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特技媚びる!の 底辺無能おっさんは1000年後の未来で自分の元奴隷に会うが……えっ?どういう事??  作者: バナナ男さん


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23 誰だ??

「神王様。どうか罪深き我々子孫をお許し下さい。」


「永遠の忠誠を貴方様に捧げます。

本日も有り難き『生』 をお与え頂きありがとうございます。」


ブツブツと呟く彼らの目からは、涙が止め処無く流れ、顔は何か尊いものを見ているかの様に光悦としている。


し、神王さま?

一体誰だ??


1000年前に国を治めていた王族は、国の名前と同じセイリーン一族だった。


その末裔か……?

それとも新たにセイリーン一族に変わる一族が王として国を治めているのだろうか?


「…………??」


とにかく圧倒的に情報が足りず、分からない事だらけだ。


ゴクリッと唾を飲み込み、そのまま祈る騎士らしき者達を見つめていると、やがて彼らはまた馬に乗って去って行った。

俺はそこでやっとスキルを解いて、深く息を吐き出す。


「全然分からない事だらけだ……。でも仕方ねぇか……何たって1000年だもんな。

そりゃ〜前と同じモノを探す方が難し────……。」


────と、そこまで言ってから、俺は一つ大きな違和感に気がつき、ピタリと動きを止めた。


「なんか、さっきの騎士っぽい男達って……俺のいた時代と変わってなくないか?」


勿論1000年前にいた騎士達と格好は全く同じではないにしても、系統は全く同じ。

腰に差していた剣を思い出しても、文化レベルは1000年前とほぼ変わっていない様な……?


それに大きな違和感を感じたのだが、あの男達だけ古きを愛し〜的な、なんちゃって騎士だったのかも!と思いつき、とりあえず俺はその場を離れることにした。


多分さっきの男達の会話からして、ここは立ち入り禁止エリア?っぽいため、出ておいた方が無難だと思ったのと、人がいる場所へ行って情報を集めるべきだと思ったからだ。

それに……もしかしてサンのその後の人生について、カケラでも残っているかもしれないと思ったのだ。


最後に見たサンのキョトンとした顔を思い出し、またじわっ……と涙が溢れたが、直ぐに袖で乱暴に拭き取り、1000年前と変わらぬ空を見上げた。


【腐色病】のサンがその後生きて、もし誰かに目撃されていたら、きっと何かしらの記録が残っているはず。


だからそれを探す。

それを俺の人生の目標にして生きよう。


「……サン。」


俺はまだダラダラと流れる涙を止めるため、パンっ!!と両頬を叩くと、そのまま隣町があったはずの場所へと歩き出した。


舗装された煉瓦道があったはずの道は、現在ただの山道の様になっていて普段の何倍もキツくて荒々しい息を吐く。


「くそ〜……この森を見る限り、寧ろ1000年前より文化レベル落ちてんじゃね?どうなってるんだよ〜くそぉ〜。」


ブツブツと文句を言いながら、拾った太い枝でバシバシと長く伸びた草を掻き分けていく。


まさか皆洞穴とかで暮らしていたりして……?


そんな笑えない考えに汗を掻いていると、突然頭の中にパシッ!と情報が入ってくる。


《警告。危険レベル1。<コロックル・ウリボー>が近くに出現。更にその近くに人型の生物が3体。約500m 》



<コロックル・ウリボー>


丸いフォルムの体長3m程の猪型モンスター

直進する動きに加え、丸い体を活かした転がり攻撃は非常に強力



「えっ!?また頭の中に……??さっきもそうだけど、俺の能力……めちゃくちゃ強力になってないか??」


多分【危険察知(微)】がパワーUPしたものだと思うが、こんな事前に危険を知らせてはくれなかったし、ましてや人の言葉で伝えてくるなど、ちょっと信じられない。


「もしかして<渡り人>って、現在にいると殆ど役に立たないけど、時を渡る事で覚醒する、特殊発動型ギフトだったのか……?

まぁ、危険察知とか透明になるとか微妙だけど……。」


一旦止まってう〜ん……と考え込み、とりあえず1000年後の今も昔と同じモンスターがいる事、そしてその近くに三人のニンゲン?らしき生物がいる事を理解する。


「コロックルウリボーは1000年もいたモンスターだ。

ってことは、人間がそれを討伐しようとしているのかも?とりあえず様子を伺ってみるか……。」


先程発動したスキルをまた使って体を透明にすると、俺はソロリソロリと、その反応がある場所へ近づいて行った。


まずは今の時代の状況を少しでも知ってから、現地の人間と接触しよう。

さっきの騎士っぽい奴らを見て、そう決めた。


だからモンスターと戦っているであろう人達をまず観察しようと、ドカン!ドカン!という戦闘音がする場所へ行き、近くの大きな木の影に隠れる。

その後ソロ〜とそこから顔を出すと、怒り狂っているモンスターの姿と、剣と盾、杖をを持った三人の人間がそれに対峙している姿が見えた。


「……やっぱり文化レベルが変わってない?装備も戦い方も1000年前と一緒だ……。

────ってことは、アイツらは冒険者みたいな戦闘に関する職業の奴らなのか?」


防具は革製で、駆け出しから中級辺りの冒険者が好んで着る装備。

最前衛の盾を持った男に、その直ぐ後ろには前衛アタッカーの男性剣士で、その後ろの後衛に杖を持った魔法使いの女性と……冒険者パーティーのスタンダードスタイルだ。

三人は多少危ない場面はあったが、しっかりとコロックルウリボーを倒し、討伐証明の牙を剥ぎ取り始める。


「これで今月の《献上金》は稼げたな。また一ヶ月の命を貰うことができる。」


「そうだな……。俺は今年娘も生まれたからもう少しだ。もう一働き頑張るよ。」


盾を持った男と剣を持った男がご機嫌で言ったが、魔法使いだけは表情を曇らせた。



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