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特技媚びる!の 底辺無能おっさんは1000年後の未来で自分の元奴隷に会うが……えっ?どういう事??  作者: バナナ男さん


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26 当面の目標

「金をどうにか稼がないと、このままじゃ餓死しちまう。

ドブさらいや靴磨きなら自信あり、もしもどこかのパーティーの荷物持ちができたらスーパーラッキーだ。」


でも、もしかして冒険者になった時点で、謎の献上金なるモノを払う羽目になるかも……。


そんな不安はあったが、相変わらず攻撃スキルはないし、盗みを働いたり悪い事はしたくない。


なら、自分の体一つで稼いで生きて行く。

今までと変わらない、俺の生き方を貫くしかないのだ。


「どんなに辛くても、媚びて媚びて媚びまくって生きて行くさ。

それで絶対にサンの生きた証を探すぞ、俺は。

俺とサンがいた時代は絶対にあったんだ。」


正直それを知った所で何?と言われればそれまでだが、それでも大事な奴の最後は知りたいと思う。

それから先は……またその時考える。


山積みの様になっていた本を本棚に戻した後、俺はグッ!と拳を握り、鼻息荒く吹き出した。


「その1!冒険者ギルドで情報を探りながら金を稼ぐ!

その2!仕事の傍らサンの生きた証を探す!

それを当面の目標として、まずは冒険者が集まる場所、冒険者ギルドなるモノに行ってみよう!」


俺がそのままの足で図書資料室から出ると、恐らく大きさ的にアレかも?という大きな建物に向かって歩き出した。


冒険者は、基本貧しい生まれの奴がのし上がれる唯一の方法で、この様子だと多分今も変わってないと思われる。

現に冒険者ギルドとデカデカと書かれた扉の前に立つと、沢山の装備した奴らが出たり入ったり、人が途切れない。


「後はギルドのランクとかの規則も変わって変わってないといいが……。」


冒険者はバリバリの実力主義。

そのため皆、一律最低ランクからスタートし、実績と定期的に行われる承認試験というモノを受けて上へと上がって行くのだ。

ちなみに俺は10年以上冒険者やってて最低ランクのまま。

そしてモンスターを倒せる術がない俺は、多分今回もそのままだと思われる。


「やっぱり戦闘スキルが欲しかったよなぁ〜……。一個でいいからさぁ〜。」


大きなため息をつきながら受付らしき場所に並び、密かに周りを観察した。


前には約数人程の冒険者が並んでいて、依頼完了の報告書らしきものを受付に提出しては、そのまま外に出ていく奴、もしくは依頼の紙?が貼られているボードへと再度向かう奴と動きは様々。

俺のいた時代は、冒険者達は自分のペースや実力に合わせて、出されている依頼を自分で選んで受けていたので、この感じだとこれも俺のいた時代と変わってない様だ。


「ふむふむ……。」


怪しくない程度に周りを見渡しながら順番を待っていると、直ぐに俺の番が回ってきた。


「こんにちは。もしかして冒険者登録をしに来た方でしょうか?」


可愛いツインテールの若いお嬢さんは、とても愛想よく微笑んでくれたので、俺はヘラッとしながら大きく頷く。


「そうなんだよ〜。ちょっと、今までやっていた農作業だと金が集まらなくてな。転職を考えて〜。」


「そうでしたか……。少し前から天候のせいで沢山の新人冒険者達がデビューしましたからね……。お疲れ様です。」


悲しげにペコッと軽く頭を下げるお嬢さんに対し、罪悪感がチクチク刺さるがここは我慢。


確か先程の三人の冒険者達が『天候のせいで〜。』とか言ってたから、この言い訳に使えると思ったのだが、これが大当たりだった。

そのままニコニコと笑顔で「それほどでも〜。」と適当な返事を返す。

すると受付のお嬢さんは、そのまま手続きを始めてくれたのだが、ここでお嬢さんは妙な事を言い始めた。


「では、今月分は新人特典で冒険者ギルドから払われますが、来月からは個人の稼ぎから出してもらう事になります。

ですので、余裕を持ってギルドに積み立て納金をする事をお勧めします。その手続きもしておきますか?」


「……えっ?────あ、あぁ。よろしくお願いします。」


とりあえず頷くと、お嬢さんはその手続きも同時に始める。

多分これは献上金なる存在のための制度だと思われる。

冒険者として依頼を受ければ、それからピンはねして、自動で金を貯めておいてくれるというシステムか。


「……中々献上金を貯めるのは大変ですよね。今月はお陰様で助かりました。」


神妙な顔でペコッと頭を下げると、お嬢さんは悲しげに眉を下に下げた。


「仕方ない事です。私達穢れた末裔の人間は、神王様によって生かされているのですから……。

こればかりは変えることのできない世界のルールですので、割り切って生きていくしかないですね。」


「……そうだよなぁ〜。なんであれ、神王様の決めた事に逆らう様なバカはいねぇもんな。」


やれやれと呆れた様にため息をつくと、お嬢さんはクスッと笑う。


「そりゃあそうですよ。

今まで神王様に愚かにも逆らおうとした人達は、その全員が一瞬で『帰され』ましたから。

どんなに強くても、神王様に敵う『人』など存在しません。

我々『 人 』に出来ることは、お金を稼いで長生きする事のみですね。

沢山稼いでより沢山の献上金を納めれば【聖天人】になれますから、とにかく沢山稼ぎましょう。

それに戦闘能力に特化すれば【聖華騎士団】に選ばれるかもしれないので、是非、それを目指して頑張ってください。」


手続きを終えたらしいお嬢さんは、俺に冒険者証と書かれたカードを渡し、サインをする様に空白の場所を指差す。

俺はそれにOK!と指でジェスチャーしながら名前を────書こうとして、一旦止まる。


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