68 神は許さない
「お前、運がねぇな〜。そんな病気に掛かっちまった上に、最後はレイケル様の実験体として死ぬんだから。」
「いやいや、寧ろめちゃくちゃ光栄な事だろうが。なんたって、その生きている価値がねぇ命を無駄にせずに、人類様の発展に役立てる事ができんだからよ♡」
「ギャハハっ!違いねぇや!おい、レイケル様にありがとうございますぅ〜って言えよ、化け物。」
兵達は、俺のすぐ近くまで迫ると、手を伸ばし俺を捕まえようとしたが────その直後その手は止まる。
それを見たレイケルは訝しげな視線をその兵達に向け、そのまま怒鳴り散らした。
「なにをグズグズしている!!さっさと捕まえてこっちに連れてこい!!首を跳ねられたいのか!?」
「……が……あが……。」
兵達は必死に自分が動けない状況なのを伝えようとしたが……俺はそれより先にレイケルに向かって歩き出す。
「この場にいるお前達は全員、悪人だから死んだって構わない『モノ』か。
前の時は、兵たちはモンスターに食わせて、お前の家族は目の前で拷問してやったんだけど……同じだとつまらないかな?
……う〜ん?どうしようか。」
頭を悩ませながら一歩、また一歩と進んでいくと、俺の皮膚はどんどん再生し髪も白く色が抜けていくと、レイケルは悲鳴をあげた。
「なっ、なぜ腐色病が治っていくんだっ!!??ば、馬鹿なっ!!
それじゃあ、俺の研究が────っ!!!」
「…………あぁ、良いことを思いついた。」
俺は目を真っ赤にして怒鳴り、俺に掴みかかろうとしてきたレイケルに向かって────指を指す。
<???のスキル>
【デッド・エンドの軌跡】
存在している生命体や物質に対し、その『終わり』を迎えるまでの軌跡を自由に創り出す事ができる< ??? >系スキル
どんな人生も思うがまま。
このスキルを掛けられた存在は、いかなる妨害があってもその通りの人生しか辿る事はできなくなる
俺の目の前で、レイケルの拳が止まった。
もうコイツのこれからの人生は、俺の思い描いた人生しか辿れなくなってしまった。
さぁ、これから俺の創った『終わり』に向かって、人生を歩いていくといい。
多分、『終わり』が待ち遠しくて待ち遠しくて仕方ない人生だと思うけど……頑張ってね?
「これからまずは、俺達が住んでいたハウスへ行き、跡形もなく燃やせ。それからヒュード達を探して、実験体として使うんだ。
とびきり苦しくて辛い薬を使っていいけど……長く生かしてあげてね?あっさり死んじゃったらつまんないからさ。」
「あ……ぐぐ……あ……。」
レイケルは顔を真っ赤にして必死に拳を動かそうとしているが、もうその体が自由に動く日は来ない。
様子が可笑しい主人を見て、兵たちが動揺しているのが分かったが、俺はそんな兵達にも全員同じスキルを掛けてやった。
こいつらも、レイケルと一緒のクズ共。
その側で利を得て、他人を使って楽しんできた者達だ。
だからとっとと、グランと俺の幸せな世界から消えてもらう。
「あぁ、家に帰ったら直ぐに実験をしてもいいよ。ヒュード達が見つかるまで、他の実験体を使って薬の開発に勤しんでね。
実験体の第一号は、レイケルの家族だ。
一緒に楽しく実験をしていたんだから、とっても楽しく実験できると思うよ。
妻と娘、その後はここの兵達を使って、捕まえたヒュード達と屋敷で協力していた従者達も……。
これだけ使えば新薬の一つや2つできるでしょ?
良かったね、歴史に名前が残りそうじゃないか。
自分の家族と私兵、従者達を使って新薬を開発した狂った天才お貴族様の誕生だ。おめでとう。」
『ハハハっ!!』
とても愉快な気持ちになって大笑いすれば、全員の顔から血の気が引いていきガクガクと震え始めた。
何でだろうね?
嬉しすぎて震えちゃった?
「……そ……それだけは……止め……。」
「???何で?」
自分の辿る人生を悟ったらしいレイケルが、情けない顔で懇願してきたが、俺にその理由は分からない。
だからキョトンとした顔で尋ねると、レイケルは震えながらも瞳の奥に激しい怒りを滲ませて言った。
「そ、そんなの当たり前……だろうっ!!そんな非人道的な事……許されるわけな……いっ!! 」
「自分がやってきた事と同じでしょ?じゃあお前は許されないね。それって神様に?」
クスクスと笑いながらそう尋ねると、レイケルはグワッ!!と目と口を大きく開き、俺に向かって怒鳴る。
「そうだ!!神がこんな事、許すはず……ない!!
俺は選ばれた人間で……使われるのは役に立たないクズ共だけなんだから、俺はいいんだよ!!
俺は選ばれた身分の……高位の貴族……だぞっ?!こんな事……断じて許されるわけないっ!!」
ギリギリと唇を噛み締め、気丈にも俺を睨むつけるレイケルを見て……大爆笑!
俺が腹を抱えて笑っている姿に対し、更に怒りが増していくレイケルを見て、俺は大きく口を歪めて笑った。
ヒッ!と短い悲鳴をあげたレイケルの頭を鷲掴み、そのまま泥だらけの地面に叩きつける。
そして無様に転がっている頭に片足を乗せてやると、俺はヒソヒソと内緒話する様に言った。




