59 分岐点へ
こんなどうしようもない時点に戻された事に絶望したが、このまま俺が死ねば……またサンが狂った王として生まれ変わってしまう!!
必死に俺は生き残ろうと、その方法を模索する。
「あ〜……えぇっと〜……ハハハッ!……一体どこでしょうね〜?」
汗を掻きながら必死に言い訳を考える俺を見て、レイケルは前より酷く激怒したのを感じた。
「見た所、お前、あの男の所の雑用か何かだろう?その様子だと捨てられたのか。
まぁ、俺の気分を鎮めるために残していった生贄……といった所かな?
お前みたいな、何の特技もない役立たずのゴミの人生は哀れなもんだ。
せいぜい誰かの鬱憤を一瞬でも満たす事くらいしか使えないのだから。」
ニヤニヤと加虐を楽しむ様な目を向けながら、レイケルは馬から降りて、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「う〜ん……そうだな?まずは全裸にして猟犬に追いかけさせるのもいいか。この間してみたら楽しかったしな。
あぁ、皮を全部剥いて、森に放置するのも楽しかったなぁ〜?
これは妻と娘が提案した遊びでね?
全身の痛みに耐えながら必死に逃げ惑う姿は本当に本当に楽しかったよ。
フ……フフフ……。それとも全身に寄生虫の卵を植え付けて死ぬまで観察するのもいいなぁ〜?。さぁ、どれにしようかな?」
まるでこれからピクニックにでも行くように、スキップして近づいてくるレイケルに吐き気が催し大きく顔を歪ませると、レイケルは俺の前で止まりニヤッと笑った。
「ゴミならゴミらしく、せいぜい頑張って俺を楽しませろよ?」
「────どれもお断りだ、クズ野郎。」
俺は鼻で笑いながらギフトスキル<インビシブルスタイル(EX)>を発動し、その場を飛び出す。
「…………なっ!!き、消えた!?」
「馬鹿なっ!!気配も全て消えたぞ!!」
俺が気配すら全て消したため、周りの私兵達はざわつきだし、それを見て俺はしめしめとほくそ笑んだ。
俺のギフトスキルは、絶対に見破れないぞ!
これで逃げ切って……サンを助けに……。
「……ふん、下らないスキルだな。」
動揺する中、レイケルだけは冷静にそう呟くと剣を抜き大きく後ろに引く。
そして────……。
「────むんっ!」
レイケルが後ろに引いた剣を思い切り横に振ると、その衝撃波は広範囲に飛んでいき……逃げる俺にも直撃した。
「────……っ!!?がっ!!」
背後から物凄い風の衝撃がぶつかり、俺の身体はそのまま吹き飛ばされて木に激突する。
その衝撃により俺の意識はどんどんと暗くなっていき……スキルもその時点で完全に解けてしまった。
……くそ……くそ、くそ……!やっぱり戦闘スキル持ちは化け物だ……。
サン……サン……ごめ……ん……。
近づいてくる足音を子守唄代わりに……俺の意識はブラックアウトしてしまった。
◇◇◇
「〜〜〜………! 〜〜!!」
「……ラ……!………様……!!」
突然懐かしい声が耳に入り始め、意識はどんどんと浮上していく。
あ、あれ……俺は……?
「────グラン様っ!!!」
まだ幼さの残る青年の泣き出しそうな声を聞き、俺は目をパカッ!!と大きく開いた。
すると目に飛び込んできたのは……真っ赤な瞳に真っ白な髪と肌、神王────────の、小さい子バージョンっ!!!
「ぎゃああああああ!!!!」
悲鳴を上げながらその場で後退りすると、神王の子供の様な外見の青年は、ポカンとした様子で俺を見る。
「……???あの、グラン様……どうかされました??」
「え、えええ????!だってお前、神王……。」
「し、神王……????」
本気で分からない様子で首を傾げる神王の子供バージョンに、ハッ!として、俺は震えながらそいつを指差した。
「まさか……サン?……えっ?ほ、ホントにホントにサン……??」
「?は、はい……。俺はグラン様の奴隷のサンです。」
当たり前の様に頷く神王……いや、サンを見て、俺はわけがわからなかったが、直ぐに駆け寄ってその体を抱きしめる。
そしてキョロキョロと辺りを警戒しながら、小さな声でサンに話しかけた。
「サン!良く聞け!お前、狙われてるんだ!直ぐに俺とここから逃げ────……。」
「???一体誰に俺が狙われるのですか?? 突然家を飛び出したので、驚きました。」
「────えっ??」
俺は慌てて先ほどまでいたはずのレイケル達の気配を探したが、ミジンコ程も感じられないため、首を大きく傾げる。
あれ……?
俺、確かレイケルの広範囲攻撃で吹き飛ばされて、それで……??
呆然としている俺に、サンは『あっ!』と何か思い出したかの様に言った。
「もしかしてさきほど、ハウスに来た奴らの事ですか?
確かレイケル……?とか名乗っていましたが……。」




