、気をつけてなー。


 また明日でーす!





 部室に残ってるのは顧問の先生と部長だけか……。

 文章書くの苦手なんだよ……上手く伝わらなかったらって考えるとどうも書き始められない。とは言え、ここの原稿は150文字だしさっさと書いて先生に添削して貰うか。よし、それがいい、必殺丸投げでいこう。




 お先失礼しまーす。お疲れ様でしたー。

 

 うわ、さっむ!

 部室は暖かかったけど流石に廊下は寒いな。

 さっさと帰るかな。

 

 ん?裏門に誰か……あれ、後輩じゃん。


 お疲れー、親のお迎え待ち?


 いやー、えーっと……そう!お迎えお願いしてたんですけど、なんかまだ時間かかるみたいなんです!

 最近変質者が出て物騒じゃないですか、だからお迎えお願いしたんですけど……。


 あらま、そうなんだ、まだ部室に人残ってるしそっちで待ってれば? ここよりあったかいよ。


 えー、観たいテレビあるから帰りたいんですよね……先輩、自転車通学なんですね。一緒に帰りませんか?


 いいけど、家どっちよ、俺は右。


 私は左です。方向一緒でよかったですね!


 お前な……まぁ、ちょっと遠回りだけどいいか、ほら行くぞ。


 わーい!先輩ありがとー!ふふっ、なんかいいですね!


 そりゃよかったよ。マフラー使えよ、見てるこっちが寒くなるわ。


 いいんですか?先輩だって寒そー。


 いいって、ほれ。


 ……ありがとうございます。

 へへっ、暖かいです。




 

 


 あの、今日はありがとうございました。


 おう、んじゃ明日な、また。


 また……明日です。





 あー、だめだ、夜道二人っきりとかめちゃくちゃ緊張した。

 大丈夫かな、ちゃんと喋れたかな……。

 可愛すぎなんだよ……まったく。

 明日はもっと上手く話せるように頑張ろ。


 ……マフラー暖かいな。





 また昔の夢を見た。


 二人で歩いたあの薄暗い夜道。

 隣にいる、ただ、それだけで満たされた感覚。


 けど。

 目が覚めると、もう薄っすらとしか残っていない。

 手のひらからこぼれ落ちる砂の様に、僅かに残るざらつき。


 あの時、別の選択をしていたら。

 そんな後悔さえ、今ではもう残らない。

 

 それでも、何度も夢に見るくらいに、私にとっての大切な思い出。


 ……これからもたくさんの後悔を忘れながら、大人になっていくしかないんだろうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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